
未経験者がFAS業界で活躍するまでの道筋
- コンサルティングファーム・FAS
本記事では、「FAS」と「未経験」をテーマとしたキャリア形成について解説します。
FAS(Financial Advisory Services)業界は、M&A、事業再生、財務コンサルティングなど高度な専門知識を要する分野として知られています。そのため、未経験者にとっては敷居が高いと感じられることも少なくありません。しかし、近年では多様なバックグラウンドを持つ人材が求められるようになり、未経験者でも挑戦できるチャンスが広がっています。
今回は、未経験からFAS業界に飛び込むための具体的なステップや成功するためのポイントについて詳しく解説します。
FASにご興味がある方やFASでのキャリア形成をご検討なさっている方は是非とも参考にして下さい。
・FAS業界における未経験者の需要
・未経験者がFAS業界で活躍するためのステップ
・未経験者がFAS業界で成功するためのポイント
・未経験からFAS業界で活躍した事例
FAS業界における未経験者の需要
まずは、FAS業界における未経験者の需要について解説します。
これまでFAS業界では、公認会計士や金融業界出身者といった専門性の高い人材が主流でした。しかし、昨今のM&A案件の増加やグローバル化に伴い、企業はより多様な視点やスキルを持つ人材を求めるようになっています。
例えば、ITやデジタル分野の知識、マーケティング経験、異文化対応能力などは評価されるようになってきています。
その上で、FAS業界で未経験者に求められる能力は様々です。例えば、財務データの分析や戦略提案するための論理的思考力、問題解決能力、クライアントやチームメンバーとの円滑なやり取りを行うためのコミュニケーション能力、専門知識を吸収してアウトプットする力などが該当します。
未経験者がFAS業界で活躍するためのステップ
次は、未経験者がFAS業界で活躍するためのステップについて解説します。
まず、自分の強みやスキルセットを洗い出し、FAS業界でどのように活かせるかを考えましょう。例えば、IT業界での経験がある場合、デジタル分野に特化したM&Aやデューデリジェンスでの活躍が見込めるかもしれません。
このように、FAS業界の業務内容と照らし合わせながら洗い出すことが大切です。
また、FAS業界では、一定の専門知識が求められるため、資格取得が大きな武器になります。例えば、財務分析や会計の基礎を学びたいなら公認会計士(CPA)、投資や財務モデリングを学びたいならCFA(公認財務アナリスト)、事業再生案件に特化した知識を習得したいなら事業再生士(CTP)といった形で、自身が養いたいスキルに合わせた資格に挑戦することが重要です。
もし、資格への挑戦が厳しい場合、未経験者でも理解できる入門書やオンライン講座を活用して、FAS業界の基礎を学ぶのも良いです。例えば、財務モデリング、企業価値評価、デューデリジェンスなどの基本概念を先んじて習得しておけば、FAS業界では役に立ちます。
そして、実際にFAS業界に入ったら、まずはアシスタントやアナリストといったポジションを狙うのがおすすめです。少しずつ実務経験を増やして、即戦力になれるよう頑張りましょう。
未経験者がFAS業界で成功するためのポイント
次は、未経験者がFAS業界で成功するためのポイントについて解説します。
未経験がFAS(Financial Advisory Services)業界に挑戦するのは意義がありますが、FAS業界は高度な専門性を求められる分野であることから、未経験者が成功するためには計画的な準備と努力が必要です。
今回は、成功するためのポイントを3点に分けて解説します。
①日々の専門知識のアップデート
1点目は、日々の専門知識のアップデートです。
FAS業界では、財務、会計、税務、経営戦略などの専門知識が求められます。未経験者にとって、これらの知識を基礎から学ぶことは、業界での成功に向けた第一歩になります。
例えば、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を正確に読み解く力、DCF法やマルチプル法などで企業価値を評価する企業価値評価手法、M&Aや投資案件で行われるデューデリジェンスのリスク評価などは、日々アップデートしておきましょう。
②実務に直結するスキルのアップデート
2点目は、実務に直結するスキルのアップデートです。
FAS業界では、特定のツールや技術スキルが日常的に使用されます。未経験者がこれらを早期に習得することで、即戦力としての評価を得ることが可能です。
例えば、Excelは財務モデリングやデータ分析に欠かせないツールです。VLOOKUP、IF、SUMIFなどの関数をよく使います。また、ピボットテーブルも活用できるようになっているとなお良いです。
他にも、クライアント向けのプレゼン資料を作成するPowerPointを使いこなすスキルやグローバル案件をこなすための英語力なども日々アップデートしておくと良いでしょう。
③未経験者ならではの視点を活かす
3点目は、未経験者ならではの視点を活かすことです。
FAS経験者との差別化を図ることができるのは、新しい視点がもたらす付加価値にあります。業界の固定観念にとらわれない自由な発想を持ち、企業の成長戦略や再生計画などの提案ができるようになることで、重宝されることがあります。
具体的には、業界の課題を客観的に分析した上で斬新な解決策を提案したり、従来の業務プロセスを効率化する新しいツールや方法論を導入したりなど、あなたならではの強みを社内で活かすことが大切です。
未経験からFAS業界で活躍した事例
これは、FAS業界で活躍する筆者の仕事仲間のAさんの成功事例です。
Aさんは、新卒で大手食品メーカーの営業職に就き、10年間勤務していました。営業成績は常にトップクラスで、特に新規事業の立ち上げや市場開拓において優れた成果を上げていました。
しかし、30代後半に差し掛かった頃、「企業の根本的な課題解決に携わりたい」と感じるようになり、FAS業界への転職を決意したそうです。特に、事業再生に興味を持ったのは、取引先の中小企業が資金繰りに苦しみ、廃業に追い込まれるケースを目の当たりにした経験があった時とのことです。
転職後、Aさんは自分の営業経験が事業再生にどう活かせるのかを考え、様々な挑戦を行いました。具体的には、事業再生に関する実務知識の習得するために事業再生士補(CTP補)資格を取得し、事業再生プロセスの基礎を学習しました。
また、クライアントとの取引には相当の力を入れました。具体的には、営業時代に培ったヒアリング能力を活かし、クライアント企業の課題を深掘りして解決策を提案するのですが、具体的な数字や事例を使って説明しながら、どのように課題解決していくべきかを論理的に話すことを心掛けているそうです。
Aさん曰く、営業経験で得た現場感覚が大きな武器となっているそうで、企業オーナーや従業員との信頼関係を築く上で、この現場感覚をベースとしたコミュニケーションを心掛けているそうです。
Aさんは数年後にはプロジェクトマネージャーに昇進したのですが、未経験だからこそこれまでの経験をどう応用するかを徹底的に考えたことが成功ポイントだったと語っています。
あなたの強みをFAS業界で活かそう
ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。
未経験からFAS業界への挑戦は、決して容易な道ではありません。しかし、それは同時に、大きな可能性を秘めた挑戦でもあります。
重要なのは、自身の経験やスキルを客観的に見つめ、その中でFAS業界で活かせる強みを見出すことです。
論理的思考力、分析力、コミュニケーション能力、問題解決能力など、どのような分野で培われた能力も、FASの業務において何らかの形で貢献できる可能性があります。
自身の強みをしっかりと認識し、それがFAS業界のどのようなニーズと合致するのかを理解することで、未経験からでも活躍の道は開けます。
あなたの強みをFAS業界で活かし、新たなキャリアを築き上げてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。