KPMG: グローバルな活躍を目指して、移転価格コンサルタントへの挑戦
- USCPA全科目合格
- 税理士法人・会計事務所・BPO
- 移転価格
- 転職者インタビュー
KPMG税理士法人 国際事業アドバイザリー 入社3年目 野口一明さん
※ご経歴・入社年数はインタビュー時のものです。
野口さんは、USCPA全科目合格を機にKPMG税理士法人の移転価格部門に転職されました。インタビューでは、KPMG税理士法人の魅力をはじめ、移転価格コンサルタントを目指した経緯や具体的な業務内容、ご自身のこれからのキャリアに対する思いについて語ってもらいました。
USCPAは会計分野でグローバルに活躍するための武器
KPMG税理士法人に転職される前について教えてください。
前職では、鉄鋼メーカーに約5年勤務し、主に管理会計に関する業務を担当していました。最初は製鉄所経理部門に配属となり、工場における管理会計業務に約4年間従事していました。具体的には、製造コスト削減に向けた予算計画の立案や実績フォロー、製品原価計算、設備投資の検討などの仕事に取組みました。
その後、本社の調達部門に異動となり、残りの1年間は、製鉄所経理部門での経験を活かし調達コスト削減計画の立案や実績フォローなどの業務にも従事しました。また、転職する直前はサプライヤーとの契約交渉や需給管理などにも携わっていました。
USCPA(米国公認会計士)を取得しようと思ったきっかけは。
製鉄所経理部門で働いていた時からUSCPAに興味がありました。製鉄所経理部門での業務を通じて、会社の経営、重要な意思決定に携わる財務部門の仕事に興味を持ち、次の異動先として、本社の財務部門を希望していました。そのために、普段の実務のみならず、将来必要となる会計分野の知識獲得は不可欠と思い、最初簿記の勉強に取組み日商簿記1級まで取得しました。その次のステップ、さらなる高みを目指そうと思った時に、USCPAが選択肢の1つとして目に留まりました。最終的には、前職の財務部門のなかで、海外企業への投融資の検討や進出した海外現地企業の経営管理を担える人材になりたいと思っていました。そのため、日本だけでなく海外でも働く上で通用する資格という点でUSCPAに非常に魅力を感じていました。
海外で働きたいという思いは、アメリカで働く叔母の姿に憧れ幼少の時から抱いていました。家族旅行でアメリカを訪れた際に、叔母が現地の環境に溶け込み働く姿を見て、子供ながらに「いつか自分も、この人のように国籍を問わず信頼されて、どんな場所でも活躍できる人になりたい」と強く感じたのが原体験です。
また、高校・大学時代にはラクロスというスポーツをしていましたが、このなかでアメリカ遠征に行ったり、ホームステイの受け入れをしたり、チームメイトにドイツからの留学生がいたりと国際交流の機会が多くありました。こうした経験が自分のキャリアにおけるグローバル志向につながっていると感じています。
漠然とUSCPAに興味を持つなかで学習開始の決め手となったのが、本社の調達部門に異動となったことです。調達部門に異動となったことで、主体的に自分のキャリアをデザインするための軸として資格取得の必要性を感じ、USCPAの学習をスタートさせました。また、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった頃で、時間的な余裕ができたことも理由として挙げられます。転職を急ぐよりも、まずは自分の武器を身に付けるところからはじめようと考えました。
グローバルにビジネスを俯瞰できる移転価格コンサルタントの道へ
どうして転職活動をしようと思ったのですか。
USCPAの学習をはじめたきっかけとも重なりますが、前職では経理や財務のスペシャリストとしてよりグローバルなフィールドで、例えば、今後の海外進出などの意思決定や進出した現地の経営管理に関わっていきたいと考えていました。しかし調達部門に異動となり、自分が思い描いていたキャリアから離れつつあったことが大きなきっかけとなり転職活動を開始しました。
また、USCPAの学習を通じて身に付けた知識は、ビジネスの現場で実際に活かさないと意味がありません。単にUSCPAを持っているだけでなく、それを自分の武器や強みとして活かせるように監査法人やコンサルティングファームなど会計分野でのプロフェッショナル職に転職したいと考えました。
