【転職ノウハウ】失敗から学ぶ! USCPAが避けたいミスマッチ事例とは?
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Vol.4 失敗から学ぶ! USCPAが避けたいミスマッチ事例とは?
皆さん、こんにちは。さて前回まではUSCPA(米国公認会計士)が企業にどのように評価されるのか、という観点でお伝えしてきました。
しかしながら(残念なことに)、USCPAが全ての企業で評価されるわけではありません。
また実務未経験の方は、USCPAの知識だけで転職後に十分活躍できるわけではありません。
今回は転職エージェントとして、あえて「USCPAを活かしきれなかった…」「認識が甘かった…」という相談者の事例をご紹介しながら、押さえるべき2つのポイントをお伝えします。
事例1:国内親会社、国内子会社、日本基準…海外との接点が一切なかった。(30歳女性)
A実さんは東京の大学を卒業後、Uターンして地元の国内企業に就職。総合職として最初は営業部に配属されました。
A実さんは大学では会計を学んでおり、将来的には経理財務部で会計プロフェッショナルとしてのキャリアを積みたいと考えていました。
もともと英語が好きだったこともあり、社会人5年目にUSCPAの取得を決意。会社は国内のみで事業展開を行っているものの、今後の海外展開を見据えて事業部が立ち上がった段階でした。
「将来、海外子会社を買収したり、会計基準をIFRS (国際会計基準)※1に変えるとき、きっとUSCPAを使って活躍できる!」そう自分自身を鼓舞し、A実さんは仕事と両立しながら、コツコツと学習を進め、社会人7年目に無事全科目合格を果たしました。
合格した年、人事考課の面談でA実さんは上司に伝えました。
「USCPAを取得したので、経理財務部に異動したいです。」
上司の回答はA実さんが思い描いていたものと大きく異なりました。
「残念ながら現在、海外への積極的な事業展開は考えておらず、国内事業を拡充する方向にシフトしている。経理財務部への異動は、これまでのあなたの功績から前向きに進めるが、英語を使える環境ではない。」
その面談を終えた週末、A実さんは私を訪ねて転職相談に来てくれました。結果的にA実さんは、USCPA全科目合格後に転職活動を開始、見事BIG4監査法人※2のアドバイザリー部門にて内定を獲得しました。
業務内容は、クライアント企業の会計基準変更をサポートするものです。近年、JGAAP(日本基準)からIFRSへの変更を行う企業が増えています。
そういった企業ニーズに応えたホットなポジションであり、USCPAの知識を活かし、将来的には監査法人でキャリアアップを狙いたいと考えています。
事例2:憧れのBIG4監査法人で勤務!学習、キャッチアップの日々です。(25歳男性)
T助さんは大学4年生からUSCPAの学習を開始し、卒業後1年の学習期間を経て、無事全科目合格を果たしました。学生時代から会計を主軸としたキャリア構築を希望しており、転職活動もBIG4監査法人を中心とした会計監査を応募していました。
結果、複数法人から内定をもらい、無事入所の運びとなりました。ご本人としても海外留学で鍛えた高い語学力、そしてUSCPAを武器に「即戦力として活躍したい!」と強く思いながら、勤務を開始されました。
入所から1年後、弊社主催の監査法人採用セミナーにてT助さんがスピーカーとして来校してくれる機会がありました。
「ankoさん!!ご無沙汰しております。」
たった1年しかお会いしていないはずなのに、学生っぽさが抜けグッと大人びた表情に。言葉づかいや雰囲気も立派なビジネスマンに成長されていました。仕事の様子をお伺いすると、少しだけバツが悪そうに、笑いながら話してくれました。
「ankoさん、入所当時に僕が話したこと覚えていますか?『即戦力として活躍してみせます!』と話したのですが、やはり資格と語学力があれども日々勉強だと痛感しました。
クライアントは念願のグローバル展開している自動車会社で、もちろん英語を使う環境だったことはとても良かったです。
ただ、あくまでも国内企業、ちゃんと日本の会計基準に対する知識のキャッチアップも行わないといけない。
今から思えば入所当時の『即戦力として活躍したい』という考えが、少し恥ずかしいくらいです。。本当に日々勉強です!」
さて、具体的な二つの相談事例をご覧いただきました。
A実さんの場合は「ドメスティックすぎる環境でUSCPAを活かしきれなかった」ことが、T助さんは「USCPAの知識だけで全てを網羅できると思った」ことが、(少し厳しい言い方になってしまいますが)認識の甘さだったと言えるかもしれません。
USCPAはビジネスに関する知識を広く浅く学ぶという性質があります。そのために「継続教育※3」がありますし、実際に監査法人や事業会社に転職が叶った場合も、国内の会計知識に対するキャッチアップや学習はもちろん必要です。
ただし、それがしっかりできれば自国はもちろん、グローバルな環境にも通用する会計人になれます。T助さんが帰り際、笑顔で話してくれた言葉が私には印象的でした。今回はその言葉で締めたいと思います。
「ankoさん、僕はUSCPAを取得して良かったです。
この資格があったからこそ僕はスタートラインに立つことができました。
ただ、ここで立ち止まってはいけないのです。
待っているクライアントのため、知識をキャッチアップし、僕のキャリアゴールまで走り続けないと!」
※1International Financial Reporting Standards 国際会計基準審議会(IASB)によって設定された会計基準の総称
※2PwCあらた有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人
※3ライセンス取得者は、知識をアップデートするために「継続教育」を受ける必要があります。