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2024/08/26

昨今の不安定な経済環境の中で、就職やキャリアアップを目的とした転職のために会計資格の取得を目指す方は増えています。その中でも、日商簿記検定は知名度や学習のしやすさから、幅広い層に人気の資格です。一方で、日商簿記資格を取ることで具体的にどのように就職・転職に役立つのか、またどの級まで取るべきなのか分からないまま学習している方も多いことでしょう。

当記事では、日商簿記検定の概要と、どのように就職・転職に役に立つのか、どの級までを目安に取得するべきなのか解説します。

日商簿記検定とは

会計系資格として誰もが真っ先に思い浮かべるものは、日商簿記検定でしょう。日商簿記検定とは、日本商工会議所と各地の商工会議所が実施する、簿記の技能を測る検定試験で、日本における会計系資格・試験の中で最もメジャーなものの一つです。

1級~3級と級別の資格となっており、年齢や学歴といった受験資格はなく、誰もが受験可能です。また、「上位●パーセントが合格」といった競争試験ではなく、合格点をクリアすれば全員が合格する点が特徴です。現在は統一試験(ペーパー試験)に加えて、1級以外はCBT試験(コンピューターを利用して実施する試験形式)で受験が可能です。

参考:日商簿記検定

以下では各級別に試験内容を解説します。

日商簿記検定3級

日商簿記検定3級では、中小企業を想定した基本的な商業簿記の内容が問われます。2級、1級とは異なり工業簿記の出題はなしです。

基本的な商業簿記の知識や経理関連書類に関する適切な処理を学習することができるため、会計学習の第一歩におすすめの資格です。

日商簿記検定2級

日商簿記検定2級では、3級よりも規模の大きな企業を想定した内容が問われます。また商業簿記だけでなく、製造業を対象とした原価計算等の工業簿記も問われます。

近年、日商簿記2級の難易度が急激に上がっており、合格率も低くなっています。難易度が上がった背景としては、2級で取り扱う内容が従来より高度なものになったことが挙げられます。具体的には、税効果会計、連結会計といった会計分野でも抽象的で難解な論点が含まれるようになりました。

高度な内容も含まれるため、3級と比較して学習のハードルは上がりますが、それゆえに企業からのニーズが高くなっており、取得する価値は高いです。

日商簿記検定1級

日商簿記検定1級では、2級と比較してより高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の知識が問われます。公認会計士試験受験者・合格者でも不合格になることがあるほどの難易度で、商業簿記・工業簿記に関する深い理解と高度な処理能力が必要になります。1級は非常に難易度が高いので、一般的な会計人材は2級の取得までで十分であると考えられ、より高みを目指したい方向けのものであると言えます。

日商簿記検定は何級を取るべき?ニーズに応じて解説

日商簿記検定は1級~3級まであり、自身がどこまで取ればよいかわからない方も多いことでしょう。ここでは、ニーズに合わせてどの級まで取得すべきかの目安を解説します。

日商簿記検定3級の取得がおすすめな人

日商簿記検定3級は、これから簿記の学習を始める方や会計実務が全くない方に挑戦をおすすめする資格で、簿記学習の第一歩の資格となります。

先述の通り、小売業や卸業の中小企業を想定しており、内容も基本的な仕訳、財務諸表の知識が得られるに留まります。そのため、日商簿記検定3級のみで会計専門性のアピール材料となるケースは少ないです。ただし、会計事務作業員といった単純作業をする庶務業務につきたい方の場合は日商簿記検定3級をアピール材料とすることができるでしょう。

また、他の資格や実務経験と合わせることでアピールとすることも可能でしょう。例えば、営業担当の方が日商簿記検定3級を取得していれば、最低限の会計感覚のある営業担当としてアピールすることができます。

そのため、日商簿記検定3級までの取得がおすすめできる方は、「伝票入力といった単純な庶務業務に従事したいと考えている方」や「最低限の会計知識・感覚があることをアピールしたい営業担当者等、会計分野とは異職種の方」になります。

日商簿記検定2級の取得がおすすめな人

就職・転職時に実務に使える会計知識をアピールしたい方は日商簿記検定2級までを取得することをおすすめします。一般的に、履歴書に記載し単体でアピールできるのは日商簿記検定2級からになります。

日商簿記検定2級は3級とは異なり、大企業を想定した高度な会計知識を学びます。特に、税効果会計、連結会計といった分野は大企業の経理では非常に重要な論点であり、これらを理解していることは大きなアピールとなります。

また、2級からは工業簿記・原価計算を学習するため、工場経理として転職する機会を得られる可能性があり、転職先に幅を持たせることができます。

私自身、大学生の時に日商簿記検定2級を取得し、就職活動では履歴書に記載をし、アピールをしていました。入社後は経理業務に携わり、経理人材として専門性を身につけたいと考えたからです。実際に就職活動の面接でも日商簿記2級資格に言及されることも多く、内定先の配属面談でも日商簿記検定2級に触れられた上で経理配属をすすめられ、無事希望通りの経理部門へ配属となりました。企業において、日商簿記検定2級が重要視されていることを実感した出来事でした。

日商簿記2級までの取得は、会計分野に携わりたい方に幅広くおすすめすることができます。

日商簿記検定1級の取得がおすすめな人

先述の通り、日商簿記検定1級は非常に難易度が高いので、会計分野への転職を考えている方や一般的な会計人材は日商簿記検定2級までの取得で充分です。

ただし、実務経験が長い方が自身の会計専門性をより客観的にアピールするにあたり、日商簿記検定1級を取得するのは良いでしょう。会計資格の最高峰として日本の公認会計士資格(JCPA)や税理士資格がありますが、簿記1級よりさらに難易度が高く合格は困難を極めるため、日商簿記検定1級の取得で充分であると考えれらます。

日商簿記検定以上に会計人材であることをアピールする上でおすすめの資格は?

米国公認会計士(USCPA)

米国公認会計士(USCPA)とは、米国各州が認定する公認会計士資格です。

日本ではなくアメリカの資格であるものの、日本国内で学習・受験ができ、様々なバックグラウンドの方が就職、転職、キャリアアップ等を目的としてチャレンジしている資格です。近年のグローバル人材の需要の高まりにより、この資格を評価している企業は多く、今後さらに増えていくことが予想されます。

試験内容は、財務会計、監査、税法等を幅広く学習することができます。また、試験では英語での出題となるため、学習を通じて自然と英語のリーディング力を養うことができます。

米国公認会計士についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

関連記事:USCPAとは?魅力や取得後のキャリア・難易度・試験内容を詳しく解説

日商簿記検定やUSCPA資格の取得で就職・転職が有利に!

会計資格の取得により就職・転職で有利に働くケースがほとんどです。中でも、昨今のグローバル人材の需要の高まりにより、特にUSCPAがおすすめです。公認会計士、税理士といった最難関資格は多忙な社会人での取得は困難を極めますが、USCPAは多忙な社会人でも無理なく学習・取得が可能です。また、会計だけでなく英語力も身につくため、会計だけでなく英語もできる人材としてアピールすることができ、自身の市場価値をより高めることができます。