そのなかで、移転価格コンサルタントという分野に興味を持つようになりました。移転価格は国際税務の一分野であり、親会社と子会社の貿易取引に関連して発生する問題なため、グローバルな舞台での仕事となります。また、移転価格は一方の会社においては売上に、もう一方の会社においては仕入原価になるので、会社の利益率に大きな影響を及ぼします。まさに移転価格は会社活動の生命線そのものであり、経営インパクトが非常に大きく重要な領域です。
もともと前職の工場における経理業務で面白いと感じていたのは、ビジネスを俯瞰しつつ工場のニーズも捉えたうえで最適なコスト削減のアドバイスを行う点でした。こうしたアドバイザリー、コンサルティング要素に仕事としての魅力を感じており、移転価格コンサルタントのフィールドも同様に、クライアントのニーズを捉え、ビジネスの状況に即した最適なソリューションを提供する、そのためにコンサルタント自身が全力をかけ腐心するという点で非常に魅力を感じました。
KPMG税理士法人に入所を決めた理由
KPMG税理士法人に入所を決めた理由
KPMG税理士法人は、クライアント数が多く、クライアントの業界も多岐にわたるため、さまざまな移転価格の論点に対する経験を入社した時から積める点が魅力にありました。特に日系の大企業がクライアントとして多いため、親会社が主導するプロジェクトが多く、移転価格コンサルタント自身が中心となりプロジェクトを率先していくことが求められる点に惹かれました。
また、未経験の移転価格コンサルタントの採用が多いという点も重視しました。なかには事業会社で移転価格に携わったことがある人もいますが、移転価格コンサルタント自体はKPMG税理士法人からゼロスタートという人がほとんどです。
そのため入社時期の違いこそありますが、基本的に最初はみんな同じスタートラインに立つことができます。さらに上のシニア・マネージャー・パートナーの先輩方たちも最初は未経験から入ってくることを認識しており、手厚くサポートしてくれる体制が整っていました。OJT研修などの体制も万全ですし、実務上つまずきやすいポイントも把握しているので、親身に相談に乗っていただけます。
そのほか、これは自分が前職で事業会社に在籍していたからかもしれませんが、面接を通して感じたKPMG税理士法人のプロフェッショナルとしてのプライドが印象的でした。単に知識を誇示するのではなく、クライアントが何を求めているのかを深く理解し、徹底的にクライアント目線で物事を考えるわけです。
クライアントにとって最適なアドバイザリーサービスを提供できるように、KPMG税理士法人ではすべてのメンバーが努力、研鑽、切磋琢磨しています。周りの先輩方の向上心に刺激され、自分自身のパフォーマンスは前職の時と比較し格段に引き上げられたと感じています。
自分の声が通る環境にやりがいと責任を感じる
KPMG税理士法人における移転価格アドバイザリーの業務は、4人体制のチームで取り組むのが基本です。4人のメンバーは通常、上からパートナー・マネージャー・シニアスタッフ・スタッフが1人ずつで構成されます。クライアントとのミーティングなどを含め、メインで業務を回していくのはシニアスタッフやマネージャーで、最初スタッフのうちは、財務データの分析作業や、ローカルファイル、APA申請書などの資料作成、ミーティングの議事録作成などが業務の中心となります。
とはいえスタッフの業務でも、そのまま最終的にクライアントへの報告や、当局に提出する資料とつながることが少なくありません。もちろん上席者がレビューしますが、スタッフにも高いレベルが求められます。自分の「こういう考えで、こういうふうにこの資料を記載します」「ここがポイントだと思います」といった声をベースにしてプロジェクトが進むことも多く、やりがいと責任を感じられます。
その一方で、苦労することもありました。例えば、プロジェクトにもよりますが、短期間に膨大な量のデータを読み込んで、何かしらの気付きを得なければなりません。特に最初の頃は、資料の内容を把握するのに時間がかかり、またクライアントごとに提供される資料も異なるため、本当に大変な思いをした部分です。また、複数のプロジェクトを並行して担当することになりますが、プロジェクトごとにクライアント、移転価格上の論点、チームメンバーは異なるため、自分の頭を切り替えていく必要があります。このプロジェクトベースで仕事が進むのは前職と大きく異なる点であり、はじめのうちは慣れるまで苦労しました。
