• USCPA全科目合格
  • 監査法人
  • 転職者インタビュー
2024/05/14

有限責任あずさ監査法人 第4事業部 入社1年目 大澤 一樹さん

※ご経歴・入社年数はインタビュー時のものです。

大澤さんは、USCPA全科目合格を機に有限責任あずさ監査法人の会計監査職に転職されました。インタビューではあずさ監査法人の魅力に加え、入所1年目だからこそ感じる新鮮な驚きや感動、具体的な業務のキャッチアップの仕方を語ってもらいました。

「国内外問わず、どこでも働ける人間になりたい」とUSCPA取得を決意

監査法人に転職される前について教えてください。

高校生の時に初めて短期留学で海外に行きました。様々な文化に触れて、その刺激に魅せられ、大学でも旅行ベースで様々な国に行くようになりました。そこから「海外で働いてみたい」という軸で就職活動を行い、大手交通インフラ系企業に入社しました。

まずは国内・海外各拠点の収支管理、予算の取りまとめを行う管理部門に配属されました。国内営業所の管理を経験した後は、海外現地法人の担当になり、20社程度の予算管理や四半期の決算報告に携わりました。4年目の時には、海外研修制度を利用し、1年間米国の子会社に研修生として出向しました。

USCPA(米国公認会計士)を取得しようと思ったきっかけは。

簿記の知識が全くない状態で管理部門に配属され、自分で勉強しなければ仕事に付いていけませんでした。まずは簿記を理解しようと思い、国内営業所の担当時に日商簿記2級を取得。その後、海外担当になった際、簿記1級やBATIC(国際会計検定)という選択肢とも迷いましたが、「英語」「会計」という自分に必要な知識が一番幅広く身に付くと思いUSCPAを選びました。

会計自体は未経験の領域だったため、勉強を始めた当初は正直あまり面白いと思いませんでした(笑)。ただ、学習を進めていく中で、自分に向いている領域だと感じました。性格的に落ち着いており、物事に冷静に対処できるところが強みだったので、会計のように会社全体を見渡しながら分析する仕事の方が力を発揮できました。振り返ると、小学生の頃は百マス計算が好きで、数字に対しては抵抗感なく育ってきたこともあると思います。

広く必要とされるスキルを身に着けられる環境、それが監査法人

どうして転職活動をしようと思ったのですか。

USCPA取得は、担当業務への理解を深め知識を増やすといった目的もありましたが、キャリアの選択肢を広げたかったという理由もありました。直属の上司を見ていて、これから自分にどういったキャリアパスの可能性があるのか、ある程度イメージできるようになり、もっと自分の可能性を広げたいと転職も視野に入れました。USCPAの学習を進めながら、「国内外問わず、どこでも働ける人間になりたい」という目標もはっきりと定まってきました。

私は関西出身で、将来的に地元に戻るという選択肢も持っておきたいと考えていました。当時携わっていた業務内容では勤務地が「東京」か「海外」という可能性が高く、このままキャリアを積んで、いざ地元に戻りたい、となった時に社会に求められるスキルがあるだろうか、必要とされる人材になっているだろうかと疑問に思いました。だからこそ、事業会社に残るより、広く必要とされるスキルを身に付けられる環境に身を置きたいと考え、監査法人への転職を決意しました。

監査かアドバイザリーか迷いましたが、当時の自分ではアドバイザリーとして何かできるイメージが湧きませんでした。情報収集する中で、監査経験を活かしアドバイザリーとして活躍できることを知りました。そこで監査の仕事にまず携わり、そこから様々な選択肢の中でアドバイザリーも考えてみようと思い、会計監査ポジションで選考を進めました。また、アドバイザリーから監査に異動するケースが少なかったことも要因の一つです。

有限責任あずさ監査法人に入所を決めた理由

応募する前からアビタスの転職サポートのアドバイザーに、各法人の印象を聞いていました。感覚的にも面接官の人柄的にも私が一番合う法人だと感じていたのが、あずさ監査法人でした。当時から持っていた印象通り、人に対して丁寧で、温かい法人だと感じています。

研修を終えて、実務に携わるようになると色々なチームに入って仕事を進めていきます。どこのチームに行っても、私が中途入所ということが認識されていて、会計監査の経験がないゼロベースからのスタートとして丁寧に教えてくれます。皆さん、受け入れる側としても慣れており、非常に仕事を覚えやすい環境でした。

