• 簿記
2025/01/03

社会人として身につけておくべきスキルは様々ですが、その中でも特に注目度が高いものとして、簿記スキルがあります。

昔は経理部や財務部などの会計に特化した部門にとっては必須のスキルでしたが、昨今では、会計に特化した部門でなくても、さらなるキャリアアップを実現するために簿記スキルを身につけようとする社会人や大学生が増えてきています。そういった背景が存在する要因の1つとして年収が挙げられますが、どれくらいの簿記スキルがあれば年収を上げることができるのでしょうか。

本記事では、「簿記」と「年収」をテーマとしたキャリア形成について解説します。

具体的には、簿記に関する知識や経験があれば年収はどのように変化するのか。簿記スキルに応じた年収体系と合わせて解説します。

簿記スキルを活用して年収を上げたいとお考えの方や今後簿記スキルを身につけたいとお考えの方は是非とも参考にしてください。

 

年収1000万円以上も夢じゃない

簿記スキルに応じた年収について

・補足:そもそも簿記って何?

年収1000万円以上も夢じゃない

結論から先に申し上げますと、簿記スキルを持つことで年収が上がる可能性は高くなります。

何故なら、簿記スキルは会社の3大経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の「カネ」の部分を理解する上で必要不可欠なスキルだからです。会社によっては、役職の昇格や昇進の条件として一定の簿記スキルを必須要件としている場合もありますので、簿記スキルがあれば年収が良くなるのは間違いないです。

また、経理経験などの「カネ」に関する実務経験があれば、年収が上がる可能性はさらに高くなります。特に、上場企業・大企業での年次決算業務経験や親会社又は子会社との間での連結パッケージを使用した業務経験などの専門的な職務経験をお持ちであれば、求人内容によって、年収1000万円以上を実現させることも可能です。

要するに、簿記スキルや職務経験などに応じて、年収は大きく変わるということです。

簿記スキルに応じた年収について

簿記スキルや職務経験に応じて年収は大きく変わるという現状に対し、具体的にどれくらいのレベルに達することで、どれくらいの年収になるのでしょうか。

ここからは簿記スキルに応じた年収を「日商簿記3級レベル」「日商簿記2級レベル」「日商簿記1級レベル」「公認会計士・税理士レベル」の4つのレベルに分け、理想の職務経験と合わせて解説します。

是非とも今お持ちの簿記スキルと職務経験と照らし合わせながらお読み下さい。

日商簿記3級レベルの年収

まず初めに「日商簿記検定3級レベル」の年収について解説します。

3級というのは、業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき必須の基本知識が求められます。一般的に、簿記初心者がまず初めに挑戦する資格であり、最初の登竜門になるところです。3級では基本的な商業簿記を学びますが、基本的な内容であるが故に、簿記3級だけですと年収はそれほど上がりません。

様々な転職サイトに掲載されている求人募集によりますと、一定の経理経験をお持ちで簿記3級を取得している場合、年収は大体300万~500万あたりとなります。

一方で、会社によっては、簿記3級を資格手当対象に選定していることもあり、手当という形でお給料が増える場合もございます。年収が大きく上がるわけではないものの、取得すれば年収が上がる可能性は高いということです。

参照:簿記 3級 | 商工会議所の検定試験

日商簿記2級レベルの年収

次は「日商簿記検定2級レベル」の年収について解説します。

2級になりますと、高度な商業簿記だけでなく、原価計算などの工業簿記も学ぶことになります。簿記2級レベルの知識がありますと、財務諸表の数字から経営内容を把握して分析を行うことも可能となり、様々なビジネスシーンで活用することができます。

経理関係者でなくても、簿記2級は最低でも取得したいという方が非常に多いです。仮に経理経験がなかったとしても、企業活動や会計実務に関する一定の知識があることを証明できますので、簿記2級は人気が高いです。