ちなみに、仕事はリモートワークが多く、出社頻度は週1、2回程度です。法人の制度として在宅勤務が認められており、多くの職員がそれぞれの働きやすい環境で仕事に取り組むことで高いパフォーマンスを発揮することができている印象です。在宅勤務制度以外にも、例えば、時短勤務の制度を利用して働いているお母さんもいらっしゃいますし、私と同時期に入所した男性は、9ヵ月ぐらい育休を取られていました。柔軟に働けるので、ワークライフバランスをコントロールしやすい環境なのではないでしょうか。
担当業務について教えてください。
入社してからさまざまなプロジェクトに参画し、関与したクライアント数は20社を優に超えるかと思います。自動車、医療機器などのメーカー、ゲーム、金融、IT系の企業など担当したクライアントは多種多様です。KPMG税理士法人では、移転価格に関連する全般のサービスを提供していますが、一通りのサービスに携わる機会をいただきました。
例えば、移転価格税制に関連して必要となる、BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)対応文書の作成を支援するサービスです。具体的には、マスターファイル・ローカルファイル・CbCR(Country by Country Report:国別報告書)といった文書の作成・提出を支援する業務ですが、非常に緻密な専門知識が求められます。
また、国家間で将来の移転価格を先に決めておくAPA(Advance Pricing Agreement:事前確認制度)の支援業務も担当しました。APAとは、将来期間における移転価格を日本と相手国それぞれに事前に認めてもらう制度であり、制度を活用することで将来期間における課税リスクを排除することが可能となる制度です。APAは最終的に国家間の交渉によって決定されますが、その交渉が円滑に進むため、われわれ移転価格コンサルタントが、クライアント、当局の橋渡しをする重要な役割を担います。クライアント企業のビジネスや業界動向、将来取引の絵姿を予見したうえで最適な移転価格設定を検討するだけでなく、日本・海外の当局に対して必要な情報をタイムリーに提供することが移転価格コンサルタントには求められます。クロスボーダープロジェクトのなかで多様なステークホルダーをまとめ上げプロジェクトの舵取りを担うことができ、移転価格のダイナミズムが味わえる仕事です。
そのほかに携わった業務としては、クライアントの移転価格ポリシーの策定が挙げられます。ビジネスをグローバルに展開するクライアントにとって移転価格設定は重要な経営課題の1つであり、税制上の観点を踏まえたうえで、クライアントの経営、ビジネスオペレーションの観点も最適な移転価格設定を検討する業務です。これ以外にも税務調査支援など、非常に多岐にわたる経験をしてきました。
業務のなかには、KPMGジャパンのメンバーファームと一緒にプロジェクトを組んで仕事を進めていくようなものもあります。例えば、あずさ監査法人が行う監査のなかで、クライアント企業が移転価格リスクを適切に踏まえたうえで税務上の債務引当を行っているか、監査法人と一緒にその会計処理の妥当性をレビューするといった業務もありましたし、KPMG FASが担当するM&A案件のデューデリジェンスにおいて、移転価格の視点からアドバイスを求められるといったこともありました。
最初はスタッフとして一番下のポジションからのスタートなので、上に付くシニアスタッフやマネージャーに教わりながら、プロジェクトに参画することになります。最近は、徐々に自分の後に入ってきたスタッフの人を従え、自分が実務を中心で回す役割となるプロジェクトも増えてきました。また、クライアントや税務当局に対するプレゼンテーションを任される機会も増えてきています。先日も、税務当局、クライアント、KPMG税理士法人と3社間のミーティングでは、クライアント企業の財務部門の役員や部長といった上席がいるなかで、プレゼンターとなり税務当局に対してクライアントのビジネス説明や移転価格取引の妥当性を説明する場がありました。入社して3年目になり、だんだんとクライアントに対して一人前の移転価格コンサルタントとして表立って行動する役割が求められているということを実感しており、プレッシャーもありますが、自身を成長させる糧になるとともに、やっと入社時に思い描いていたようなアドバイザリー、コンサルティング業務に携われていると実感しています。
USCPAを通じて身に付いた学び続ける習慣
入所後、USCPAを活かせていると感じる瞬間