働き方改革の工夫があり、先々を見通したスケジュールも

あずさ監査法人は働き方改革も進めており、様々な工夫や制度が導入されています。例えば、業務上で使用するシステムへアクセスできる時間が制限されていることも一つです。平日であれば21時、水曜日は20時までになっており、それ以降は申請をしないと社内システムにアクセスできません。

また二つ目としては、事前に先々の業務スケジュールが確認できることです。私は複数クライアントを担当していますが、大枠のスケジュールをマネージャー以上が組み立て、展開してくれます。マネージャー以上がシフト形式で「このプロジェクトにどれぐらい人が必要だから、この人の手を借りたい」と決めていくのです。稀にマネージャー同士で1人のスタッフを取り合うこともあるそうです。「この人が欲しい!」と重複してしまうと、そこはマネージャー同士で話をします。

スケジュールは基本的に3ヶ月に1回、3ヶ月先のスケジュールまで一人一人出されています。1週間ずっと出張の時もあれば、1週間のうち2日間はA社、1日はB社、残り2日間はまた別のC社という週もあります。その時々によって異なるスケジュールです。

スケジュールには勤務時間の記載もあるため、7時間や8時間が続いていれば平常運転、9時間が1週間続いていると「この週は忙しそうだな」ということが予測できます。あくまで大枠のスケジュールであるため、7時間と書いてある日に9時間働くこともありますが、先の流れが見えることで、事前に業務の忙しさが見えるのは助かりました。

監査業務の特性上、出張が続くこともあります。日曜日から前泊して1週間ずっとホテル暮らしになる週は、体力的にも辛いです。しかし、それ以外の日は、前職と比較しても朝が遅く始まるので、ゆとりのある生活です。前職は9時~18時が定時、昼休憩は12時~13時ときっちり決まっていました。今は事務所で業務を開始後、客先への訪問も9時半~10時頃に出掛けます。 昼休憩もお店が混みだす前に「じゃあ、行こうか!」と業務の都合にあわせて休憩をとることができ、柔軟性やメリハリがある働きやすい環境だと思います。

監査業務は12月決算の会社対応で年明けから、3月決算の会社対応で5月の大型連休明けまで忙しくなります。3月決算を例に挙げると、決算数値が固まるのが4月中旬、そこから実際に数字を確認するのが4月末~5月です。皆さん12月決算・3月決算の会社をバランスよく担当するケースが多く、年明けから大体半年、5~6月頃までは法人としても忙しいです。

私は、担当しているアパレル企業が12月から2月に決算期変更を行いました。そのため、年明けからは継続的に忙しくなりそうです。ただ、繁忙期を過ぎた後は業務も落ち着きます。閑散期では大型連休に出社した分、他の月の平日が休みになったりします。私が入所した初月の6月は毎週火~金曜日の週4日勤務でした。夏休みも長く、昨年は会社の暦上11連休でした。そこにさらに有休を加える方もいるので、夏休みは長期間の休みが非常に取得しやすい環境です。私自身も有休を加え13連休にしました!久しぶりに実家に帰ってゆっくりと過ごしましたよ。

また、周りには育児をしながら働く方や産休・育休を経て復帰する方もいます。私が入所したタイミングで復帰する方も複数名いました。どんなライフステージであったとしても、気持ち良く働ける環境があずさ監査法人にはあると思います。

現在の担当業務について教えてください。

入所後、約1ヶ月は研修を行います。eラーニング形式の研修を2~3週間受けました。私の入所月は産休・育休明けで復帰する方、転籍・海外からの帰任者はいましたが、中途採用で入った方がいないタイミングでした。1人で黙々とネット研修を受けましたが、少しだけ寂しくもありました(笑)。研修を終えた後は、実際にチームに配属されます。私はクライアントを5~6社抱えています。チームごとにメンバーが大きく異なり、大きいチームだと現場メンバーが7名、マネージャー以上が4名程度在籍し12~13名規模です。

私が最初に担当したチームは自動車部品会社の会計監査でした。私が担当した1番初めの仕事は、監査システムへのデータ入力です。インチャージ(主査)という現場責任者に「こうやって入れてください」と教えてもらいながら入力しました。その他には前期の試算表(トライアル・バランス)を企業から預かり、監査チームの担当者がどの科目を担当するかというリストを作りました。現在もOJTで丁寧に指導を受けながら、少しずつ担当できる業務の幅を広げています。

