高市政権も注目!IT監査/システム統制人材の採用
- 採用企業向け
- はじめに
- 2.IT監査/システム統制人材の必要性が高まっている背景
- 内部監査・サイバー領域で、テクノロジー人材の重要性の顕在化
- AI活用の拡大で、モデルガバナンスまで見られる人材の必要性の高まり
- 専門資格と実務を結びつけられる人材確保の難しさ
- IT監査/システム統制人材採用の最新トレンドと採用時にチェックすべきポイント
- 統制の運用確認に加え、ガバナンス設計まで見られる人材価値の向上
- AI導入により上流工程から統制を評価できる人材需要の増加
- 資格の有無だけでなく、CIA/CISAを実務にどう活かせるかが重視
- まとめ
1. はじめに
企業の業務運営は、いまやシステムを前提に成り立っています。販売、会計、人事、在庫管理などの主要業務は、設定や権限管理、データ連携、外部サービスの利用と密接に結びついているため、統制の有効性を見極めるには業務フローだけでなくシステム面まで理解する視点が欠かせません。
近年はAI活用の拡大に加え、サイバーセキュリティ対策強化の流れも強まっています。こうした中では、IT監査やシステム統制を担える人材の重要性が高まるだけでなく、その専門性を客観的に示す資格への注目も強まります。
特に、内部監査の国際資格であるCIA、IT監査・情報システム統制の専門資格であるCISAは、採用時の見極め材料として存在感を増しています。
本記事では、まずIT監査/システム統制人材の必要性が高まっている背景を整理し、そのうえでIT監査/システム統制人材採用の最新トレンドと採用時にチェックすべきポイントを解説します。
IT監査やシステム統制における人材確保の方向性を見直したい企業様にとって、判断の一助となれば幸いです。
2. IT監査/システム統制人材の必要性が高まっている背景
まずは、IT監査/システム統制人材の必要性が高まっている背景を解説します。
IT監査/システム統制人材の必要性が高まっている背景を理解するうえで、まず押さえたいのは、このテーマが単なるIT人材不足の話ではないという点です。現在は、監査や統制の対象そのものが、ITやAI、サイバーセキュリティを含む領域まで広がっています。
近年は、内部監査の基準体系においても、テクノロジー領域の重要性がこれまで以上に明確になっています。加えて、AI活用の拡大により、従来のシステム統制だけでなく、AIの利用プロセスやモデルガバナンスまで視野に入れて評価できる人材が求められるようになりました。
さらに、企業単体ではなく、サプライチェーン全体でセキュリティ対策水準の底上げを図り、取引先を含めた対応状況を可視化しようとする動きも進んでいます。
こうした環境変化を踏まえると、IT監査とセキュリティを切り分けて考えるのではなく、両者をつなげて捉えられる人材の価値は一段と高まっているといえます。
以下では、その背景を3つの観点から詳しく見ていきます。
2-1. 内部監査・サイバー領域で、テクノロジー人材の重要性の顕在化
1点目は、内部監査やサイバー領域の基準・制度の中で、テクノロジー人材の重要性が明確になっていることです。
IT監査やシステム統制人材の必要性が高まっている背景には、企業ごとの課題意識だけでなく、内部監査やサイバー領域を取り巻く基準・制度の変化があります。つまり、このテーマは一時的な人材不足ではなく、実務上求められる役割そのものが広がっていることと関係しています。
例えば、IIAの「サイバーセキュリティ トピック別要求事項」では、サイバーセキュリティに関するガバナンス、リスク管理、統制プロセスの設計・実装を評価する包括的なアプローチが示されています。これは、内部監査部門にも、サイバーセキュリティを含むテクノロジー領域を適切に理解し、評価できる体制が求められていることを意味します。
このように、IT監査やシステム統制人材の必要性は、企業の主観的な判断ではなく、基準や制度の要請によっても裏づけられています。だからこそ企業は、内部監査や統制の高度化に対応する前提として、テクノロジー領域を担える人材の必要性を正面から捉える必要があります。
2-2. AI活用の拡大で、モデルガバナンスまで見られる人材の必要性の高まり