USCPAが仕事に活きていると最もダイレクトに感じるのは、英文の決算書が苦労せずに読めるというところでしょうか。プロジェクトの初期段階でスタッフが行う実務の1つに、会社の財務諸表を確認し必要な財務情報を整理・分析する作業を行います。そうした実務に初めて携わった時でも、USCPAの学習経験を活かし難なく作業実施し、上位者からも“早く的確に作業いただき助かります。”と褒められた時は、USCPA取得が非常に役立ったと感じました。
USCPAで学習した知識が実務につながっていると感じることもよくあります。例えば、移転価格の算定方法の1つに、ディスカウント・キャッシュ・フロー法というものがありますが、これはUSCPAの「BEC(Business Environment Concepts:ビジネス環境および諸概念)」という科目で学習するファイナンスの考え方に基づく算定方法です。また、意外なところを挙げると、「REG(Regulation:諸法規)」で学んだ民法の内容も役に立ちました。移転価格は会計のみならず貿易取引や法律が深く関係してきますが、民法の枠のなかで貿易取引に関する法律を学んだことは、業務の理解を深める上で非常に役立ちました。こういった形で、USCPAで学習した知識はあらゆるところで移転価格コンサルタントとしての実務につながっています。
ただ、こうした知識面よりもUSCPAの取得を通じて身に着けたソフトスキルが最も現在の仕事で役立っていると感じます。私は働きながらUSCPAの勉強に約10ヵ月間取り組んできましたが、仕事と学習を両立させるなかでタイムマネジメントやセルフマネジメントのスキルを身に付けたと自負しています。移転価格の業務を進めていく上で、USCPAで学習した知識だけで十分ということはなく、常に学び続ける姿勢が欠かせません。特に、税制は時代の変化に合わせて改正があるため、移転価格コンサルタントとして常に最新動向をキャッチアップしていかなければなりません。また、クライアントのビジネスへの理解や英語力の向上と、業務にプラスアルファで学ばなければいけないことが非常に多いです。USCPAを取得する過程で培った習慣や自信があるからこそ、現在も業務と学習のサイクルをバランス取り各プロジェクトに取り組めているのだと思います。
グローバルを実感できるのが移転価格コンサルタントの魅力
移転価格コンサルタントの業務の魅力は、移転価格を切り口としながらクライアントのビジネスに入り込んだアドバイスを提供できる点にあると感じています。
もちろん移転価格は税制の一種であり法律に基づき規定されているものではありますが、その法律を適切に解釈したうえで、クライアントのビジネスごとに最適なアドバイスをすることが求められます。つまり、法律に則って手続きを進めるだけではなく、法律を解釈した上でクライアントのビジネスの実情やニーズをくみ取る必要があり、よりクライアント目線でのアドバイザリーサービス提供が必要になると感じています。
USCPA取得者の方々には監査職とわれわれ移転価格コンサルタントのようなアドバイザリー職を検討される方が多いかと思います。あくまで監査法人の方々と働いたなかでの個人的な印象とはなりますが、監査は一つひとつの会計処理が正しく行われているかを確認することに重点を置くイメージがあります。監査はクライアントのビジネスの結果として決算書が正しいかどうかのチェックを行うが、移転価格ではクライアントのビジネスの現状を捉えたうえで、より最適な将来のためのアドバイスが必要となります。「これからどうしていけばいいのか?」「クライアントのビジネスオペレーションの変化に合わせて、移転価格をどう修正すべきか?」といった建設的な話ができるところに、個人的には魅力を感じています。
また、移転価格の業務では、海外のKPMGメンバーファームやクライアントとも一緒に物事を進めていかなければなりません。例えばAPAの業務では、日本と相手国それぞれの当局に申請するので、日本と相手国において同時にプロジェクトを進めていくことが重要です。そのためにオンライン会議なども頻繁に行いますし、日常的にメールなどコレスポンデンスを取りながら業務を行っています。クロスボーダーのプロジェクトに携われる機会が必ずあるという点も移転価格コンサルタントの魅力の1つと感じています。
