• 採用企業向け
2026/05/15
  1. はじめに
  2. 内部監査採用が注目される背景と求められる役割の変化
    1. ガバナンス強化に伴う内部監査の重要性の高まりと
    2. 内部監査人に求められる役割の変化
    3. IT・AIを含むテクノロジー理解への必要性の高まり
  3. 内部監査採用の最新トレンドと採用時にチェックすべきポイント
    1. 採用要件を固定しすぎない動きの広がり
    2. 自社の重点テーマに近い経験・資格を持つ人材の重宝
    3. IT・AIへの基礎理解を備えた人材の評価の高まり
  4. まとめ

1. はじめに

内部監査部門に求められる役割は、この数年で大きく広がっています。従来の不備確認に加え、ガバナンス強化、リスク管理の高度化、業務改善、AIを含むIT領域への対応まで、経営を支える機能として期待される場面が増えています。

それに伴い、採用で求められる人物像も複雑になりました。内部監査経験者を優先すべきか、経理・法務・ITなど周辺領域の経験者まで広げるべきか、CIAやCISAをどう評価するかなど、検討できる論点は多岐にわたります。

一方で、内部監査は専門性が高く、採用要件の整理や候補者の見極めが難しい領域です。例えば、求人を出しても応募が集まりにくい、面接で適性を判断しにくい、自社に必要な人材像が明確でないといった悩みを抱える企業も少なくありません。

加えて、グローバル展開や海外子会社を持つ企業では、国内だけでなく、国際的な内部監査の考え方やIT統制に理解のある人材ニーズも高まっています。

本記事では、そういった背景を深堀りした上で、内部監査人採用の最新トレンドを整理し、採用時に見るべき観点を解説します。

採用方針を見直したい企業様の参考になれば幸いです。

2. 内部監査採用が注目されている背景と役割の変化

まずは、内部監査採用が注目されている背景と役割の変化について見ていきます。

近年はガバナンス強化、リスク管理の高度化、DXの進展を背景に、内部監査部門への期待がますます広がっています。それに伴い、求められる経験や能力は多様化しており、採用市場において何を重視すべきか判断が難しくなりました。

何故このように複雑になっているのでしょうか。その背景は大きく3点あります。

2-1. ガバナンス強化に伴う内部監査の重要性の高まり

1点目は、ガバナンス強化に伴って内部監査の重要性が高まっていることです。

近年、多くの企業が内部監査をガバナンスを支える機能として重視しています。

その背景には、企業に求められる管理水準の上昇があります。不正やコンプライアンス違反への対応に加え、内部統制の有効性、子会社や委託先を含む管理、経営判断の透明性など、見るべきテーマが広がっているのです。

内部監査は、これらが機能しているかを独立した立場で確認し、課題整理と改善につなげる役割を担いますので、重要性が高まっているのです。

例えば、グループ会社の増加、外部サービスや業務委託の拡大、事業成長に伴う内部統制の見直しが進む企業においては、ガバナンス強化は必要不可欠ですので、内部監査の期待がより高まります。

2-2. 内部監査人に求められる役割の変化

2点目は、内部監査人に求められる役割が変化していることです。

近年、リスクを見極めて改善につなげる内部監査の役割がますます高まっています。

企業が求めているのは、監査項目をなぞる人材ではなく、事業環境が変化し続ける中で、重要な論点を捉え、経営や現場に示唆を出せる人材です。

従来の内部監査といえば、規程順守や承認・証憑の不備確認などをチェックすることが中心でしたが、現在はサイバーリスク、委託先管理、業務プロセスの複雑化など、監査対象そのものが広がっています。

この背景を踏まえ、限られた監査資源で何を優先して見るべきか整理することが大切です。

参照:将来のリスクを軽減する上での内部監査の役割

2-3. IT・AIを含むテクノロジー理解への必要性の高まり

3点目は、IT・AIを含むテクノロジーを理解する必要性が高まっていることです。

これからの内部監査人には、内部監査の基本知識に加え、システム、データ、AI活用などに関する基礎的な理解が求められます。何故なら、現在の企業活動におけるリスクの発生源は、従来の業務運用によるものだけでなく、システム設定、データ連携、外部クラウドの利用、さらにはAIの設計・運用にまで広がっているためです。

特に、デジタル化や生成AIの普及により、サイバーリスク、レピュテーションリスク、コンプライアンスリスクなど、複数のリスク領域が相互に影響し合う場面が増えています。

例えば、アクセス権限管理や設定変更管理が不十分であれば、不正や誤処理のリスクが高まります。また、生成AIを活用する企業では、入力情報の管理、出力内容の妥当性の検証、責任所在の明確化、利用ルールの整備といった点も重要な監査論点になります。

そのため、業務監査の経験だけでなく、IT統制やデータ管理への理解、さらにAI利用に伴うリスクを基礎レベルで捉えられる人材は希少価値があるのです。

3. 内部監査採用の最新トレンドと採用時にチェックすべきポイント

内部監査人を採用する際は、単に経験の有無を見るだけでなく、実務で活躍できるかどうかを見極めることが重要です。しかし、「内部監査採用が注目されている背景と役割の変化」で見た通り、内部監査人に求められる経験や能力は多様化しています。

