【転職ノウハウ】USCPA転職活動① 監査法人への転職 選考フロー・書類作成ポイント
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USCPA転職活動①「監査法人への転職 選考フロー・書類作成ポイント」
さて、いよいよ新連載の開始です!
これまでUSCPA(米国公認会計士)の活かし方、実際の転職先などに注目して連載してきましたが、今回からは具体的に応募の進め方を伝授いたします。
なかには初めての転職活動の方もいらっしゃると思います。
まずは、監査法人における中途採用の選考フローからお伝えします(既卒で社会人経験がないUSCPAの方も、中途枠で採用となることが多いため、参考にしていただけることと思います)。
なお、監査法人のなかでも、会計監査部門および会計アドバイザリー部門への転職を念頭においておりますこと、ご了承ください。
中途採用における監査法人の選考フロー
- 書類選考
- 適性テスト
- 面接
- 内定
書類選考
学生時代の就職活動においてエントリーシート等が手書きだった方も中にはいらっしゃるかと思いますが、現在はパソコン作成(Excel・Word等のフォーマットに入力)でOKです。
必須となるのは履歴書・職務経歴書のみ。社会人経験がない方は職務経歴書の代わりに志望理由書を作成するとベターです。
USCPA(米国公認会計士)だと英文レジュメが必要ですか?と聞かれることもありますが、特殊な部門でないと必要ではありません。(英文レジュメが必要となるケースとしては、書類選考官が海外籍の方である部門への応募などです。)
適性テスト
現地点(2019年2月)では、ほぼ適性テストは実施されておらず、書類選考が通過すれば面接に進むパターンが主流です。
ただ、BIG4のうち1社のみは適性テストを実施しています(部門によって内容は異なりますが、SPIもしくは論理力テストです)。
全体として言えることは、適性テスト自体はそれほど重視しておらず、あくまで参考程度という位置づけです。
面接
部門により面接回数は異なりますが、通常は1~2回の面接を経て内定となります。(新卒採用のようなグループ面接・グループディスカッションはありません。個人面接のみ実施されます。)
2回の面接が実施される場合、1次面接は部門マネージャー~ディレクタークラスが面接官となり、最終面接はディレクター~パートナークラスが面接官となります。なお、1回のみの場合は最初からディレクター~パートナークラスとの面接です。
人事の関わり方は法人により様々ですが、面接に同席するケース・同席しないケース・部門面接と同日に人事面接も実施するケース、などがあります。
基本的には対面での面接となりますが、遠隔地(海外や地方等)にいらっしゃる方は、Skypeやgoogleハングアウトなどでのビデオ形式でも面接を実施いただけます。
なお、休日選考会がない限り平日での設定となり、就業中の方は平日夕方(19時半頃までのスタート)に設定する方が多いです。
内定
内定が出た場合、通常1週間程度は検討期間があります。なお、口頭のみで内定が伝えられることはなく、内定通知書(オファーレター)がメール添付で渡されます。
人によってかなり差はありますが、書類応募~内定までにかかる期間は、短い方で2~3週間程度、長い方で1ヶ月半程度です。
USCPAの応募書類作成ポイント
USCPA(米国公認会計士)が監査法人向けの応募書類を作成する際は、いくつかの押さえておくべきポイントがあります。
ただ、大前提として最初にお伝えしておきたいのは「応募ポジションへの理解が重要」ということです。
応募ポジションと、ご自身の経験・スキル・志向性がフィットするポイント(接点)を意識することが重要。
そのためには、応募ポジションについての理解を深めることが欠かせません。(さらに言うと、BIG4監査法人においては「どのポジションに応募するのか?」という点も重要です。こちらについては別の機会に触れたいと思います。)
部門構成や仕事内容、直近の採用パターンなどをしっかり把握すると、ご自身との接点が見つけやすくなります。
さて、ここから本題に入ります。皆さんからよく聞かれる質問を基に、ポイントをお伝えしたいと思います。
未経験者は何をアピールすれば良いか?
USCPA(米国公認会計士)の方だと、未経験からのキャリアチェンジとして監査法人を目指す方も多いことと思います。
「未経験で経理も監査もやったことがないのに、何をアピールすれば良いの?」と思う方、ご安心ください!