円滑にプロジェクトを進める上で欠かせないのが、相手国の人たちの仕事に対する姿勢、相手国の当局の考え方など、相手の文化をきちんと理解することです。英語を使えるかどうかという単純なことではなく、多様な背景を持つ人たちと一緒に物事を進めている時に、自分がグローバルな舞台にいることを強く実感しています。
移転価格コンサルタントに求められるのは「妥協しないプロ意識」
移転価格コンサルタントは、クライアントや関連する当局との間に立ち、プロジェクト中心者としてクライアントが抱える移転価格の課題を解決していく仕事です。多様なステークホルダーのなかで中心的な役割を果たすのが、私たち移転価格コンサルタントです。
もちろん大変なこともありますが、やりがいを感じられる魅力的な仕事です。もし今の段階で移転価格の領域に関心があれば、私は移転価格コンサルタントとしてのキャリアをおすすめしたいです。また、現時点では移転価格に興味がなくても、この話を通じて興味を持った方には、ぜひ挑戦していただければと思います。やはり興味を持てるかどうかというのが、長く働き続ける上で大切な要素じゃないでしょうか。
ちなみに、移転価格コンサルタントの領域ではさまざまなバックグラウンドの人が活躍していて、前職で会計業務未経験の方や新卒入社した方もいます。そのため入社前の経験で大きな違いが出るということはありません。その一方で移転価格コンサルタントに求められる資質として、クライアントに対して最適なサービスを提供するために妥協しないというプロ意識が挙げられるでしょう。
移転価格のプロジェクトは、多数の関係者が関与する複雑なものです。自分とクライアント間で完結するわけではなく、クライアントの先の子会社、KPMGジャパンのメンバーファーム、さらにその裏には日本・外国の税務当局も絡んできます。そうした多様な関係者の中心となり移転価格コンサルタントとしてプロジェクトを円滑に進めるために必要になるのが、多様な声や要望を受け止め、最良の解決策を模索するためのタフネスや主体性、その根底には、クライアントに高品質なサービスを提供するというプロフェッショナリズムが欠かせません。
自分自身の研鑽はもちろんですが、こういったソフトスキルの部分も、私たち移転価格コンサルトに共通して求められる大切な要素だと考えています。
目指すのはグローバルに活躍するプロフェッショナル
今後のキャリアビジョンについてお聞かせください。
最終的には、日本のみならず海外のクライアントからも信頼されるコンサルタントになりたいと考えています。幼少期に見た叔母のように、国籍を問わず誰からも信頼され働ける人になりたいと働く根底で思い続けていましたが、KPMG税理士法人の先輩方と働くなかでその思いは増しています。先輩方のように、国内外のクライアントが抱える潜在的な課題、ニーズを把握して、その期待を上回るバリューを発揮できる存在になりたいと考えています。
そのために、短期的にはシニアスタッフ、マネージャーとポジションアップをしていき、移転価格の論点やクライアントビジネスに対する理解を深めるだけでなく、プロジェクト管理、マネジメントのスキル・経験を高めていきたいです。また、クライアントに対して自分がフロントラインに立ち接することになるため、よりクライアント目線に立ち最適なソリューション提供が求められていきます。
さらには、日本で経験を積んだ後に海外現地で働くことが不可欠だと考えています。将来的にクロスボーダープロジェクトを円滑にマネジメントするには、一緒に仕事をする海外の方々の価値観や姿勢を理解することが不可欠と感じています。しかし、メールやオンライン会議でやり取り自体はできても、真に相手のことを理解するためには、日本に留まるのではなく、実際に現地で共に働くことが必要と痛感しています。現段階では、私には海外での実務経験、生活経験が無く、海外の方の根底にある価値観や仕事への姿勢、背景への理解が不足しており、現地とやり取りをするなかでももどかしい思いをすることが多々あります。そのため、海外のKPMGのメンバーファームやクライアント、各国の当局と直接現地で関わる経験を通して、世界中誰を相手に仕事しても自分のパフォーマンスが発揮できるようスキルを磨いていきたいと強く思っています。
USCPA取得者の転職支援実績の豊富さを実感
アビタスの転職サポートを利用してみて
USCPAの取得を考えて予備校選びをはじめた段階から、アビタスには転職サポートもありキャリアも含めて一番手厚くサポートしてくれるという期待感がありました。そのため転職を検討することになれば、基本的にアビタスの転職サポートを利用するつもりでした。
