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2022/04/16

いつかは海外生活してみたい!これから会計スキルを武器に海外でも活躍したい!監査法人で海外派遣プログラムにチャレンジしたい!と思っている方も多いのではないでしょうか?今回は、最短で海外派遣の夢を叶える方法についてお伝えします。

初めまして、公認会計士の近衛(このえ)と申します。私は2014年から東京にある監査法人で勤務、2018年から2020年までの2年間、ロンドンにあるメンバーファームに駐在しておりました。それまでは海外経験といえば旅行程度で、留学や出張経験もなく、TOEICなどの英語学習も入所後に始め、初回スコアは400点代でした。監査法人では海外勤務のチャンスがあると聞いており、いつか海外で生活してみたい!という思いもあったことから、帰国子女や留学経験のある先輩方や同期に情報収集をし、計画を立て行動した結果、希望通り駐在することができました。今回は「最短で駐在チャンスをつかむことができる秘訣」を、私の経験をもとに皆さんにご紹介したいと思います。

今回は、日本にある監査法人(監査・会計アドバイザリー)に在籍しながら海外事務所に派遣される海外勤務を例にご紹介したいと思います。USCPAなど海外のCPA資格を取得して監査法人に転職された方も同じように派遣候補になりますのでご覧下さい。

海外勤務の概要

監査法人では様々な海外派遣プログラムがありますが、派遣期間が長いプログラムの場合はより現地でのビジネスに深く入り込み、リーダーシップも取りやすくなりますので派遣される人のポジションが高くなります。

私の場合は中期派遣の2年間でした。派遣直前までは4年間勤務しており、当時はシニアスタッフとして監査チームでは2・3人の小チームをリードする立場にありました。同じ時期に中期派遣で海外に行った人たちの大半が同じ年次でしたので、中期派遣までの一つの目安として勤務4年目とお考え下さい。

私の場合は派遣先のロンドンではポジションが一つ上がって、パートナーの下で6・7名のチームをリードする主任を担当しましたが、他の駐在員の中には主任ではなくチームメンバーの一人としてアサインされる方もいました。このように現地での役割は、国・都市などによってそれぞれ異なりますので、赴任先での役割やポジションについて事前に情報収集することをおすすめします。

駐在までの道のり

推薦

最大の関門といってもいいでしょう。監査法人によるかもしれませんが、パートナーからの推薦を入手する必要があります。大きく分けて2パターンあり、自分から部門長に推薦を受ける方法と、メインの監査チーム内で声がかかり推薦されるという場合があります。私の場合は後者の監査チーム内での推薦でした。というのも、所属していたチームは毎年数名がコンスタントに海外派遣されており、勤務3年目に推薦者が決まります。このような国際的なチームは大手法人でも数が少ないので、入所時から海外勤務を志望する場合は事前の情報収集をお勧めします。チームの特徴としては、いわゆる国際部門や米国・IFRS監査グループの中にある、クライアントが業界大手のグローバルメーカー、商社、金融機関などがあげられます。法人説明会などでも個別ブースがあったり、希望者が多いため別日程で説明会が開催される法人もあります。(注:以前は監査法人内に「国際部門」がございましたが、現在は部門体制を変え、ほとんどの法人で国際部門をなくしております)
このような監査チーム内で推薦される人の特徴としては以下をご覧ください。

私はIFRS業務に興味があったので、入所時からヨーロッパへの派遣希望を話すようにしていました。また、例えばドイツにおけるM&A、ロンドンの子会社監査人とのディスカッション、スペインの投資減損のレビューなど、少しでもその地域に関連するタスクに取り組むようにしていました。

所属していたチームは、定期的にアメリカ・オーストラリア・シンガポール・ヨーロッパなどに社員を派遣していました。これらの国・地域には重要なグループ監査チームがあり、派遣者はそれぞれの行先のチームにアサインされます。反対にこれら以外の地域には派遣者が滅多におりませんでした。そのため、希望の国や都市がある場合は、どの監査チームから派遣者が選出されているか事前に情報収集すると良いでしょう。

