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2025/10/08

近年、M&Aは企業の成長戦略において重要な役割を果たしており、M&A業界への転職を希望する人も増加傾向にあります。

しかし、M&A業界は専門性が高く、転職の難易度が高いと思われがちです。

そこで本記事では、M&A業界への転職を考えている方に向けて、未経験者や経験者が成功するための転職完全ガイドを提供します。

具体的には、M&Aで求められるスキルや転職活動のポイントについて深く解説し、あなたの転職活動を力強くサポートします。

M&Aにご興味がある方やM&Aに関連するキャリアを形成したい方は是非とも参考にして下さい。

M&A業界で求められるスキル

まずは、M&A業界で求められるスキルについて解説します。

M&A業界は、企業の合併・買収というダイナミックな取引を扱うため、高度な専門知識と多様なスキルが求められます。

ここでは、M&Aのプロフェッショナルとして成功するために不可欠な能力を詳細に解説します。求められるスキルを理解することで、それに沿った準備を行うことができます。

転職活動を行う上では必ず抑えておきたいポイントですので、現状のスキルと照らし合わせながらお読み下さい。

①企業価値を見極めるための知識

1点目は、企業価値を見極めるための知識です。具体的には、会計やファイナンスに関する知識が該当します。

例えば、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を読み解き、企業の収益性、安全性、成長性を分析する能力などです。

これは単に数値を追うだけでなく、その背景にあるビジネスの実態を理解し、将来の予測に繋げることが重要です。具体的には、各種財務指標(ROA、ROE、流動比率など)の分析、トレンド分析、同業他社比較などが含まれます。

また、企業価値評価(DCF法、類似企業比較法、取引事例比較法)などを用いて、企業の適正な価値を算出する能力も求められます。それぞれの評価方法のメリット・デメリットを理解し、案件に応じて適切な方法を選択することができると、重宝されます。

他にも、M&Aの手法を理解して案件に最適なストラクチャーを提案する能力やファイナンス理論に関する知識も持っておきたいところです。具体的には、株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割などの知識が該当します。

全てを抑えることは難しいですが、志望企業のニーズに合わせて必要な知識を養っておくと良いです。

②戦略と市場を洞察する力

2点目は、戦略と市場を洞察する力です。具体的には、業界動向、市場分析、競合分析、事業戦略などが該当します。これらについて、簡単にご紹介します。

業界動向とは、担当する業界の市場規模、成長性、競合状況、技術革新などを把握する能力です。

M&A戦略を立案する上で不可欠であり、業界特有のビジネスモデルや収益構造を理解することで、M&Aの目的や効果をより明確に捉えることができます。

市場分析とは、市場調査データや統計資料などを分析し、市場のトレンドや潜在的なリスク・機会を把握する能力であり、この能力は、M&Aの成功確率を高めます。

市場の変化を的確に捉え、将来の市場動向を予測することで、適切なM&A戦略を立案することができます。

競合分析とは、競合企業の戦略、強み・弱み、市場シェアなどを分析し、自社の競争優位性を確立するための戦略を立案する能力であり、この力はM&A後の事業統合やシナジー創出に大きく貢献します。

競合他社の動向を踏まえ、適切なターゲット企業を選定し、効果的な統合戦略を立案することが重要です。

事業戦略とは、企業の長期的な目標を達成するための戦略を理解し、M&Aがその戦略にどのように貢献するかを理解する能力であり、M&Aの目的を明確化し、成功に導く上で重要です。

企業の経営戦略と整合性の取れたM&A戦略を立案し、実行することで、企業価値の向上に貢献することができます。

③汎用的なコミュニケーション能力

3点目は、汎用的なコミュニケーション能力です。M&A業界の場合、状況に合わせた汎用的なコミュニケーションが求められますが、具体的には、交渉力、プレゼンテーション力、関係構築力が該当します。これらについて、簡単にご紹介します。

交渉力とは、M&Aの条件交渉において、相手の立場を理解し、自社の利益を最大化するための交渉を行う能力であり、M&A取引の成否を左右します。

単に自社の主張を押し通すのではなく、相手のニーズも考慮し、Win-Winの関係を築くことが重要です。

プレゼンテーション力とは、M&Aの提案や分析結果などを経営陣や投資家などに分かりやすく説明する能力であり、関係者の理解と合意を得る上で不可欠です。

具体的には、資料作成能力、口頭発表能力、質疑応答能力などが求められます。

関係構築力とは、M&Aに関わる様々な関係者(経営者、弁護士、会計士、投資家など)と良好な関係を築く力です。関係構築力は、M&A取引をスムーズに進める上で重要です。関係構築力を構成するものとして、主に傾聴力、共感力、誠実性などが該当します。

