
M&A業界への就職完全ガイド(会社の選び方・ES・面接対策を徹底解説)M&A業界への就職完全ガイド
- M&A・事業再生コンサルタント
近年、企業の成長戦略において、M&A(合併・買収)はますます重要な役割を担っています。具体的には、企業規模の拡大、新規事業への参入、技術革新の加速など、M&Aはビジネス環境に大きな変革をもたらし、同時に就職市場にも大きな影響を与えています。
そんなM&A業界ですが、企業の買収や合併を通じて経営戦略をサポートする非常にダイナミックで魅力的な業界です。企業の成長戦略を担う重要な役割を果たすため、高度な専門性や論理的思考力が求められる一方で、年収水準が高く、スピード感のあるキャリア形成が可能な点も大きな魅力となります。しかし、M&A業界は競争が激しく、志望者にはしっかりとした準備が求められます。
本記事では、M&A業界を目指す就活生に向けて、業界の概要から会社の選び方、ESの書き方、面接での自己PR方法まで、筆者の実体験を踏まえつつ詳しく解説します。
これからM&A業界を目指す方、M&Aにご興味がある方、M&Aに関連するキャリアを形成したい方は是非とも参考にして下さい。
・M&A業界とは?どんな仕事をするのか?
・M&A業界の主要プレイヤーと構造について
・M&Aが創出するキャリアチャンス
M&A業界とは?どんな仕事をするのか?
まずは、M&A業界の概要と主な仕事内容について解説します。
M&A業界には、大きく3つの主要な職種があります。それぞれが異なる役割を担い、求められるスキルも異なります。
1点目は、M&Aアドバイザリー(FA:Financial Advisory)です。主に大企業のM&A戦略を立案し、企業価値評価、交渉支援、財務・法務のデューデリジェンス、契約締結支援を行う仕事ですが、投資銀行や証券会社、大手の独立系M&Aファームなどがこの分野をリードしており、案件の規模が大きく、専門性の高い分析力が求められます。
2点目は、M&A仲介です。主に中小企業を対象とし、売り手と買い手のマッチングを行います。事業承継問題の解決を目的とすることが多く、クライアント双方の希望を調整しながらM&Aを成立させる役割を担います。M&Aアドバイザリーとは異なり、営業力が求められるため、コミュニケーション能力が重要になります。
3点目は、事業会社のM&A部門(インハウスM&A)です。自社の成長戦略の一環としてM&Aを推進する役割を持ちます。主にターゲット企業の選定、財務調査、買収後の統合(PMI)などを担当し、より経営戦略に関わる視点が求められます。
M&A業界でのキャリアを積んだ後、事業会社のM&A部門に転職するケースも少なくありません。
M&A業界の会社の選び方
次に、M&A業界の会社の選び方について解説します。
M&A業界を志望する際には、まず自分がどの分野に適性があるのかを考えることが重要です。
例えば、財務分析や企業価値評価に興味があるならM&Aアドバイザリー、営業や交渉を活かしたいならM&A仲介、経営戦略の視点を持ちたいなら事業会社のM&A部門が適しているでしょう。
また、企業の成長性や業績をしっかりと分析することも欠かせません。特に上場企業や成約実績が豊富な企業は、多くの案件に関わるチャンスがあり、成長スピードが速い傾向にあります。
さらに、年収や働き方、社風を事前にリサーチし、自分に合った企業を選ぶことも大切です。例えば、外資系投資銀行や大手証券のM&A部門は高収入な反面、ハードワークが求められます。他にも、M&A仲介は成果報酬型の企業が多く、営業力次第で高収入を目指せる環境ですが、外資系投資銀行や大手証券のM&A部門ほどではなかったり、事業会社のM&A部門では、比較的ワークライフバランスを取りやすい傾向にありますが、M&A業界の中では年収が低い傾向にあります。
上記はあくまで一例ですが、会社選びは慎重に行うべきです。
M&A業界の構造と主要プレイヤー
次は、M&A業界の構造と主要プレイヤーについて解説します。
M&Aは、複雑な取引を円滑に進めるために、多様な専門家が関与するエコシステムですが、主要なプレイヤーとしては、主に投資銀行・M&A仲介会社・コンサルティングファーム・PEファンドなどが挙げられます。
投資銀行は大型案件のアドバイザリーや資金調達を担い、M&A仲介会社は中小企業間のM&Aをサポートします。
また、コンサルティングファームは戦略策定やデューデリジェンス、PMI(買収後の統合プロセス)などを支援し、PEファンドは投資を通じて企業価値向上を目指します。
これらのプレイヤーに加え、法務・会計の専門家も不可欠な存在です。近年では、政府機関もM&A市場の活性化や健全な発展を目的とした政策を推進しており、市場構造に影響を与えています。就活生は、これらのプレイヤーの役割と相互関係を理解することで、自身のキャリアパスを描きやすくなることでしょう。
M&A業界の会社の選び方
次は、M&A業界の会社の選び方について解説します。M&A業界の会社を選ぶ上で、大きく4点のポイントが重要です。
1点目は、M&A業界の企業の種類を理解することです。M&A業界には、大きく「投資銀行や大手証券会社が展開するM&Aアドバイザリー」と「M&A仲介を専門とする企業」と「事業会社のM&A部門」の3つが存在します。
