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2024/10/01

経理への転職を考える際、重要となるのは何でしょうか。現在経理業界への転職を考えておられる方は、このような疑問をお持ちだと思います。また、転職には資格の保持、特に経理関係の資格でポピュラーな簿記について保持は必須だという声をよく聞きます。この記事では、まず最新の経理業界への転職市場動向から重要となる要素を確認し、簿記の保持は本当に有利となるのかを確認したいと思います。

経理業界への転職について

経理業界への転職について、財務を含めた最新の転職市場動向を確認します。
なお、最新の経理・財務転職市場動向における数値については、「MS-Japan調べ『経理・財務の転職市場レポート2024』(https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12407.html)」および「MS-Japan調べ『【2024年最新版】経理・財務の転職市場動向を徹底解説!』(https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12446.html)」の調査結果を利用しています。

経理・財務経験

経理・財務への転職において、経験の有無は大きく影響します。まず、経理・財務求人において、未経験OKの求人は全体の約10%しかなく、約90%が経験者の求人でした。また、転職決定者の経理・財務経験有無の割合を見ても、経験ありが約70%、経験なしが約30%となっています。経験なしでも転職は可能ですが、経験者が非常に有利な傾向があると言えます。

転職希望者・決定者の経理関連資格の所持

転職希望者の経理関連資格の所持の割合は、資格ありが約76%、資格なしが約24%となっています。一方、転職決定者の経理関連資格の所持の割合は、資格ありが90%、資格なしが10%で資格を持っていると転職が決まりやすい傾向にあると言えます。

また、資格ありの転職希望者において、最も多くの人が持っている資格は日商簿記2級(保持者の約70%)、次いで日商簿記3級(約29%)、日商簿記1級(約9%)でした。資格ありの転職決定者においても、最多は日商簿記2級(約73%)で、次いで、日商簿記1級(約13%)、日商簿記3級(約12%)となっています。
転職希望者のうち7割が資格を保持していますが、転職決定者になると資格保持者は 9割となり、資格を保持していた方が転職に有利と言えます。

また、希望者・決定者で資格を保持している人のうち、約7割が日商簿記2級を保持しています。日商簿記3級保持者は、転職希望者の資格保持者の約3割に対し、転職決定者の資格保持者では約1割に減少することから、日商簿記2級が3級に比べ転職の際に有効だと言えます。

転職動向まとめ

経理・財務の転職において、重要なのは、経験と資格であると言えます。未経験より経験者が有利であり、資格は保持していた方が圧倒的に有利で、日商簿記2級の保持は有効と言えます。

私の体験

ここで私の体験を述べたいと思います。私は営業から経理、経理から経理へと、2回転職を体験しました。私は、新社会人として旅行会社に入社、営業職を2年務めた後、転職を考えました。営業職はもうやりたくないと考えたため、事務職で仕事を探すことにしましたが、学生時代に日商簿記2級を取得していたため、経理を中心に転職活動を行いました。

ただ、経理案件は、経験者のみとしていることが多く、応募さえできないことがほとんどでした。幸い、未経験可としてくれている会社があり応募した結果、運良く採用されました。後に採用理由を聞いたところによると、日商簿記2級の保持が理由の一つでした。また、私はさらにその後、もう一度転職活動を行うことになりました。経理を希望していたところ、すぐに案件が見つかり、転職することが出来ました。初めの転職に比べ、ほとんど苦労することなく転職することが出来ました。経理経験の有無は大きいのだと実感しました。

この2回の転職から、経理への転職に重要なのは経験と資格だと感じました。私の初めの転職は約15年前、2回目の転職は約12年前のことになりますが、先に確認した最新の転職動向と同じで、昔も今も状況は変わっていないと思います。

転職を検討する場合

先に確認したように、経理への転職に重要なのは経験と資格でした。経験については現職が経理ではない場合、自分の力では経験を積むことができずどうしようもない場合がありますが、資格については、自分の力での取得が可能です。次に資格について確認したいと思います。

経理の転職の際に有利な資格について

先の最新動向において、転職希望者・決定者のほとんどが日商簿記を保持していました。日商簿記は経理関連資格の中では非常にポピュラーな資格ですが、ここでは改めて日商簿記検定の内容について確認したいと思います。

日商簿記検定とは

まず初めに日商簿記検定とはどのようなものかを確認します。

そもそも簿記とは、企業の経済活動を帳簿に記録する知識・技能のことです。その簿記の習得度を測るのが日商簿記検定試験になります。1級・2級・3級・簿記初級・原価計算初級の5種類がありますが、ここでは転職希望者・決定者の多くが保持していた1級・2級・3級を取り上げ、各級で問われる知識と対象者を確認します。

日商簿記3級

業種・職種に関わらずビジネスパーソンが身に付けるべき基本知識が問われます。具体的には、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえた、基本的な商業簿記の知識が問われます。決算書類等の経理関連書類の簡単な理解が出来るレベルです。

日商簿記2級

企業の経理担当者および経理事務員として実務を行うにあたり必要な簿記の知識が問われます。具体的には、商業簿記に加え工業簿記の知識が問われます。税効果会計や連結会計といった企業(特に大企業)の経理では非常に重要である業務に関する知識も問われます。この資格の保持により、企業の経営状況を把握することが出来るレベルです。

日商簿記1級

企業の経営管理を効果的に行う上で必要な知識が問われます。具体的には、高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の知識が問われます。会計基準や会社法、企業会計関連法規を踏まえた経営管理や経営分析が出来るレベルです。

簿記のまとめ

以上から、各級の対象を大まかにまとめると、3級は全ビジネスパーソン、2級は経理実務担当者、1級は経営管理担当者、となります。

経理担当者への転職を考えるなら、最新の市場動向からも見える通り、日商簿記2級の取得が望ましいと言えます。

まとめ

経理への転職を考える際、経験と資格は重要になりますが、経理経験が無くとも、資格の取得で不利をカバーすることは十分に可能です。まず、未経験で資格がない場合、まず経理実務担当者として必要な知識が問われる日商簿記2級の取得を目指しましょう。

経理に転職した後

経理に転職したのち、経理人材としてのさらなるスキルアップや、経理の上の経営管理業務を目指すのであれば、さらなる知識の習得が必要です。知識の習得を資格の取得を通じて行う場合、日商簿記2級を保持しているのであれば日商簿記1級の取得を目指すのもいいですし、日本の公認会計士等の日商簿記以外の資格取得を目指すのもいいと思います。

私がここでお勧めしたいのは、USCPA(米国公認会計士)です。

USCPAの試験では、会計や監査、ITや内部統制、経済学等ビジネスで必要になる様々な分野が問われます。このため資格の勉強を通じて、基本となる会計分野だけでなく、会計に関連した分野の知識も幅広く体系的に取り入れることが出来ます。また、会計の知識を身に着けながら英語力を身に着けることが出来ます。
日商簿記1級や日本の公認会計士試験とは違い任意のタイミングでテストセンターでの受験になりますので、働きながら勉強し資格取得をするには最適の資格だと言えます。