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2019/06/18

第3回:「IFRSとU.S.GAAP(米国会計基準)–U.S.GAAPを学習する意味はあるのか?」

今回の連載も、いよいよ最終回となりました。第1回には、「IFRSをめぐる現状」、第2回では「IFRSがU.S.CPA資格に与える影響」として、会計基準がIFRSに統一されていっても資格としてのU.S.CPAの価値は落ちないことを述べてまいりました。

当校の受講生の方から、「アメリカがIFRSを採用(Adoption)するのであれば、今、U.S.GAAPを学ぶ意味があるのだろうか?」という質問を頂きました。
今回は、皆様が今何を勉強すべきなのか、U.S.GAAPやIFRSをどのような順番で学ぶべきなのかをお話しいたします。

今、会計の世界は、各国においてIFRSの導入が進んでいく過渡期のまっただ中です。(今朝の日経新聞でも、「後入先出法11年3月期廃止」の記事が出ていましたね。)
私は、この過渡期をチャンスととらえ、前向きな姿勢で臨むことが大切と思います。
USCPAを学習中の方は、まずU.S.GAAPをしっかりと学習し、その後IFRSとの
違いを補完していくべきと思います。米国は会計基準のConvergenceを進めてきており、現在、IFRSとU.S.GAAPの差異は、現在2~3割程度となっています。U.S.GAAPを体系的に 理解しておけば、あとは相違点をおさえていけばいいわけです。

参考までに、IFRSとUS.GAAPが異なる点のうち、簡単なものを少しご紹介します。

1) 有形固定資産(FARE2: Long-live Assets)

IFRSでは、再評価モデル(revaluation model)の採用が認められています。このモデルを採用した場合、その資産は再評価実施日における公正価値から、その後の減価償却累計額と減損損失を差し引いた額で計上します。

2) リース(FARE2: Lease)

IFRSでは、キャピタル・リースのことをファイナンス・リースと呼びますが、IFRSではUS GAAPのような、「ファイナンス・リースに該当する条件」のような数値的基準を示していません。いわゆる、Principle-Baseに基づき、取引の実質によってオペレーティング・リースとの分類をします。

3) 金融負債(FARE3: Dilutive Securities)

IFRSでは、保有者が固定数の普通株式に転換可能な転換社債(convertible bonds)のような複合金融商品(compound instruments) については、その転換社債における負債部分と資本部分を区分 (split accounting) して表示することが規定されています。

1) 3) については、US.GAAPでどのような取り扱いをするのかは当然分かりますね?また、2) のキャピタル・リースの数値的基準○○%はすぐに頭に浮かびますか?US GAAPを知った上でIFRSを学習すると、会計の異なる魅力に遭遇すると共に、会計という世界における共通言語の必要性を強く感じます。

米国のIFRS採用は2014年、今から6年後が予定されています。(今すぐにU.S.GAAPがなくなるわけではありません。)これからの6年は、会計が世界で大きく変わる激動期です。

皆様のキャリア形成においては、この移行期をうまく生かしていくことが大切です。

既に大手の会計事務所は、IFRS導入のコンサルティングを大きなビジネスチャンスと捉え、動きはじめています。IFRS導入コンサルティングにあたっては、U.S.GAAPとIFRSの両基準に精通していることが必須です。

しかし、そのような人材は極めて少ないという現状を考えますと、両基準の専門知識を習得することは、人材市場において高い評価を受けるための効果的手段となるでしょう。

会計基準のIFRSへの統一への動き、又、サブプライムから始まった米国の金融危機は日本の金融機関への出資やM&Aにつながっていきました。経済のグローバル化は、今後もますます進んでいくことでしょう。

世界で通用する知識を持った人材への需要も高まっていくものと思います。

3回にわたる連載でお話してきた通り、U.SCPA取得を目指される方の選択は正しいものです。

是非がんばってください!