それにより、採用市場において何を重視すべきか判断が難しくなりました。

ですが、最新のトレンドを踏まえつつ確認すべきポイントを押さえることで、採用の方向性は十分に整理できます。

ここでは、内部監査採用の最新トレンドと企業が採用時にチェックすべきポイントを3つの観点から解説します。

3-1. 採用要件を固定しすぎない動きの広がり

1点目は、採用要件を固定しすぎない動きが広がっていることです。

最近の内部監査採用では、「内部監査経験〇年以上」といった条件で狭く絞り込むよりも、自社に不足している機能を補える人材かどうかを重視する企業が増えています。

その背景には、内部監査部門に求められる役割が広がり、必要とされる専門性も多様化していることが関係します。従来のように画一的な採用要件だけで人材を絞り込むと、自社にとって本当に必要な機能を担える人材を確保しにくくなるためです。

そのため、理想的な経歴にこだわるよりも、自社の課題や不足機能に応じて、現実的に活躍が期待できる人材を柔軟に採用しようとする動きが強まっています。

例えば、内部統制や財務面を強めたいなら経理経験、規程運用や統制設計を重視するなら法務・コンプライアンス経験、IT統制を補いたいなら情報システムやシステム監査に近い経験が候補になります。

採用担当者は職種名ではなく、自社に足りない機能を補えるかで見ることが重要です。

3-2. 自社の重点テーマに近い経験・資格を持つ人材の重宝

2点目は、自社の重点テーマに近い経験・資格を持つ人材が重宝されることです。

最近の内部監査採用では、幅広く経験している人材よりも、自社が重視する監査テーマに近い実務経験を持ち、専門性を客観的に示せる人材のほうが即戦力として評価されやすくなっています。

この内容で参考になるのが、The IIAのInternal Auditing Competency Frameworkです。

この枠組みでは、内部監査人に必要な能力を、監査技術だけでなく、Governance & RiskやOperationsまで含めて整理しています。つまり企業は、監査手続に関する知識だけでなく、どの領域の論点に向き合ってきたかも重視しているということです。

例えばCIAは、内部監査の基本原則、リスクベース監査、ガバナンス、内部統制などを体系的に理解していることを示しやすい資格です。

一方、CISAは、IT監査、システム統制、情報セキュリティ、ITガバナンスに関する知見を示しやすく、DXやAI活用が進む企業では特に評価しやすい資格といえます。

そのため、企業は経験年数だけでなく、自社の重点テーマに照らして、資格が示す専門性まで確認することが重要です。

採用担当者は「何年経験したか」だけでなく、どのテーマを担当してきたのか、またCIAやCISAを通じてどのような専門性を備えているのかまで確認することが大切です。

参照:New Internal Auditing Competency Framework

3-3. IT・AIへの基礎理解を備えた人材の評価の高まり

3点目は、IT・AIへの基礎理解を備えた人材が評価されやすいことです。

最近の内部監査採用では、業務監査の経験があることに加え、ITやAIに関わる論点を一定程度理解できる人材への評価が高まっています。

内部監査部門が対象とする領域が広がる中で、業務プロセスだけでなく、システムやデータ活用を前提としたリスクも踏まえて監査に向き合える人材が求められているためです。

その際、特に注目すべきポイントは、高度な技術知識そのものよりも、業務とテクノロジーの接点をどう理解しているかです。

例えば、IT統制の基本的な考え方を踏まえて業務プロセス上のリスクを捉えられるか、データ連携やシステム設定が業務運用にどのような影響を与えるかを理解しているか、AI活用に伴って新たに生じる確認ポイントを実務に引きつけて考えられるかといった点が挙げられます。

こうした観点を持つ人材は、業務監査とテクノロジー領域を切り分けずに捉え、実務に即した監査対応につなげやすいといえます。

採用担当者は、候補者がシステム部門出身かどうかだけで判断するのではなく、業務監査の経験に加えて、ITやAIに関連するテーマをどの程度理解し、実務に引きつけてどう考えられるかまで確認することが重要です。

4. まとめ

ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。

近年、内部監査部門に求められる役割は、ガバナンス強化、リスク管理の高度化、業務改善、IT・AI対応などへ広がっており、それに伴って採用で求められる人物像も複雑化しています。

こうした中で、内部監査採用では、単に経験年数や職種名だけで判断するのではなく、自社に不足している機能を補えるか、自社の重点テーマに近い経験や資格を持っているか、IT・AIを含むテクノロジーへの基礎理解を備えているかといった観点から見極めることが重要です。

特に今後は、内部監査経験の有無だけでなく、業務とリスクを俯瞰して捉える力や変化する経営環境に応じて監査テーマを柔軟に理解できる力がこれまで以上に重視されると考えられます。

そのため、従来の画一的な採用要件にとらわれすぎず、自社が内部監査部門に何を期待し、どの機能を強化したいのかを明確にしたうえで、人材像を整理していくことが求められるのです。

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