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2019/07/03

USCPAの転職先③「憧れのコンサルティングファームへ!」

さて、USCPA(米国公認会計士)の転職先シリーズの第3回目。今回は皆さんお待ちかねの「コンサルティングファーム」についてお話いたします!

USCPAの転職先

①監査法人

②税理士法人

③コンサルティングファーム

④一般事業会社(外資系企業を含む)

⑤海外会計事務所

まず先に皆さんに押さえていただきたいのは、数あるコンサルティングファームの中でも、USCPAを活かしやすい、親和性があるのはどういった仕事内容なのかということです。

今回はズバッと答えを先に示してしまいましょう。

ファイナンシャルアドバイザリーサービス(通称:FAS)

さて、字面だけ見てもどのような業務内容なのかイメージしにくいかと思います。アドバイザリー業務については、以前監査法人の仕事内容で概要に触れましたね!皆さん、覚えていますか?

具体的な内容を挙げるとよりイメージしやすいかもしれません。ファイナンシャルアドバイザリーはM&A※1業務、クライシスマネジメント※2(事業再生等)に関する業務が主となります。

それでは、概要も含めて下記で具体的に説明していきましょう。

憧れの業務領域「M&A(合併と買収)」

仕事内容

企業のM&Aを「結婚(お見合い)」に例えることが多いですが、売り手・買い手側のいずれかの立場に寄り添い、無事に先方の条件を満たすお見合い相手を見つけ、結婚にこぎつけ、二人が新たな生活を円満に始めることができるようサポートする…これがM&A業務の一連の流れと言えます。

この業務は複数のプロセスに分かれており、ざっくり分けると下記のようなイメージです。

①売り手/買い手の候補者探し:ソーシング※3

②企業の財務諸表の内容チェック・(リスクや不正がないか)調査:デューデリジェンス※4

③いくらで売る/買うべきなのか価格設定:バリュエーション※5

④合併・買収後、軌道に乗せるための統合作業:PMI(Post Merger Integration)

②~④の実務を担当する専門部隊(デューデリジェンス、バリュエーション、PMI等)と、それぞれ②~④の業務が期限内に終わるようスケジューリングをしたり、クライアントの希望のタイプをヒアリングしたりと、M&A全体をコーディネートする指揮官(ファイナンシャル・アドバイザー:FA)の役割がM&Aコンサルタントとしての関わり方と言えます。

求められる要件

実は一口にM&Aコンサルタントと言っても、上述の①~④のように業務は細分化しており、どの業務を担当するかによって求められる人材像も異なります。

例えば②のデューデリジェンスは対象企業の財務諸表をチェックするわけですが、言ってみれば監査法人が行う会計監査をギュッと濃縮して行うイメージです。そのためUSCPAと親和性が高いとも言えるでしょう。

ただM&Aコンサルタントの世界は、少しでも即戦力としての知識を持ち合わせていることが歓迎されるため、USCPAの資格のみでは、狭き門と言えます。そのため「会計監査」「経理実務」等の経験も併せ持っている方が望ましいでしょう。

また③のバリュエーションは「会計監査」「経理実務」等の経験者に加えて、金融出身者(法人営業・融資担当等)へのニーズもあり、④のPMIはコンサルティングにおける業務改善経験が歓迎されます。

また指揮官側は①のような売り手・買い手側のピックアップ、クライアントが有利にM&Aを進められるような交渉、②~④が円滑に進むように専門部隊とクライアントの間に入り調整を行っていきますが、正直なところ業務量・忙しさ共に、ある一定量は覚悟が必要です。

傾向としては「金融出身(メガバンク・投資銀行)」「事業会社(M&A経験)」「ビジネスセンスのあるUSCPA/公認会計士」が書類選考を通過しやすいでしょう。

企業を守る「クライシスマネジメント(危機管理)」

仕事内容

現在、企業は事業拡大やグローバル展開に伴い様々なリスクと直面しています。

海外子会社の不正や、競合の台頭に伴う経営圧迫、業績不振など…健全で成長性のある企業であり続けることは当たり前ではなく、並々ならぬ企業努力が伴います。

その企業努力を後押しするのがクライシスマネジメントであり、具体的なサポートの一つとして「事業再生」「フォレンジック(不正調査)」が挙げられます。

事業再生アドバイザリーでは、その名の通り経営課題にぶつかり、悩んでいる企業を「再生(立て直す)」仕事をメインとしています。その領域は広く、経営計画の策定・コスト削減等の財務会計・管理会計の内容もあれば、不祥事があった際の事業の切り離し(カーブアウト※6)等が絡む場合もあります。

「フォレンジック」という単語を耳にするのが初めての方もいるかもしれません。日本語直訳では「法医学的な」「科学捜査の」といった意味付けですが、不正調査や犯罪の「証拠集め」という使われ方もしています。

具体的な業務内容としては企業が抱える「不正調査」の役割を果たしており、例えば子会社の会計不正・データ改ざんの発見等、企業価値を脅かす危機に対する調査、また不正発覚後の迅速な対策・対応等までワンストップでサービスを提供しています。

求められる要件

以前ご紹介した監査法人のアドバイザリー業務に通じるものがありますが、コンサルタント業務も相手に助言・進言する以上、目線を合わせて話せる知識や実務経験が重視される傾向にあります。

そのため、事業会社の経理財務・経営企画/戦略等で実務経験を有するUSCPAや公認会計士、SIer※7 等のITシステム領域に強い方、業務改善等のノウハウを習得されたコンサル業界での経験者はマッチする部分が多くなります。

さて、本日は志望する方も多い「コンサルティングファーム」に注目してお話いたしました。

USCPAと親和性が感じられるポジション・業界に狭めてのレクチャーとなりましたが、イメージは掴んでいただけましたか?

なんとなくですが、画面の向こうに読者の皆さんの「全然経験を満たしていない…」という思い悩んだ表情が見える気がします。

しかし、そういった親和性の高い経験を既に持ち合わせている方は(少なくとも私がUSCPA取得を目指している方と面談する限りでは)母数としてもかなり限られています。

そのため経験と箔(ハク)をつけるために、BIG4※8 監査法人で経験を積まれる方も少なくありません。「今すぐ」自分の目標とするゴールに「一足飛び」には行けないかもしれませんが、そこに向かうためにどういった手順・段階を踏めば良いのか、逆算してキャリアプランを考えることも大切です。

だからこそUSCPAは一つの切り口になると言えます!

「自分の経歴だとどう進めていけば良いのだろう…」と悩む方はいつでも私達にご相談ください。


※1Merger and Acquisition ここでは企業の買収・合併を指す
※2Crisis Management 企業価値の毀損、企業活動の存続が脅かされるような危機的状況に陥った際の対処・対策方法や仕組みを指す
※3Sourcing ターゲット企業の選定、ターゲット企業と交渉を行う
※4Due Diligence ターゲット企業を財務・人事・法務等の側面からリスクの洗い出し、調査を行う
※5Valuation 企業の利益・資産・社会的評価等に基づき企業価値評価(価格)を定める
※6Carve out 日本語訳で「切り出す」の意。大企業が自社の事業の一部を切り離し、グループ子会社/ベンチャー企業として独立させる手法
※7Systems Integrator(システムインテグレーター)を行う業者を指す。SIに「~する人」の意を示す「-er」を付けた造語。
※8世界的に展開する4大会計事務所、EY(Ernst & Young)、トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)、KPMG、PwC(PricewaterhouseCoopers)と提携している監査法人を指す。日本では順にEY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人。