今は自動車部品会社に加えて、アパレル会社やプラントエンジニアリング会社、ロボット産業等の監査に携わっています。私が所属する第4事業部はグローバルな顧客が多いことが特徴です。日系企業であれば上場会社+海外拠点を持つ会社、外資系企業であれば日本法人を担当します。

上場企業であれば四半期毎に往査をしますが、今の時期は内部統制がしっかりデザインされ、運用できているか書面化することが主な業務内容です。その会社の人しか基本的に触れることのない、内部統制に関する資料を読み込むことで、会社の事業理解にもつながるので、非常に勉強になっています。

また業務上、出張もあります。私は、国内出張が中心ですが、マネージャー以上になると海外出張に行く機会もあります。早い方であれば、4~6年程度キャリアを積んだシニアスタッフにもチャンスがあります。国内出張については、担当するクライアント次第ですが、基本的に1年目であっても全員が出張に行く機会があります。

自分が携わった会社の決算報告が新聞記事に

監査の面白みの一つは、様々な会社に訪問できることです。クライアント先で仕事をすることがメインなので、あまりオフィスに帰りません。実は取材を受ける今日、約1ヶ月ぶりにオフィスに足を運びました。クライアント先に直行直帰することが多いため、仕事と関係ないところでもクライアント企業の中を知ることができます。社員食堂も利用するので、自然とオフィスの雰囲気を掴むことができます。外資系企業はこういう雰囲気でおしゃれなのだな、というのも分かりました(笑)。なかなか他の仕事ではできない経験だからこそ、そこも単純に面白いです。

仕事のやりがいに関して言えば、機密事項や世に出る前の情報を扱う責任の重さ、自分が携わった会社の決算報告が新聞の記事になるというインパクトは、目に見えるやりがいの一つだと思います。

前職の経験も監査業務に活かすことができています。前職では海外子会社の決算報告を担当しており、実際に海外から決算資料をもらい、それを所定のフォーマットに落とし込んで報告資料を作っていました。「会社の資料をもらって分析し、必要であれば質問する」という流れは、会計監査と似ているところがあると思います。また、監査業務はExcelを使用することが多いため、前職でExcelを使っていたことも、業務の慣れに繋がりました。

まだ入社して間もなく、年次も一番下なのでKPMGの海外メンバーと接する機会はありません。ただ、チームにはKPMG香港のメンバーもいるので、今後徐々に英語を使用する機会が出てくるのではないかと思います。

入所後、USCPAを活かせていると感じる瞬間

USCPAの中で、一番知識を使うのはFAR(財務会計)・AUD(監査及び証明業務)だと思います。特にAUDは監査をやる上で直結する知識が身に付きました。FARではUS-GAAP(米国会計基準)の知識に加え、財務諸表の細かい内容も体系的に学べたので、勉強して良かったです。

ただ一方で、US-GAAPの会社は数としてとても少なく、日本基準が最も多く、次いでIFRS基準の会社です。そのため日本基準の勉強も必要不可欠です。USCPA全科目合格で満足してはいけないと、入所し、身をもって感じています。私自身、日本基準の知識をキャッチアップするために、最近は日本の公認会計士の教材を使って勉強を始めました。仕事と両立できるか不安もありますが、このままでは実務に必要な正確で深い知識や応用力が足りないと感じたため、せっかく勉強するのであれば日本の公認会計士の教材を通してキャッチアップに努めようと思いました。

USCPA全科目合格が日本基準の学習に繋がる

USCPA全科目合格を通して得た知識・学習スタイルは、日本基準の学習にも存分に活きています。現在、FARの範囲を勉強しています。広く浅く学び、原則を押さえるというUSCPAに対し、日本の公認会計士の教材では「原則はこうだけれど、〇〇例外、△△例外や□□例外がある」という深掘りや様々な原則の組み合わせによる応用力が問われる問題が多いという印象を受けました。「どこまで勉強させるのか?それは本当に実務で必要なのか?」と思うぐらいまで記載されています。USCPAで培った原則理解の上に、どういった例外や応用があるのかを、日本基準の学習で知識を付けていくイメージです。

またUSCPAは英語受験でしたが、公認会計士の教材は日本語で学びます。そのため今までの理解をより深めるにも効果的だと思います。USCPAを経て日本基準の勉強をすることは、いい相乗効果になると思っています。

