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2024/12/20

昨今、内部監査業務が老若男女を問わず注目を集めています。

注目を集める前は、ほとんどの会社が内部監査人の人材不足に悩まされており、その背景には、内部監査人にはご年配の方が多く、長期的に雇用できないという実態がありました。

しかし、若年者の内部監査人が増えてきてから、少しずつですが、内部監査人の人材不足という状況は解消されつつあります。実際に、特定の大手企業では内部監査人を大量採用する動きもあり、市場全体で内部監査人の求人募集が増えてきています。

そういった状況を踏まえ、内部監査の求人状況の実態はどのようになっているのでしょうか。

本記事では、「内部監査」と「求人」をテーマとしたキャリア形成について解説します。

具体的には、内部監査の求人状況はどのようになっているのか。どのような人材を求めているのかについて、分かりやすく解説します。

内部監査の求人状況について気になっている方や将来的に内部監査系の転職を検討している方は是非とも参考にして下さい。

内部監査人の求人状況について

内部監査で求められる人材とは

・補足:そもそも内部監査ってどういう仕事?

内部監査の求人状況について

内部監査の求人募集は実に多く、どの転職サイトでも大体1000件以上の求人募集が存在します。

これだけ求人募集が多いということは、社会全体で内部監査人が不足しており、内部監査人は希少性の高い専門職であるということがわかります。

内部監査の求人募集が多い理由は、内部監査の需要が高まったことが関係しています。特に、大手企業や大企業だけでなく、中小企業が内部監査室を設置するケースが増えているという現状が内部監査の求人募集の増加要因と考えられます。

中小企業が内部監査を促進させる理由は様々ですが、一番の理由はガバナンスを構築することによるメリットが大きいからです。そのための手段として内部監査を強化することで、組織の目的達成能力の向上、不正行為の防止と早期発見など、様々なメリットがありますので、内部監査は今や必須であると言い切れます。

内部監査で求められる人材とは

内部監査の求人状況についてご理解いただいたところで、次は内部監査で求められる人材とはどういった人材なのかについて解説します。

今回は、転職サイトに記載されている求人情報の中から、最も多かった必須要件や歓迎要件を4点ほどピックアップし、それらを具体的に解説します。

但し、必須要件や募集要件については、文言が同じでも、会社によって定義が多少異なる部分もありますので、参考程度にお読み下さい。

①内部監査の知識・業務経験

1点目は、「内部監査の知識・業務経験」です。

これは読んで字の如く、内部監査に関する知識を持っているか。内部監査に関する業務経験を持っているかということを表しますが、言葉だけですと、どこまでの知識・経験を求めているのかが不明確ですので、この点について具体的に解説します。

まず「知識」についてですが、これは一連の内部監査業務と解釈して頂いて構いません。具体的には、監査計画の策定からフォローアップまでの一連の流れ、監査用語、監査ツールなど、これらの知識について理解し、説明できるようになっているなら、内部監査の知識はあると思って頂いて良いです。

次に「経験」についてですが、これは自身が今まで行ってきた内部監査業務経験の中身を表します。

内部監査と一言で言っても、業務監査・テーマ監査・IT監査・情報セキュリティ監査など、監査の種類は多岐にわたります。どのような監査業務を今までどのように行ってきたのかを説明できるようになっていれば、内部監査の経験はあると思って頂いて良いです。

②部門間連携力

2点目は、「部門間連携力」です。

これは、営業部門・財務部門・管理部門など、様々な部門との連携力についてを言っていますが、要するに他の部門と力を合わせてどのような成果を出したかということです。

部門間連携力があることにより、複雑な課題や改善が必要な問題などについて迅速に対処できるようになり、会社として一体感が生まれるため、部門間連携力は重宝されます。また、部門間連携力を養うことで、組織全体の団結力が向上するだけでなく、業務を円滑化したり、生産性を向上できたり、新たなアイデアを生み出すことも可能です。

