経理の年収は低い?高い?AIに代替される?年収を上げるポイントについても解説
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現代の日本社会において多くの職種が人手不足である一方、いわゆるホワイトカラー、特に専門性の高い経理職は非常に人気があります。
経理職は人気の職種であるものの、パソコンでの定型作業であるため年収が低いのではないか、また、昨今話題のAIに代替されてしまうのではないか、といった声も耳にします。
当記事では、経理職の年収は低いのか高いのか、AIに代替されうるのか、解説します。あわせて、経理職として年収を上げるポイントについても解説します。
経理職の平均年収と世の中の平均年収の比較
まず、経理職の平均年収と世の中の平均年収の比較をしてみましょう。
経理職の年収について、経理事務は「484.6万円(平均年齢43歳)」、経理課長は「885.3万円(平均年齢51歳)」となっております。
一方、世の中水準は平均年収が318.3万円であり、経理事務のケースであっても世の中水準と比較して100万円以上年収が上回っていることが分かるかと思います。
管理職である経理課長にいたっては、倍以上年収が上回っていることになります。
管理職でなくとも世の中水準の平均年収より100万円以上高く、管理職になるとさらに高くなるため、経理職の年収は比較的高いと言えるでしょう。
参照①:職業情報提供サイト jobtag
なぜ経理職の年収は高い?その理由を解説
経理職の年収が世の中水準と比較して高いことは分かりましたが、その理由はなぜでしょうか。
まず大前提として、その職業そのものの希少価値が高ければ高いほど、年収が高い傾向にあります。
一般的に、物の価格は需要と供給によって決定され、需要が多ければ多いほど、供給が少なければ少ないほど、その希少価値が高くなり、価格は高くなります。
逆に、需要が少なければ少ないほど、供給が多ければ多いほど、価格は低くなります。
これは労働力や専門性の場合も同様で、それら世の中に必要とされていればされるほど、年収は高くなります。
また、より専門的かどうかという観点も重要です。専門性が高いということは、その専門性を維持・アップデートするためのコストがかかります。そのコストを補填するだけの報酬を払えないと人が採れないため、他の仕事に比べて年収が高くなります。
ただでさえ会計領域は難解で専門性も高く、加えて会計基準も頻繁に改定が行われるため、それらに適時にキャッチアップする必要があります。
また、それらの知識を身につけキャッチアップし続けることができる人材がいかに貴重な存在か、想像に難くないでしょう。
これらを踏まえると、経理職が他の職種に比べて年収が高い傾向にあるということは、当然であると言えます。
AIの登場で仕事がなくなる?経理職の将来性について
ここまでで、経理職の年収が世の中と比較して高いことを解説しました。
一方で、AIの発達により経理職そのものが代替されてしまうのでは、という話も耳にします。
「今現在、経理職の年収が高いといっても、将来仕事がなくなってしまうのでは意味がないのではないか」という意見もあることでしょう。
ここでは、経理職の将来性について解説します。
1. AIとは、その特徴について
AIとは、「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略で、日本語では「人工知能」を意味します。一般的に、コンピューターが人間の知能や行動を再現し、自ら学習・理解をし、状況にあわせた行動ができる技術の総称です。
AIは、大量のデータから学習することにより、規則的で正確な処理をすることが得意です。現在の活用事例としては、文章の翻訳業務や音声認識によるアシスタント、データの分析や予測、といったものが挙げられます。
2. AIに代替される業務
AIは規則的で正確な処理をすることが得意なため、AIに代替される業務としては大量のデータ処理をはじめとした単純かつ定型的な業務です。
例えば、一般的には、データの入力作業や定型的な分析作業といったものが該当します。
経理に関係する分野では、仕訳の起票や残高チェックといったものが該当します。
これらは機械的な作業であるため、人間の判断やコミュニケーションが必要であることはなく、そのため将来的にAIに完全に代替される可能性があります。
3. AIに代替されない業務
監査法人との直接相談といったコミュニケーションが必要なものや、最終的に減損をするか否かといった議論・交渉・判断が必要なものはAIで代替することはできないといえるでしょう。
AIは、あくまでも定められたルールに従って正確な作業をするのみであり、AI自身で判断をすることができません。
特に、はっきりと白か黒か答えを決めるものでなく、双方歩み寄ったうえで適切な着地点を探っていくような判断は明確なルールに基づいている訳ではないので、AIで判断することは難しいです。
こうした、コミュニケーションや人間による判断が求められる、定型的ではない本質的な部分はAIによって代替されることはないでしょう。
4. 経理職はAIに代替されるのか?