2点目は、AI活用の拡大で、モデルガバナンスまで見られる人材が必要になっていることです。IT監査やシステム統制の領域では、従来のアクセス権限管理や変更管理だけでは対応しきれず、AIの利用プロセスそのものを統制対象として捉える必要が出てきています。
内部監査がAIに対して果たす役割として、AIガバナンス体制や規程・運用手順等が該当します。ここから言えるのは、AIを導入した企業では、個別のシステム統制だけでなく、どの用途でAIを使うのか、誰が責任を持つのか、どのようなルールで利用するのかまで含めて評価できる人材が必要になっているということです。
例えば、生成AIを業務で利用する場合、問題になるのは入力情報の管理だけではありません。利用目的の妥当性、出力結果の検証方法、責任分担、ポリシー整備、運用モニタリングといった論点まで見なければ、統制としては不十分です。つまり、AI時代のIT監査/システム統制人材には、システムの仕組みを見る力に加えて、利用プロセス全体をガバナンスの観点から評価する力が求められています。
そのため、企業が確保すべき人材は、IT知識があるだけの人ではありません。AI活用を業務プロセスの一部として捉え、ガバナンスや統制の観点から論点を整理できる人材が、これからの内部監査やシステム統制では重要になります。
2-3. 専門資格と実務を結びつけられる人材確保の難しさ
3点目は、専門資格と実務を結びつけられる人材の確保が難しくなっていることです。IT監査/システム統制人材の必要性が高まる一方で、その役割を担える人材の採用難は強まっています。
実際、ISACAの「State of Cybersecurity 2025」では、技術系サイバー人材への需要が高い一方で、採用や定着の難しさが続いていることが示されています。こうした市場環境では、IT監査、システム統制、セキュリティを横断して見られる人材は、内部監査部門だけでなく、セキュリティ部門、リスク管理部門、情報システム部門からも求められるのです。
こうした中で、採用時の判断材料として有効なのがCISAです。CISAは、IT監査、統制、セキュリティに関する知識を体系的に身につけていることを示す資格であり、企業側にとっても専門性を見極めやすい指標になります。加えて、制度対応や対外的な説明が求められる場面でも、その専門性を示しやすい点に意味があります。
経済産業省等が公表したサプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度案では、取得希望組織の自己評価を確認・助言する「セキュリティ専門家」の資格要件の一つにCISAが含まれています。これは、CISAが制度上も専門性を示す資格として位置づけられていることを意味します。
また、CIAは内部監査の国際的な共通基盤として認知されている資格ですが、IT監査/システム統制人材の採用において、より直接的な確認ポイントになりやすいのがCISAとなります。
人材確保が難しい今、企業は単に人手を補うのではなく、CISAを保有しているか、さらにその知識を実務にどう結びつけてきたかまで確認しながら採用を進めることが重要です。
参照:
3. IT監査/システム統制人材採用の最新トレンドと採用時にチェックすべきポイント
ここまで整理したように、IT監査/システム統制人材の必要性は、内部監査の基準体系、AI活用の拡大、人材市場の逼迫という複数の要因によって高まっています。
こうした変化は、採用市場にも明確に表れています。ただし、企業の採用担当者が押さえるべきなのは、単に「ITに詳しい人材を採用する」という発想だけでは不十分だという点です。
重要なのは、その候補者が何を監査できるのか、どのような統制を評価できるのか、さらに自社の課題に対してどのように貢献できるのかを見極めることです。
IT監査/システム統制人材の採用は、求める役割や期待水準が曖昧なままでは、選考基準がぶれやすくなります。一方で、最新のトレンドを踏まえながら確認すべきポイントを整理すれば、採用の方向性は十分に明確にできます。
ここでは、IT監査/システム統制人材採用の最新トレンドと、採用時にチェックすべきポイントを3つの観点から解説します。
3-1. 統制の運用確認に加え、ガバナンス設計まで見られる人材価値の向上
1点目のトレンドは、統制の運用確認より、ガバナンス設計まで見られる人材の価値が上がっていることです。