書類審査

志望動機、派遣先で貢献できること、帰任後に貢献できることが問われます。特に帰任後については、法人側はグローバル監査チームをリードする人材として活躍することを期待していますので、そのために必要と思うこと、そのために赴任先でどのように成長したいかについて具体的に記載することをお勧めします。

面接(国内)

監査法人内の国際人事パートナーとの面接になります。提出書類に記載した内容の確認を中心に質問が続くと思いますが、海外での適応力やフィット感について問われることがあります。これは監査法人に限ったことではないのですが、駐在先で現地の生活に馴染めない場合がありますし、帯同予定のご家族の希望などもありますので、面接で確認されることがあるようです。

私の面接の時は、妻・子供2人を帯同予定でしたので、海外生活に馴染めそうか、何か不安なことはないか素直に話してほしいという親身な内容が多かったです。家族も以前から海外生活を送ることに対して前向きな考えを持っていたので、推薦を頂いたときは皆とても喜んでいたことを素直にお話ししたり、私たちが想像している現地生活についてお伝えしたりしました。面接官がロンドン駐在経験者でしたので、アドバイスや事前の準備なども伺うことができました。

面接(海外)

希望赴任先の監査チームパートナーとの英語によるインタビューが行われます。電話会議による面接のケースがほとんどでしたが、私の場合は東京に出張している期間にインタビュー日程を合わせて頂くことができたので、対面で行いました。基本的には英語のリスニング・スピーキングスキルが問われますが、現地での業務と希望アサインにギャップがないこと、しっかりとデリバリーできることを示すことが最も重要になりますので、駐在中の方がいれば事前に確認しておくと良いでしょう。

赴任後に面接官だったパートナーに当時の面接で判断したポイントを聞いたところ、ロンドンではチーム内での役割や働き方が日本と異なるので、上手くパフォームできそうかどうか確認したかったと言っていました。また、実は面接後、出張で面接官や共に来ていたパートナー数名とカフェへ行ったのですが、ブリティッシュ英語が聞き取ることができず自信を失い、結果通知まで生きた心地がしませんでした。

スキルとUSCPA

監査業務で英語を使用していれば現地業務に直結しますので、外資系企業の米国基準監査などを経験するのは大変効果的だと思います。ベースとなる英語力については、TOEICのスコアを指標としている法人が多いようです。私の時はTOEIC900点が目安だったので、海外駐在を意識し始めた時にTOEIC対策を始めました。初めてのTOEICスコアは400点台でしたが書類審査までに960点を取得できましたので、諦めずに取り組めば達成できると思います。※TOEIC対策については、別の記事で改めてご紹介したいと思います。

もしアメリカへの駐在を希望している場合は、USCPAを取得することで米国会計基準やPCAOB監査の理解を示すこともできるかと思います。USCPAだけでなく他の海外CPA資格を取得して監査法人に転職された方も同じように駐在候補になります。実際に私と同時期に海外赴任した同期には、日本の公認会計士ではない方がいらっしゃいました。

まとめ

監査法人で海外駐在するためのポイントです。
1.どの監査チームから定期的に海外派遣者が選出されているか情報収集する
2.必要なスキル(TOEICスコアやUSCPA資格など)を揃え、業務経験を積むと共に、海外勤務の希望や帰任後のプランを明確に伝える
3.現地の業務や求められる人材像を理解し、面接官にフィット感を伝える

以上、「最短で海外派遣の夢を叶える方法」についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。Twitterでは海外でのキャリアや就活、CPAやMBAに関してリアルタイムで発信していますので、ぜひご覧下さい!

皆さんのグローバルキャリアを応援しています。
https://twitter.com/yuyacpa

Profile

近衛祐哉(このえ・ゆうや)
公認会計士、MBA(University of Southern California)

2008年筑波大学卒業。銀行で勤務した後、公認会計士試験合格。監査法人にて総合商社や外資系企業の監査に従事した後、ロンドン駐在。帰任後はロサンゼルスにMBA留学し、卒業後はシリコンバレーにある監査法人にてテクノロジー企業のIPO/SPACやM&Aにおける会計アドバイザリー、財務デューデリジェンスなどに従事している。