様々な転職サイトに掲載されている求人募集によりますと、一定の経理経験をお持ちで簿記2級も取得している場合、年収は大体400万~600万あたりと非常に高くなります。

参照:簿記 2級 | 商工会議所の検定試験

日商簿記1級レベルの年収

次は「日商簿記検定1級レベル」の年収について解説します。

1級になりますと、さらに高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を学ぶことになります。

簿記1級をマスターすることで、会計基準や会社法などの法規関係を踏まえた高度な経営管理や経営分析を行うことが可能になったり、連結会計などの各種会計手続を適切に処理できるようになったりなど、複雑な業務であっても高い精度で対応することが可能です。

1級の取得を目指す人は、主に会計・財務・経理を専門とする職種の方が多いです。しかし、そういった方々でも簿記1級の取得は苦戦することが多く、実際に簿記1級の合格率は平均13%あたりですので、非常に難関な資格といえます。非常に難関な資格ではありますが、合格できた時の恩恵も強いです。

様々な転職サイトに掲載されている求人募集によりますと、一定の経理経験をお持ちで簿記1級も取得している場合、年収は大体500万~800万あたりと非常に高くなります。

参照:簿記 1級 | 商工会議所の検定試験

公認会計士・税理士レベルの年収

最後は「公認会計士・税理士レベル」の年収について解説します。

公認会計士と税理士はどちらも会計の専門家ですが、細かいところが違います。分かりやすい違いとして、取り扱っている独占業務が異なる点が挙げられます。

公認会計士の独占業務は「財務諸表監査」ですが、税理士の独占業務は「税務関係の書類作成」や「税務の代理」や「税務相談」と全く異なります。

どちらが向いているかは人によって様々ですが、高度な独占業務があるというのは希少価値を高めますので、それが年収アップに繋がっていきます。

様々な転職サイトに掲載されている求人募集によりますと、一定の経理経験をお持ちで公認会計士や税理士を取得している場合、年収は大体900万~1100万あたりと非常に高くなります。

補足:そもそも簿記って何?

簿記とは、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能のことです。

簿記を学ぶことで会計知識を身につけることができますが、その会計知識を活用することで、財務状況や経営状況を理解する力・経営分析力・予実管理力などを高めることができます。

特に、ビジネスの基本であるコスト感覚を養うことができる点がポイントで、このコスト感覚は社会人ならば必ず身につけておくべきです。何故なら、全ての業務活動がコストと密接に関わっているからです。

例えば、営業部門の場合、コスト感覚を養うことで損益計算書(PL)に対する分析が行えるようになり、日々の営業活動で見直すべきポイントを明らかにし、改善させることが可能となります。実際に、会社によっては、営業部門の責任者になるためには日商簿記3級の取得を必須要件としていることもあり、この事からもコスト感覚を養うために簿記を勉強することの重要性はご理解頂けるかと思います。

今回は営業部門を例に挙げましたが、営業部門に限らず、今後のキャリア形成で役職に就きたいというお気持ちが強いのであれば、コスト感覚を養うことは必須です。言い換えると、コスト感覚がないことで役職に就くことができないという状況は非常にもったいないです。

企業の最大の目的は、利益の最大化によって持続的な成長をもたらし、企業価値を向上させることにあります。企業価値を向上させる方法は様々ですが、効率的な経営を目指して各部門の生産性を高める上で、会計や財務に関する要素は必ずどこかで関わってきます。まだ簿記について何も知らないという方は、是非これを機に簿記について理解を深めることをお勧めします。

参照:簿記とは

無理をしない範囲で簿記スキルを身につけよう

ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。

簿記スキルと年収には一定の関係性があるものの、簿記スキルの質や簿記に関連する職務経験などによって、年収は細かく変わります。理想は高い方が良いですが、簿記検定は年々難しくなりつつあり、3級でも一発合格が難しい場合もあります。是非、無理をしない範囲で簿記スキルを磨いて下さい。

本記事が何か1つでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。