内部監査経験は転職活動でどう役に立つ?現役CIAが解説
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昨今、内部監査業務が老若男女を問わず注目を集めています。
内部監査は、キャリアパスとして考慮するには申し分ない職種ですが、転職市場において、ほとんどの会社は内部監査経験を必須要件とし、これまでどのような内部監査の経験を積んできたのかを重視している傾向があります。
つまり、内部監査経験は転職において重要なキーワードであり、ここを疎かにすると、転職は厳しくなると言い切れます。
では、どのような内部監査経験が転職市場で有利になるのでしょうか。会社によって掲示している条件は様々ですが、本記事では、内部監査経験について深掘りながら、
「内部監査」と「転職」をテーマとしたキャリア形成について解説します。
具体的には、転職市場で求められる内部監査の知識と経験とはどういうものなのかを解説しつつ、筆者の転職活動経験を踏まえた職務経歴書と面接の攻略法についても解説します。
内部監査系の職種への転職を考えている方や今後内部監査人として転職を検討している方は是非とも参考にして下さい。
・転職活動は既に始まっている!?
・職務経歴書や面接で使えるキャリア形成
・補足:そもそも内部監査ってどういう仕事?
転職活動は既に始まっている!?
まず初めに、全く転職活動を行っていない方であっても、既に転職活動は始まっており、常日頃から準備しておく必要があります。
何故なら、いざ転職活動を行うにあたり、職務経歴書や面接で自身が今までどのようなキャリアを積み上げてきたのかを説明できるようにしなければならず、そのキャリアは言い換えると、自身の過去の経歴であるからです。
今は転職活動を行っていない方や今後転職活動を行う予定がない方であっても、何かしらの理由で転職活動を行うことになった時、職務経歴書や面接でアピールできるポイントを今後のキャリア形成の中で作っておき、いざ転職活動を実施した際には胸を張って伝えられるようにしておいた方が良いです。
そのために必要なのは、逆算思考です。
今回は、求人募集の必須要件で最も多い「内部監査の知識」と「内部監査の経験」について、逆算思考で考えた場合に必要なキャリア形成について解説します。
①「内部監査の知識」を逆算
内部監査の知識については、一連の内部監査業務と解釈して頂いて構いません。監査計画の策定からフォローアップまでの一連の流れ、監査用語、監査ツールなどですが、これを逆算思考で考えた時、これらの知識をどういった場面で使用し、どのような形で活用できているのかを説明できるようにしておくことが望ましいです。
知識があるというのは、「ただそれについて知っています」というだけでは転職において不十分です。
特に、面接においては、具体的なエピソードを交えながら、どういった場面でどのような知識を使用し、どのような形で活用できているのかを簡潔かつ正確に伝えられるようにするべきであり、今のうちにその職務経験を積んでおくことが望ましいです。
②「内部監査の経験」を逆算
内部監査の経験については、自身が今まで行ってきた内部監査業務経験の中身についてです。
内部監査と一言で言っても、業務監査・テーマ監査・IT監査・情報セキュリティ監査など、監査の種類は多岐にわたりますが、これを逆算思考で考えた時、どういう監査をどれくらいの期間どのように行ってきたのかを説明できるようにしておくことが望ましいです。
経験があるというのは、「ただそれをやったことがあります」というだけでは転職において不十分です。
内部監査の知識同様、面接においては、具体的なエピソードを交えながら、どういった場面でどのような経験を得たのか。また、経験する中でどのような課題があり、どのように解決したのかなどについても簡潔かつ正確に伝えられるようにするべきであり、今のうちにその職務経験を積んでおくことが望ましいです。
職務経歴書や面接で使えるキャリア形成
十分にキャリアを形成することができても、転職活動において、職務経歴書や面接への準備が不十分であれば、転職活動を成功させることは難しくなります。
しかし、先程の逆算思考に則ってキャリアを形成出来ていれば、あとは伝え方を工夫するだけであり、それほど難しくありません。
今回は筆者の実体験に則って、理想の職務経歴書と理想の面接応対について解説します。