M&A業界への転職活動のポイント

M&A業界で求められるスキルについてご理解いただいたところで、次はM&A業界への転職活動のポイントについて解説します。

今回は転職活動で最も苦戦することが多いと言われている、「自己分析」「応募書類作成」「面接対策」の3つの観点から解説します。

①自己分析

まずは、自己分析です。

M&A業界は多様な人材を求めていますが、自身のスキル・経験・性格などがそのニーズに合致しているかを見極めることが重要です。

過去の業務経験から、分析力・コミュニケーション能力・交渉力・語学力など、M&A業務に活かせる強みを明確にしましょう。

同時に、ファイナンス知識や業界知識など、不足している部分も認識し、どのように補っていくかを検討することが大切です。客観的な自己分析を通じて、M&A業界でどのような役割を担い、どのような貢献ができるのかを具体的にイメージすることが、効果的な転職活動の第一歩となります。

また、M&A業界は、投資銀行・M&A仲介会社・FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)・事業会社のM&A部門など、様々なキャリアパスが存在します。

自身の強み、興味と関心、将来のキャリアプランなどを考慮し、どの分野に進んでどのようなポジションを目指したいのかを具体的に設定しましょう。

大切なのは、短期的な目標だけでなく、長期的なキャリアビジョンを描くことです。

このキャリアビジョンが転職活動のモチベーションを維持し、適切な企業選びに繋げることができます。

②応募書類作成

次に、応募書類作成です。

履歴書・職務経歴書は、採用担当者が最初に目にするあなたの情報であり、第一印象を大きく左右します。

転職においては、M&A業界で求められるスキルや経験を強調し、簡潔かつ明確に記述することを心がけましょう。

具体的には、過去の業務経験から、分析力・コミュニケーション能力・交渉力・語学力など、M&A業務に活かせる強みを具体的に記述することが重要です。また、具体的な実績や成果を数値で示すことで、説得力を高めることができます。

さらに、英文履歴書を添付する場合は、カバーレターを作成することです。カバーレターは、応募企業への志望動機や自己PRを伝えるための重要なツールであり、企業の特徴や業務内容に合わせてカスタマイズすることで、熱意と適性を効果的にアピールすることができます。

単に履歴書の内容を繰り返すのではなく、なぜその企業で働きたいのか、どのような貢献ができるのかを具体的に記述することで、採用担当者の心を掴むことができるでしょう。

③面接対策

最後に、面接対策です。

面接では、自己PR・志望動機・キャリアプラン・過去の経験など、様々な質問が想定されます。これらの質問に対して、スムーズかつ明確に答えられるように、事前に回答を準備し、練習しておくことが重要です。

特に、M&Aに関する専門知識や最新の業界動向に関する質問には、しっかりと準備しておきましょう。

また、面接を受ける企業について深く理解し、企業理念や事業内容に関する質問にも答えられるように準備することで、企業への関心の高さを示すことができます。

企業のウェブサイトやニュース記事などを参考に、企業が抱える課題や今後の戦略などを把握しておくことで、より深い議論を交わすことができるでしょう。

さらに、転職エージェントなどに協力してもらって模擬面接を行うことで、より実践的な面接対策を行うことができます。

模擬面接を通じて、回答の仕方や態度、表情などを改善し、本番の面接で自信を持って臨めるように準備しましょう。

自分を信じて転職活動を成功させよう

ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。

M&A業界への転職は、自己成長を大きく促す魅力的な挑戦です。

この道のりは、情報収集やスキルアップといった準備段階から、実際の選考活動、内定獲得後のキャリア形成まで、長期にわたるプロセスとなります。

様々な情報に触れる中で、時には不安や迷いを感じることもあるかもしれません。

しかし、最も大切なのは、自分自身の内なる力、つまりこれまでの経験で培ってきた知識やスキル、そして何よりも「M&A業界で活躍したい」という強い意志を信じることです。

十分な準備を重ねた上で、積極的に行動を起こすことで道は必ず開けます。

自分を信じ、前向きに、そして着実に進むことで、必ずや目標を達成できるはずです。自分を信じて転職活動を成功させましょう。

本記事が何か1つでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。