実際にアビタスのUSCPA取得者の転職支援実績は、他のエージェントと比較しても間違いなく豊富と言えるのではないでしょうか。いくつかのエージェントで話を聞く機会がありましたが、アビタスでは特に転職においてUSCPAをどうアピールしたら効果的か、応募先企業はUSCPA取得者をどのような目線で見て面接してくるかという点で、より的確なアドバイスをいただけたと感じています。
また私の場合、大手税理士法人に知人がいなかったこともあって、法人ごとの違いが分かりづらいところがありました。転職支援実績が豊富だからこそだと思いますが、こういった法人ごとの特色についてもフラットなアドバイスをくださりました。こうした点もアビタスの転職サポートを利用して本当に良かったと感じているポイントです
USCPAを目指す皆さんへ
個人的にUSCPAを目指しているというのは、他の人に打ち明けづらいところがありました。USCPA取得をした先に転職まで意識している場合はなおさらで、自分1人の孤独な戦いになりやすいところがあるかもしれません。勉強期間も最低でも1年近くかかりますので、時には、勉強に疲れてしまうこともあるでしょう。
しかし、USCPAの学習をはじめた頃には、誰しも「将来こういう風に活躍したい、こういう業界で働きたい」といった目標があって、強いモチベーションを持っていたはずです。ぜひこの初心を忘れずに根気強く学習に取り組んでください。目標を実現させて活躍する自分の姿を想像し実行することで、明るい未来が切り拓けると思います。
また、グローバルなフィールドで活躍するためにUSCPAを目指している方には、移転価格コンサルタントという道があることをお伝えしておきたいです。移転価格の領域では、クロスボーダーの案件に必ず携わることができます。
USCPAという専門性を土台にビジネスマインドを身に付けていきたい方や、グローバルな舞台で活躍したいと考えている方には移転価格コンサルタントは非常におすすめです。ぜひUSCPAを取得した先のこともイメージしつつ、モチベーションを維持しながら最後まで走り抜いていただければと思います。
上司からのメッセージ
KPMG税理士法人 移転価格チーム パートナー 伊東 貴彦氏
USCPAが活躍できる国際税務のフィールド
野口 一明さんの働きぶりは
野口さんは、業務に対して常に粘り強く誠実に取り組んでおられ、また非常に高い志気をもっています。ご自身の考えをきちんと持っており、上司やクライアントに意見を求められた際には積極的にご自身の考えを伝えるコミュニケーション能力も持ち合わせています。
自分の意見を主張できるスタッフの方は他にもおりますが、自己主張が強過ぎたり、「角の立つ」言い方では総意が得られなかったり、正しい意見であってもクライアントの機嫌を損ねてしまう場合もありますが、そうならないよう配慮の取れたコミュニケーションが出来る優秀な移転価格アドバイザーです。このような持ち前のコミュニケーション能力を駆使して、プロジェクトの中心メンバーとしてクライアント業務で大活躍頂いています。
移転価格アドバイザーの実務は一見税法に長けている必要があるように見えますが、税法よりも会計(特に簿記や財務諸表)やファイナンスの応用が求められます。その意味でUSCPA取得者である野口さんは会計やファイナンスの面での基本的な素地が備わっていることから、移転価格実務のテクニカル面での飲みこみや理解度も高く、非常に論理的かつ明快で、きちんと論点を把握して業務に取り組まれています。
また、クライアントからの信頼も厚く、移転価格コンサルタントとして順調に成長を続けていますので、これからの活躍が非常に楽しみな人材の一人です。
USCPAホルダーに期待すること
移転価格アドバイザリーは、国際取引を扱う仕事です。グローバル企業の国際取引戦略にとって非常に重要となる移転価格における課題解決のため、弊部門ではグローバルネットワークを生かして海外の専門家ともチームを組みながら、税に関するプロフェッショナル集団としてあらゆる場面でのお客様のニーズに応えています。
USCPAは、その取得において国際的な会計・税務・ファイナンスの実務を英語で学ぶものであることから、移転価格アドバイザリー業務との親和性が高いものと考えております。高度の専門性を要する質の高い税務アドバイザリーサービスを提供する領域において、国際的なビジネスの感覚を有するUSCPAがその強みを発揮されることを期待しています。