結論として、AIの登場により経理職の定型的な作業は奪われる可能性があります。一方で、経理職として専門的な判断や交渉が必要な、企業活動においてより本質的な業務は変わらず残り続けます。
確かに、AIは規則的な処理を正確に実施することに長けているため、データを直接入力する、仕訳を起票するといった単純作業の多くは、将来的にAIに代替されるでしょう。
ただし、経理職の業務の本質は単純作業ではなく、「会計というツールを通じて会社の状況を的確に把握の上、経営層に情報を提供し意思決定のサポートをすること」であり、これはAIが苦手とする分野になります。
AIは過去のデータを蓄積し、そこから何らかの答えを出すことはできますが、自身で意思決定・判断をすることはできません。最終的には人が意思決定・判断をする必要があります。そのため、確かに単純作業はAIに代替されるが、経理職の本質的な役割が脅かされることはありません。
ただし、現在経理職として定型的な作業しかしていない方は、将来について危機意識を持つべきであり、仕事の取り組み方を変える必要があります。
経理職の年収を上げるには?ポイントを解説!
ここまで、経理職の年収は世間より高いこと、定型的な作業員に留まらずより本質的な業務に従事していればAIにも代替されないことを解説しました。
ここでは、経理職がさらに年収を上げるにはどうすればよいか、解説をします。
1. 業務領域を広げる
経理職が専門職であることはこれまで述べた通りでありますが、例えば通常の単体決算業務に加え、税金の申告や連結決算といった、より専門性の高い領域の業務経験があれば間違いなく人材価値が上がり、現在の職場でも高く評価されることになるでしょう。
評価が高くなれば、当然将来的に出世をし、年収が上がることになります。
また、専門領域が増えることで、後述の転職活動でも幅広い企業から高く評価を受け、年収アップに繋がる可能性が高いです。
2. 転職
一般的に、1つの企業に長くいれば年功序列により徐々に年収が上がっていきます。
しかし、年収アップには時間がかかりますし、年収の上限も概ね決まっており、また出世競争に勝ち続ければ良いですがいつかは頭打ちとなってしまう可能性もあります。そのような場合、これまでに得てきた専門知識や経験を活かしてより年収の高い企業に転職することも効果的な年収アップの方法と言えるでしょう。
特に経理職は専門職であり、どの企業でも経理は必要な機能であるため、他者に移っても現在のスキルを活かせるケースは非常に多いです。現代では転職は当たり前という風潮があり、非常に転職がしやすい状況です。転職という選択肢も積極的に活用しましょう。
3. 資格取得
経理は会計に関する専門職であるため、会計に関連した資格で得た知識がそのまま業務に直結するケースが多いです。
会計に関連する資格は、例えば、公認会計士資格、税理士資格、USCPA(米国公認会計士)等が挙げられます。これらの資格は社会的にも高く評価されており、専門性の高さをアピールする上で効果的であり、転職と比較してすぐに行動に移しやすい点も魅力的と言えます。
経理職として年収を上げるためには会計人材特化型の転職エージェントを上手く活用しましょう!
ここまで、経理職の年収が世間に比べてどうなのか、また、年収アップのポイントについて解説をしました。経理職は専門性が高いため年収が高い傾向にはあるものの、大きく年収をアップさせるためには、より本質的な業務に従事したり、自身の専門領域を広げたり、深めたりする必要があります。それらを実現するにはキャリア戦略が非常に重要です。資格取得等様々な手段がありますが、最適な手段として転職が候補になることもあるでしょう。
ただし、転職に関してはより慎重に事を進めるのが重要です。自分自身のみで転職活動を進めると方向性が分からなくなり、時には客観的な立場での意見が必要になってくるケースもあると思います。その時は、会計人材特化型のエージェントに相談することをおすすめします。
会計人材特化型のエージェントであれば、多数の会計人材のキャリアを見てきているため、ベストな方向性を提案してくれる可能性があります。進むべき方向性に迷いが生じた場合は、相談をしてみましょう。
会計人材特化型のエージェントについては、以下の記事も参考にしてください。関連記事:経理職に強いおすすめの転職エージェントは?おすすめの転職エージェントを紹介
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