投資銀行や証券会社では、大企業のM&A案件を扱い、財務分析や企業価値評価のスキルが求められますが、M&A仲介は、中小企業の事業承継支援が主な業務で、営業力や交渉力が重要視され、事業会社のM&A部門では、企業の成長戦略を実行する役割を担い、買収後の統合プロセス(PMI)などを担当します。
つまり、M&A業界と一言で言っても、企業の種類によって求められるスキルは大きく異なるということです。
2点目は、企業の成長性と実績を確認することです。M&A業界は成長市場ではあるものの、企業ごとに案件の規模や成長スピードが異なります。特に、上場企業や急成長中のM&A企業では、経験を積む機会が多く、キャリアアップを図りやすいので、企業の成約実績や顧客層を調べ、継続的に成長を続ける企業を選ぶことが大切です。また、企業ごとの教育体制やキャリアパスについても確認し、スキルアップできる環境が整っているかも合わせて確認しておくと良いでしょう。
3点目は、年収や働き方、社風を見極めることです。M&A業界は年収が高い傾向にありますが、その分ハードワークな企業が多いのも事実です。例えば、外資系投資銀行や大手証券のM&A部門は、高い給与が魅力である半面、長時間労働が求められるケースが多いですが、M&A仲介は成果報酬型の企業が多く、営業成績によって年収が大きく変わります。さらに、事業会社のM&A部門は比較的ワークライフバランスが整っている場合が多く、安定的なキャリアを築きやすい点が魅力です。
このように、企業選びの際は、自分のキャリア観やライフスタイルに合った働き方ができるかを考えましょう。
4点目は、OB・OG訪問や口コミの活用です。企業の実態を知るためには、OB・OG訪問や口コミサイトを活用するのが有効です。実際に働いている人の話を聞くことで、企業の文化や職場環境、求められるスキルについて具体的な情報を得ることができますが、その際、企業ごとの昇進制度や教育体制についても情報収集し、自分が成長できる環境かどうかを見極めることが重要です。
エントリーシート(ES)を記入する上でのポイント
次は、エントリーシート(ES)を記入する上で抑えて頂きたいポイントについて解説します。
まず、志望動機は具体的に書くことです。M&A業界では、「なぜこの業界なのか?」や「なぜこの企業なのか?」を明確に示すことが求められることが多いため、単なる憧れや漠然とした興味ではなく、具体的なエピソードを交えながら、自分の適性や強みをアピールすることが大切です。
例えば、「大学のゼミで企業財務分析を行い、M&Aが企業成長に与える影響を学び、実際の案件に関わりたいと考えた」といった背景を述べると説得力が増します。
また、M&A業界では、論理的思考力やリーダーシップが求められますので、チームプロジェクトやゼミ活動、アルバイト経験を盛り込んだ自己PRを行うと良いでしょう。
その際、数値を交えて成果を示すと、より説得力のあるアピールが可能になります。
面接での自己PRのポイント
最後に、面接での自己PRのポイントについて解説します。
まず、M&A業界の面接では、「なぜこの業界を志望するのか?」を明確に語ることが求められます。単なる金融業界への興味ではなく、M&Aを通じて何を成し遂げたいのかを具体的に説明することが大切です。
例えば、「企業の成長支援に関わりたい」「事業承継の課題を解決したい」など、自分の価値観と業界の特性を結びつけると良いでしょう。
また、M&Aアドバイザリーの面接では、論理的思考力を測るためにケース面接やフェルミ推定が出題されることがあります。
例えば、「日本のM&A市場規模を推定せよ」といった問題に対し、データをもとに仮説を立てて論理的に説明できるように準備することが重要です。日頃からビジネスニュースやM&Aの市場データをチェックし、即座に考えをまとめる練習をしておくと良いでしょう。
さらに、M&A業界の面接では、プレゼン能力や交渉力も問われることがあります。事前に模擬面接を繰り返し行い、論理的な説明がスムーズにできるように準備しておきましょう。具体的な事例を交えて話すことで、面接官に強い印象を与えることができます。
M&A業界で理想のキャリアを形成しよう
ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。
M&A業界は高い専門性とハードワークが求められる一方、企業の重要戦略に深く関わり、短期間で成長できる魅力的なフィールドです。
会社を選ぶ際には「規模」や「得意分野」、そして「社風・成長環境」をよく見極め、自分の目指すキャリアパスと合致しているかを判断することが大切です。
また、エントリーシートでは、M&Aに対する興味・熱意をしっかりと表しつつ、数字を使って自分の実績をアピールするようにしましょう。そして、面接では、結論ファーストの論理的なコミュニケーションやチームワーク・リーダーシップのエピソードを交えながら、M&Aの現場で活躍できる人材であることをアピールすると効果的です。
経営戦略の最前線で活躍したい方や幅広いビジネススキルを磨きたい方にとって、M&Aは大きなチャンスを提供してくれる世界です。
しっかりとした準備をして、ぜひ魅力的なM&A業界への就職を勝ち取りましょう。
本記事が何か1つでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。