現在のIT監査/システム統制人材に求められているのは、統制の実施状況を確認するだけでなく、その統制がリスクに対して適切に設計され、継続的に機能する仕組みになっているかを評価できる力です。
個別チェックの経験だけでなく、設計、責任分担、モニタリングまで含めて全体を捉えられるかが差になります。
そのため、採用担当者が見るべきなのは、「IT統制の評価をしたことがあるか」だけではありません。統制項目のチェック経験に加え、統制の設計思想、責任分担、リスク評価、モニタリングの仕組みまで理解しているかを確認する必要があります。
CIA保有者であれば内部監査の枠組み理解、CISA保有者であればIT監査・情報システム統制の理解を確認しやすく、役割との適合を見極めやすくなります。
3-2. AI導入に伴い、上流工程から統制を評価できる人材需要の増加
2点目のトレンドは、AI導入に伴い、上流工程から統制を評価できる人材が求められていることです。いま求められているのは、導入後の運用不備を確認する人材ではなく、企画段階やリリース前の段階から統制上の論点を見極められる人材です。
東京大学未来ビジョン研究センターの資料では、AI監査を考えるうえで、監査対象、実施タイミング、実施者要件などを切り分けて検討する必要があると整理されています。つまり、AIサービスそのものの妥当性や、AIシステム開発要否の妥当性については、企画段階やリリース前での監査も重視される可能性があるということです。
従来のシステム統制では、導入後の権限設定や変更管理、ログ確認が主な対象になりやすかった一方、AIを使う場合には、そもそもそのAIを使う判断が妥当か、どの用途に使うのか、どの条件でリリースするのかといった上流の意思決定自体が監査対象に入ります。そのため、導入後の評価者ではなく、導入前から論点設定できる人材かどうかが見極めポイントになります。
3-3. 資格の有無だけでなく、CIA/CISAを実務にどう活かせるかが重視
3点目のトレンドは、資格の有無だけでなく、CIA/CISAを実務にどう活かせるかが重視されていることです。
ISACAの「State of Cybersecurity 2025-2026」では、採用で重視される要素として、適応力、実務経験、コミュニケーション能力、クリティカルシンキングが挙げられています。このことから、IT監査/システム統制人材の採用でも、変化への対応力や実務への落とし込み力などが重視されているといえます。
その上で、企業が選考で確認したいのは、新しいシステム、AI活用の拡大などに対応できる適応力、IT統制評価や監査対応などに関わった実務経験、関係部署と調整できるコミュニケーション能力、そしてリスクと統制を結びつけて考えられるクリティカルシンキングです。
さらに、こうした専門性を見極めるうえで有力な判断材料になるのが、CISAやCIAのような資格です。CISAはIT監査、システム統制、セキュリティの知識を、CIAは内部監査の基本的な考え方や評価の枠組みを体系的に備えていることを示します。
したがって、採用時には実務で機能する力を確認しつつ、CISAやCIAを保有しているか、さらにその知識を実務にどう活かしてきたかまで見ることが重要です。
4. まとめ
ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。
IT監査/システム統制人材の確保は、いまや一部の専門部署だけの課題ではありません。業務とシステムが一体化し、AI活用やサイバーセキュリティ対応が進む中で、企業全体の統制水準やリスク管理を支える重要テーマになっています。
とくに今後は、どの論点を補強したいのかに応じて、求める人材像を明確にすることが重要です。内部監査機能を強めたいならCIA、IT監査やセキュリティ評価を強めたいならCISAといったように、資格文脈と実務役割を結びつけて考えることで、採用の精度は上がります。とりわけCISA人材を内部に抱えていることは、サイバーセキュリティ対策の実効性向上だけでなく、制度対応や取引先からの評価対応の面でも企業価値につながり得ます。
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