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2025/05/14

本記事では、「FAS」と「求人」をテーマとしたキャリア形成について解説します。

FAS(Financial Advisory Services)業界は、企業の経営課題に対処するための高度な専門知識を提供する分野であり、求人市場も他業界とは異なる特性を持っています。では、その特性とは具体的にどういったものなのでしょうか。

今回は、求人市場のトレンドや新しい採用の形態、さらにFAS業界特有の働き方について深掘りし、新しい視点でFAS業界の求人情報を分析します。

FASにご興味がある方やFASでのキャリア形成をご検討なさっている方は是非とも参考にして下さい。

FAS業界の採用形態の変化

FAS業界特有の求人トレンド

・求人情報から類推する企業の戦略的意図

・未経験からFAS業界で活躍した事例

FAS業界の採用形態の変化

まず初めに、FAS業界の採用形態の変化について、解説します。

近年のFAS業界では、従来の正社員採用に加えて、プロジェクト単位での採用が注目されています。

例えば、特定の案件に専門性を提供し、プロジェクト終了後に雇用契約を終了または延長するようなプロジェクトベースの契約社員の採用や経験豊富なFASコンサルタントが独立して複数の企業と契約を結ぶようなフリーランス契約形態などです。

このような採用形態というのは、ワークライフバランスを柔軟にできることから経験豊富なプロフェッショナルにとって魅力的といえます。但し、未経験者がこの形式で働く場合には、短期間で成果を出すための準備が求められますので、注意が必要です。

他にも、企業内でFAS業務を行う「インハウスFAS」の求人も増加しています。インハウスFASの求人が増加している理由は、外部のコンサルティングファームに依頼するよりもコストを抑えつつ、継続的なサポートを期待する企業が増えているためです。

インハウスFASでは、企業の一員として働きながら、M&Aや財務戦略に携わることができます。安定した雇用形態と企業内部の意思決定プロセスに直接関わる経験を得られる点がメリットです。

FAS業界特有の求人トレンド

次に、昨今のFAS業界特有の求人トレンドについて解説します。

特にトレンドと言えるものは、3点ございます。

1点目は、地方都市でのFAS業界の求人が拡大傾向にあることです。FAS業界の求人はこれまで大都市圏に集中していましたが、昨今では地方都市での求人も増加しています。地方の中小企業がM&Aや事業再生を検討するケースが増えていることが背景であると考えられます。

2点目は、地方特化型ファームの登場です。昨今、地方の中小企業に特化したFASファームが増え、地元の経済を支える役割を果たしています。リモートワークを活用すれば、地方在住者でも都市部の案件に携われる機会が増加していることが背景であると考えられます。

3点目は、デジタル技術の進化に伴い、データドリブンFASが増えてきていることです。FAS業界でもデータ分析やITスキルが求められるケースが増えていますが、財務データを分析し、戦略的な意思決定を支援するデータドリブンスキルが重視されています。

求人情報から類推する企業の戦略的意図

次に、求人情報から類推する企業の戦略的意図について解説します。

FAS業界の求人は、人材募集を通じて企業の成長戦略や方向性を反映しており、求人情報から読み取れる部分がございます。

例えば、企業が現在直面している課題や未来に向けた成長戦略などです。

求人情報を注意深く分析することで、企業が求める人材像や業界内でのポジショニングや市場の動向などを読み取ることが可能です。

本記事では、具体的な内容について、3点に分けて解説します。

①成長分野への進出を目指す企業の場合

1点目は、成長分野への進出を目指す企業の場合です。

例えば、求人票に「特定の業界経験者歓迎」と記載されている場合、それは企業がその業界に特化したサービスを展開しようとしていることを示唆します。

具体的には、FASファームがヘルスケア業界やテクノロジー分野のM&A案件に携わる人材を募集しているとする場合、企業の戦略的意図としては、市場シェアの拡大をゴールとして、成長が見込まれる業界にいち早く新規参入することで、競合他社との差別化を図りたいという意図が考えられます。

また、「地方拠点での採用強化」や「地方出張の多いポジション」と読み取れる求人は、企業が地域経済の活性化や地方企業との連携を重視していることを示しています。例えば、地方の中小企業向けの事業再生支援や地方銀行とのパートナーシップを強化する動きがこれに該当します。

さらに、求人票に「海外出張あり」や「多言語対応可能な人材募集」と記載されている場合、企業がクロスボーダー案件の強化を目指していることがわかります。

これには、海外市場の開拓や国際競争力の向上を目指す意図が考えられ、グローバル案件に対応できる体制を整えようとしていることが考えられます。

②人材育成の投資に力を入れたい企業の場合

2点目は、人材育成の投資に力を入れたい企業の場合です。

FAS業界では、即戦力だけでなくポテンシャルを重視した採用も増えています。特に、「未経験者歓迎」「充実した研修制度あり」といった求人票は、企業が以下のような長期的な人材育成を重視していることを示しています。

未経験者を採用し、独自のトレーニングプログラムを通じて業務に必要なスキルを習得させることで、企業文化に合った人材を育てることも可能です。

もっと言うと、若手を早期に採用して現場経験を積ませた後、段階的に責任のあるポジションへと昇進させ、次世代の経営層を育成するような企業もございます。

他にも、「資格取得支援制度」や「海外研修制度」をアピールする求人は、人材育成の投資に力を入れたい企業の特徴です。企業がこのような取り組みを求人情報に記載する意図というのは、専門性を高めさせ、より高度な案件に対応できる人材になってもらいたいというニーズが考えられます。

③差別化戦略を図りたい企業の場合

3点目は、差別化戦略を図りたい企業の場合の場合です。

例えば、「データ分析スキル歓迎」や「AI活用案件に携わるポジション」と記載がある求人は、企業がデジタル時代における競争優位性を確立しようとしていることを示しています。

具体的には、AIやデータ分析ツールを活用することで、従来よりも迅速かつ正確な意思決定を可能にし、デジタル技術を活用して効率的に新しいコンサルティング手法を開発して、クライアントの多様なニーズに応えたいという意図が考えられます。

他にも、「ダイバーシティ推進」や「女性活躍推進」といった求人は、企業が多様性を競争力の源泉と捉えていることを示しています。異なる背景を持つ人材を採用することで、より柔軟で革新的なアイデアを生み出すことが可能ですし、多様性を重視する企業としてのイメージを強化できれば、ブランドイメージが向上し、クライアントや求職者からの支持を得ることにも繋がります。

求人情報はとにかく分析が大事

ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。

FAS業界の求人情報は、単なる職務内容や待遇の羅列ではありません。その背後には、業界の動向、企業の戦略、そして求められる人材像など、様々な情報が隠されています。

これらの情報を的確に読み解き、自身のキャリアプランとの整合性を判断するためには、徹底的な分析が不可欠です。

職務内容だけでなく、企業文化、キャリアパス、将来性など、多角的な視点から求人情報を分析することで、本当に自分に合った企業、ポジションを見つけることができるでしょう。

求人情報はとにかく分析が大事です。分析を通して、後悔のないキャリア選択を実現してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。