監査を経て、国内外問わず働ける人材になる

今後のキャリアビジョンについてお聞かせください。

まずはインチャージ(主査)という現場責任者のポジションに3~4年後には就き、経験を積むことが短期的な目標です。その先は、まだ具体的なイメージはついていませんが、国内外問わず働ける人材になることが目標です。地元に戻って働いてみるのも、USCPAという「英語×会計」の専門家という肩書を武器に、また海外で仕事をしてみるのも良いと考えています。3年より先のことは、これから少しずつイメージを固めていきたいと思います。

面接練習から履歴書の書き方まで、幅広く支援してもらえた

アビタスの転職サポートを利用してみて

アビタスに通っていたので、せっかくだったらアビタスの転職サポートを使ってみようと思ったのがきっかけです。担当のアドバイザーに丁寧にフォローして頂けたので、無事に内定が獲得できました。とても感謝しています。面接練習や履歴書の書き方まで、幅広く対応してもらえたので、安心して転職活動を進めることができました。

USCPAを目指す皆さんへ

私自身、USCPAは簡単に取得できたわけではありません。何度も失敗して、Expire(失効)も経験しました。ただ、諦めなければ合格できる資格だと思います。うまくいかないことも多々あると思いますが、「最後までやり遂げる」という気持ちさえ忘れなければ、合格までたどり着けるはずです!

USCPA取得後、監査法人や外資系企業等、様々な選択肢の中でどのキャリアからスタートさせるか迷う方もいるかと思います。私自身、外資系企業の管理部門に行くという選択肢も考えましたが、その選択肢は監査を経験してからでも遅くないと思い、監査法人をメインに転職活動を行いました。最初のステップとして選択肢が一番広がる進み方だと思ったからです。

監査に行ってからでもアドバイザリーは遅くないと思います。あずさ監査法人において、アドバイザリーから監査へ異動するケースはあまり聞きません。監査で経験を積み、監査のベースを活かしてアドバイザリーに携わる方が、より質の良い仕事ができると思います。監査法人に興味がある方は、私のように監査からキャリアをスタートするのも良いと思います。

上司からのメッセージ

東京 第4事業部 パートナー 森田 真佐宏氏

グローバルエンゲージメントに関与し、活躍できるスペシャリスト

大澤 一樹さんの働きぶりは

大澤さんは、前職において、国内営業所の収支管理や海外子会社の四半期決算報告などの業務に関与されていました。そのため数値を分析し、必要に応じて関係部署とコミュニケーションを取るなどの経験をされており、その経験が今の監査業務に活かされていると感じています。

監査業務において、数字を分析理解し、疑問点・懸念点について、クライアントへ質問等を行い検証していく作業を適切に理解し、自ら考え、責任感を持って実行できています。

また、社会人としての基礎があることから、監査業界では1年目ですが、社会人としては6年目になります。クライアントやチーム内のコミュニケーション、仕事に対する姿勢など、ある程度自信をもって取り組んでいただいているように感じます。我々も安心して業務を任せることができ、監査チームにおいて貴重な存在となっています。

現在、大澤さんには海外子会社を多数有する上場会社を含めた数社を担当してもらっています。日本基準のみならずIFRSで作成された財務諸表の監査や内部統制監査を通じて、幅広い知識や経験を積んでいただき、今後は担当会社の海外子会社とのコミュニケーションや海外往査も含め、チームのコアメンバーとして幅広く活躍してくれることを期待しています。

USCPAホルダーに期待すること

KPMG/あずさ監査法人ではUSCPAの方も日本の公認会計士資格保有者と同じように重要な戦力として位置付け、個人の経験や能力に応じた業務を担当していただいております。日本基準、IFRS、USGAAPの会計監査業務はもちろんのこと、監査業務以外のいわゆるアドバイザリー業務についても経験できる機会があります。

その中でUSCPA取得者は、相対的に高い英語力を有することもあり、また、自身のキャリアパスの希望等を考慮すると、グローバルエンゲージメントに関与し、スペシャリストとして活躍してほしいと考えています。
グローバル監査における各国KPMGとのコミュニケーションや海外駐在等、KPMGというグローバルネットワークを利用して世界を舞台に活躍するプロフェッショナルになってほしいと思います。