内部監査部門においては、アドバイザリー業務やフォローアップ監査の際に、部門間連携力が求められることが多いです。

内部監査はあくまで「評価」と「助言」が主な業務ですので、業務の執行については監査対象部門が実施して頂くことになりますが、部門間連携力を発揮することで、監査対象部門との関係性を構築しながら、現場に寄り添った助言を行うことができます。

③ルールや仕組み作りを推進する力

3点目は、「ルールや仕組み作りを推進する力」です。

これは、社内ルールや社内に存在する仕組みなどについて、社内全体に浸透させることができる力を表します。

例えば、内部監査業務を行う際、監査対象部門が社内ルールに逸脱した行為を行っていた場合、指摘を行って改善活動を促すことがありますが、内部監査人はそのルールが何のために存在し、何を守るためのルールなのかを理解していなければ指摘を行ったところで適切な改善活動を促すことができません。

ルールや仕組み作りを推進するためには、監査対象部門が指摘に納得した上で、適切な改善活動を行って頂くようアプローチをしなければ、形骸化してしまい、推進に至りません。

また、ルールや仕組みを推進するためには実現可能なものに仕上げる必要がありますが、そういった点も含めて、ルールや仕組み作りを推進する力が求められます。

④経理の知識・経験

4点目は、「経理の知識・経験」です

これも読んで字の如く、経理に関する知識を持っているか。経理に関する経験を持っているかということを表しますが、これも言葉だけですと、どこまでの知識・経験を求めているのかが不明確ですので、この点について具体的に解説します。

まず「知識」についてですが、一連の経理業務と解釈して頂いて構いません。

例えば、伝票や請求書の作成、給与や保険の管理、決算に必要な書類の作成、売上や仕入処理、売掛金や買掛金の管理などの知識を持っているかなどが該当します。

次に「経験」についてですが、これは経理業務としての経験が該当しますが、内部監査において求められる経理経験というのは、会社の財政的な現状を把握し、経営層に対して適切な助言を行った経験を表します。

他にも、財務諸表をもとに経営分析を行う際、不正の兆候ともいえる異常値がないか、数値を書き換えられた痕跡はないかといった不正調査の一環として経理知識が求められることがあり、その経験も内部監査において重視されることがあります。

補足:そもそも内部監査ってどういう仕事?

ここからは補足として、内部監査とはどういう仕事内容について簡単に解説します。

内部監査とは、企業内の独立した内部監査部門(会社の規模によっては内部監査室)が、各部門の業務や財務会計などを調査・評価し、報告や助言を行います。

内部監査の目的は様々です。例えば、業務の有効性と効率性の向上、経営目標の達成、問題の早期発見と解決、職場環境の改善などが該当します。

内部監査は企業内の様々なリスクや問題を解決する上で有効な手段であり、健全な経営を維持するために実施されます。また、内部監査の中で、業務の適正性、コンプライアンス、ガバナンス、リスクマネジメントなどを評価・監視し、内部統制が適切に機能しているかを確認することもあります。つまり、内部監査と内部統制は密接に関わるものであり、切っても切り離せない関係なのです。

内部監査は必ず行わないといけないというものではありませんが、大企業や上場企業にとっては必要不可欠な業務になっています。

実際に2006年に改正された会社法では、大企業において内部統制整備が義務化され、内部監査を設置しなければなりません。この流れを鑑みて、中小企業の中でも、内部監査部門を設立し、内部統制と合わせて内部監査体制を構築する企業も増えています。

参照:内部監査(業務監査)とは? 目的・やり方・チェックリストを解説|アビタスコラム

様々な求人情報に対応できるキャリアを築こう

ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。

内部監査系の職種をご検討されている方からすると、内部監査の求人募集が増えているというのは、良い状況に見えているのではないかと考えます。

ですが、求人募集が多いといっても、内部監査は容易に携われるような職種ではありません。それ相応のキャリアを築く必要があります。

是非、今回ご紹介した内部監査で求められる人材について、どれか1つでも構いませんので参考にして頂ければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。