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2024/10/01

昨今、新卒学生の就職先人気ランキングでも名前が上がる機会が増えてきている、いわゆる「Big 4」。現在、日系のコンサルティングファームや事業会社で勤務されている方の中には、Big 4への転職に興味を持っている方もいらっしゃると思います。本記事では「Big 4に就職・転職すると年収が上がるのか」について、実際に内部で働いているからこそ分かる実体験も含めて現役のコンサルタント・USCPAホルダーが解説いたします。

そもそもBig 4とは?

既にご存知の方も多いかとは思いますが、そもそもBig 4とは何か、どのようなビジネスを手掛けているかについての概要を最初にご説明します。

Big 4は会計事務所を母体とするグローバルファーム4社を指します。具体的にはPwC、Deloitte、KPMG、EYです。どのファームも監査法人、コンサル部門、ファイナンシャルアドバイザリー部門(FAS)を持っていますが、どこに力を入れているかはファームによって異なります。また、明確に棲み分けがされているようでされておらず、機能が重複しているケースもあります。

コンサルティングファーム

PwCコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、KPMGコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの4社です。クライアントの問題解決に従事する形でプロジェクトワークを行います。昨今のトレンドとしてDX、システム導入系のPJが多い傾向です。インダストリーとオファリングで組織が分かれており、その双方からメンバーを出す形でプロジェクトを組成することが多いのが特徴です

監査法人

PwC Japan有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人の4法人です。基本的には会計監査を行います。監査は公認会計士の有資格者しか行うことができませんので、必然的に会計士の在籍者数が多くなっています。

FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)

PwCアドバイザリー、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー、KPMG FAS、EY ストラテジー・アンド・コンサルティングの4社です。EYだけはコンサルティング部門と同じ組織になっています。業務内容はコンサルティングファームと似ていますが、より専門性の高いサービスを提供します。特にM&Aに特化したアドバイザリーが多い傾向にあるといえます。

Big4の年収

さて、実際のところBig 4の年収事情はどうなっているのでしょうか。コンサルティングファーム、監査法人、FASで差はあるのでしょうか。

結論から言うと、一般的な傾向としてはFAS、コンサルティングファーム、監査法人の順に高いとされています。これはコンサルティングの方がフィーの相場が高くなりやすく、FASはより専門性が高いためさらに高くなりやすいということです。より高いフィーを払ってもらえればファームに多くの利益が残るため、コンサルタントへ給料として還元される金額も高くなります。

また、同じカテゴリの中でもBig 4のどの法人で働くかによって差があります。コンサルが相対的に強い企業は、他の競合よりも高いフィーを取れますので、その分給与として還元できる金額も高くなります。

このように、Big 4の年収と言っても、どのファームのどの部門で働くかによってそのレンジは様々なものとなります。ただし、一般的には事業会社で働くよりは相対的に高い年収を得られるということはいえそうです。

筆者が現役で所属しているコンサルティングファームを例に取ると、1番低い役職のコンサルタントは高くて900万円、マネージャーになると1400万円ほどがアッパー。シニアマネージャークラスになると1900万円を超えるといったところでしょうか。

KPMGが最も低く、DTCが最も高いとされてきましたが、最近はEYが年収レンジを引き上げて優秀な人材を引き抜く傾向にある模様です。

Big4で働くメリット

コンサルティングファーム、監査法人、FASのどこで働くにしても、そのメリットは大きいといえます。これは筆者がBig 4に長年身を置いて肌で感じていることです。

1つは、グローバルに名の知られたファームですので、そこで働いていた実績があるという事実はその後のキャリア構築にあたってプラスになります。一定以上の能力を持っている、一定以上の経験を積んでいると思ってもらえるため、他の人材と比べて差別化も容易で有利となります。海外転職の可能性も拓けるでしょう。将来的に自分が目指すキャリアパスに繋がるのならメリットが大きいといえます。