筆者の実体験:理想の職務経歴書
筆者が職務経歴書を作成する際、大きく2つの点に注意しながら書くようにしています。
1点目は、職務要約は長すぎず短すぎず書くことです。大体3~4行くらいが理想です。
転職エージェントによっては、2行の方が良いと仰ることもありますが、筆者の場合、リスク管理経験・コンプライアンス経験・内部監査・内部統制経験があるのですが、これらを伝えるのに2行では短すぎて要約に至りませんでしたので、3~4行程度にしています。
2点目は、募集企業によって職務経歴書を若干変えることです。
例えば、IPO準備企業に応募する場合は、なるべくゼロベースで内部統制やコンプライアンス体制を構築した経験を中心に記載するようにしたり、協調性を重視する企業の場合は、なるべく部下と一緒に何かを成し遂げた経験を中心に記載するようにしたりなど、一定の工夫を行っています。
また、職務経歴書には、「現状」→「課題」→「対策」→「結果」の順番で記載するようにしており、読み手に分かりやすく伝わるような工夫を行っています。
筆者の実体験:理想の面接応対
筆者の面接対策では、大きく2つの点に注意しながら行っています。
1点目は、質問をしっかり聞き取るための準備を怠らないことです。
面接対策あるあるですが、準備を徹底的に行った結果、本番で緊張してしまい、面接者が質問している内容と異なる回答をしてしまう場合がああります。
なので、私は準備をしすぎることも悪手であると考えており、面接本番ではリラックスして臨むことができるよう体調を整えるようにしています。
そうしていると、緊張はするものの、質問をしっかり聞き取ることができて、面接者の質問に沿って回答ができます。
2点目は、長々と話さないようにすることです。
面接は、自己アピールの場とも言えますので、つい色々なことを話してしまいたくなりますが、聞き手からすると逆にしんどくなってしまうだけですので、質問されたことだけを簡潔かつ正確に話すようにしています。
私はPREP法を活用して「結論」→「理由」→「事例」→「結論」の順番で話すようにしており、PREP法によって、長々と話してしまうことを防ぐことができています。
補足:そもそも内部監査ってどういう仕事?
ここからは補足として、内部監査とはどういう仕事内容について簡単に解説します。
内部監査とは、企業内の独立した内部監査部門(会社の規模によっては内部監査室)が、各部門の業務や財務会計などを調査・評価し、報告や助言を行います。
内部監査の目的は様々です。例えば、業務の有効性と効率性の向上、経営目標の達成、問題の早期発見と解決、職場環境の改善などが該当します。
内部監査は企業内の様々なリスクや問題を解決する上で有効な手段であり、健全な経営を維持するために実施されます。また、内部監査の中で、業務の適正性、コンプライアンス、ガバナンス、リスクマネジメントなどを評価・監視し、内部統制が適切に機能しているかを確認することもあります。つまり、内部監査と内部統制は密接に関わるものであり、切っても切り離せない関係なのです。
内部監査は必ず行わないといけないというものではありませんが、大企業や上場企業にとっては必要不可欠な業務になっています。
実際に2006年に改正された会社法では、大企業において内部統制整備が義務化され、内部監査を設置しなければなりません。この流れを鑑みて、中小企業の中でも、内部監査部門を設立し、内部統制と合わせて内部監査体制を構築する企業も増えています。
いつでも転職活動ができるようにしよう
ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。
内部監査系の職種というのは、ガバナンス・リスクマネジメント・コントロールをどのように機能させるべきかを常に考えながら仕事をしなければなりませんが、こういった職務経験を積んでいくことができるという意味では、転職活動の準備がしやすいです。
また、転職活動の準備を行う際は、自身が今まで行ってきた職務内容を忘れないよう、メモ用紙やメモアプリを活用して定期的にメモしておくこともお勧めです。
少しでも転職活動が有利になるよう、普段から様々な準備を行うようにしましょう。
本記事が何か1つでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。