そのほか、プロジェクトマネジメント、問題解決手法、PPTを用いたスライド資料作成やExcelでのデータ分析等、全ての仕事の基盤となる能力を磨くことができます。これらは汎用的なスキルとしてどこでも使えます。

ファーム内、クライアントの両方について優秀な人と仕事ができる機会が多いため、プレッシャーを感じる場面は多いですが、それを乗り越えようと自己研鑽に励むことで自然と能力が磨かれていくという面もあります。

そのほか、コンサルティングファーム・監査法人・FASについてそれぞれ特記を挙げると以下のようになります。

・コンサルティングファーム:昨今はDX、システム導入案件が多いため、最新のテクノロジー情報・成功したビジネスモデルの事例を知ることができます。時代の最先端に常に触れ続けることができるのは大きなメリットです

・監査法人:監査業務は公認会計士資格がある人でなければできないため、業務経験を持つこと自体に希少価値があるといえます

・FAS:昨今M&Aが市民権を得ており、マーケットが拡大しています。ふつうの事業会社では遭遇機会が少ない、専門性が高い業務経験を積むことができるため、こちらも希少価値の高い人材を目指すことができます

Big 4で働くにはUSCPAの資格取得が有効

ここまでお読みいただき、Big 4で働いてみたいと思われた方も一定数いらっしゃると思いますが、ではどうすればBig 4にジョインできるのか、どうすれば活躍できるのかについてはどうでしょうか。

どのファームも会計事務所が母体であり、何の仕事をするにも会計という要素が何かしら絡んでくると考えれば、会計の基礎知識を幅広く身につけておくことが有用と考えられます。また、グローバルファームですので海外拠点とタッグを組んだプロジェクトワークに携わる機会もあり、その観点から英語力を高めておく必要性もあります。

このような要素を満たすことができる資格として、USCPAがあります。USCPAは英語で会計知識を幅広く学びますので、Big 4を目指すにあたって取得する資格としては大変お勧めできると筆者は考えています。

コンサルティングファーム

様々なプロジェクトがありますが、ビジネスを扱う以上、会計が全く関係しないプロジェクトは無いといっても過言ではなく、どの部署に配属される場合でも会計知識は必要です。

個人的な経験に照らして申し上げると、特にスタッフ層の場合は実務担当者がカウンターパートになることが多いため、基本的な業務知識があると議論がしやすく、現場の実務をわかっている人だと思ってもらえて信頼も得やすいです。

会計システム導入の案件であれば、監査で適正意見を貰えるような設計が要件となりますので、そのような基礎知識や勘所がわかっていると確実に役に立ちます。

監査法人

基本的に監査業務への関与は日本の公認会計士資格が必要ですが、最近はUSCPA有資格者にも門戸が開かれつつあると聞いています。日系企業が海外の企業を買収している場合など、海外で英語で作成された財務諸表を読みこなす必要があり、そういった案件が増えてきているためUSCPAの需要も高まっているようです。

監査法人の仕事は最も会計知識をフル活用する場といっても過言ではなく、USCPAの学びが最も直接的に役に立つことが期待できます。

FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)

M&A特有の専門知識はUSCPAではカバーできないので入社後の勉強は必須ですが、USCPAを学ぶことで基礎を固めることができるので、その後の上達は早くなるでしょう。逆に、基礎知識がないと入社後のキャッチアップのハードルが相当高くなるため、実務経験を積む前にきちんと学んでおくべきです。

Big 4の中には、USCPA有資格者を優遇採用しているファームもあります。

まとめ

本記事では、Big 4の年収をキーワードに、そもそもBig 4とは何か、Big 4で働くメリットは何か、Big 4で働くために何故USCPAの資格取得が有効かについて一通り説明をしてきました。

筆者は元々事業会社で働いていた頃にUSCPAを取得し、Big 4に飛び込んだという経歴ですが、Big 4ではより優秀な方々に囲まれながら貴重な実務経験を積むことができています。加えて、事業会社よりも年収は上がりました。同じようなキャリアパスを歩むチャンスは多くの方に開かれていますので、ぜひチャレンジいただければと思います。