しっかりと経験を棚卸しすれば、応募ポジションとの接点が見つかるケースも多くあります。いくつかのケースを下記に挙げます。
●会計以外の業務でも、実績や創意工夫した事例をしっかり書く
意外と重要なポイントです。会計以外の経験でも「挙げた実績」「創意工夫をして仕事を進めてきた事例」を記載することで、未経験ながら実務力や自主性があると評価されます。
例えば営業職の方。具体的な業務内容に加えて、予算達成率や営業成績、お客様からの評価や、受賞歴等も職務経験に盛り込むとプラスです。
またソフトスキルとして、クライアントとのコミュニケーション能力や調整力なども記載しやすいでしょう。こちらは販売や店舗管理などの経験者にも言えることです。
マーケティング・購買・事務や管理部門等、他職種の会計未経験者も業務経験を整理しながら、しっかりと職務に取り組んできたことをアピールしてください。
※注意ポイントは「記載量が多くなりすぎないように、要点をまとめること」です。職務経歴書のページ数として、20代の方は2~3ページ、30代の方は4ページまでにまとめると宜しいかと思います。個別のご経験によるため、あくまで目安の数字です。
●会社規模や業界知見は武器となる
会計未経験でも、大手上場企業1社で勤めあげている方、特定の業界で首尾一貫働いている方はそこも強みとしてアピールすることが可能です。
BIG4監査法人ではクライアントが大手企業となるケースも多いため、クライアントのビジネスやカルチャー等を深く理解している大手企業出身者は歓迎されます。
また、独自の業界ルール、専門用語・人脈等は一朝一夕で培うことができないため、業界知見は一つの有用なスキルとして評価されます。
監査法人はクライアントの業界別にチームが異なる場合も多く、ご自身の出身業界をクライアントとするチームであれば、会計未経験でも必然的に評価は高くなります。
(代表的な例としては、金融業界の経験者です。BIG4監査法人においては、金融機関向けサービス部門が必ず存在しており、金融業界の経験者は業界知見を高く評価されます。)
●「英語力がある方」「英語力に自信がない方」それぞれの対応
監査法人において、グローバル展開する企業がクライアントとして増えるなか、必然的に英語ができる人材の価値は高まっています。
しかしTOEICスコアと、ビジネスの場で実際に使えるかは別物。実際に活きた英語を仕事で使っていた方は、「読む・書く・話す」において、どのレベルまで業務に対応できるのか書類に記載いただけると良いでしょう。
例えば「話す」という要素をとっても、電話対応レベルなのか、会議レベルなのか、難易度の高い交渉に対応できるのかでは、先方の抱く印象も異なります。
未経験で入所した方の中には、高い英語力を武器にBIG4監査法人の内定を獲得した方も多くいらっしゃいます。
ただ、実務における英語の使用経験がないと内定獲得が難しい、というわけでは全くありません。(特にスタッフクラスから入所する場合、最初からビジネスレベルの英語力を求められることは稀です。)
実務経験がなく、USCPA(米国公認会計士)やTOEICを通じて英語を学習してきた方は、向学心をアピールすると良いでしょう。(継続して英語学習を行っている実績や、入所後も英語力を高めていきたいという志向、など)
もちろん、留学経験がある方はそちらも加えて記載するとベターです。
●学習能力、向学心:プロフェッショナルファームに必要なもの
監査法人は会計専門のプロフェッショナルファームのため、入所後も学習を継続することが求められます。
特に未経験の方は、入所後に専門知識をキャッチアップしていけるか?という観点も問われます。そのため、(特に社会人になってから)学習をしてきたこと、スキルアップを図ってきたことをアピールすると、監査法人において必要な素養を持っているとみなされます。
なお、特に資格取得に至っていなくとも、必要な知見を自発的に身につけ実務に活かしてきた、というエピソードでOKです。
会計経験者が特にアピールしたいポイント
監査法人の業務は大きく会計監査・アドバイザリーの2種類に分けられますが、いずれにせよ会計領域(特に財務会計領域)における専門的サービスを提供していることには変わりありません。
ダイレクトに評価されやすいのは決算・開示等の財務会計領域の経験ですが、原価管理・予実管理といった管理会計や、財務、税務などの経験も評価対象となります。
また、特にアドバイザリー部門への応募の際は、通常の経理業務に加えて「コンサルティングの素養が感じられる経験」をよりアピールすると評価が高くなります。(例えば、プロジェクトを取りまとめた経験や、業務改善経験などです。)
志望理由がまとまらない時は…
監査法人が意外とよく見ているのが、その人のキャリアプランです。どういったキャリアゴールを考えているのかは実は選考においても重要なポイントとなります。(応募者のキャリアプランに注目するのは書類・面接の段階でミスマッチ入所を避け、早期退職の芽を摘みとるという意味合いもあります。)
そのため志望理由としては、志向しているキャリアプラン・キャリアゴールと、監査法人におけるキャリアが合致するポイント(例えば、会計の専門性など)を挙げると良いです。
その他にも「監査法人に関心を持ったきっかけ」「監査法人勤務の方と接した経験、そこから感じたこと」「応募ポジション(会計監査職/アドバイザリー職)に魅力を感じるポイント」などの問いからスタートすると、少し考えが進みやすくなることと思います。
また、志望理由に加えて「これまで培った経験・スキルから、どのように貢献可能か?」という点についても併せて挙げると、読み手(選考官)に入所後の活躍イメージを持っていただきやすくなります。
志望理由欄に①志望理由、②貢献可能なポイント、をセットで記載する形式でもOKです。
自己PRに何を書いたら良いか?
ご経歴によってタイプが分かれますが、性格面での強みや行動特性といったソフトスキルを記載する方が多いかと思います。
形式としては、結論(キーワード)と説明(エピソードなど)を1セットで記載すると読みやすくなります。
キーワードの例としては、誠実さ・継続力・主体性・タフさ…などでしょうか。そちらに続けて、キーワードをよく表すエピソードを記載すると、読み手に納得感を持っていただけます。(エピソードとしては、学生時代の経験ではなく、職務における経験を引き合いに出すとベターです。)
年齢や転職回数が気になる方の書類作成ポイント
年齢が気になる方は、年齢と経験のバランスを意識して書くことが重要です。ここで言う経験とは、会計経験ではなくて社会人経験を指しています。
年齢に応じて、どのように実務で役割を果たしてきたか、成果を残してきたかを意識して書くと魅力が伝わります。
また「入所後、早期にシニアスタッフとして活躍できる人材か(人材育成やマネジメントの経験はあるか)」なども問われるポイントです。
転職回数が気になる方は、経歴の一貫性を表すことが大切です。どういった流れ・ストーリーでこれまでの経歴を辿ってきたのかを整理した上で、記載形式や表現を精査すると良いでしょう。
なお、転職理由を書類に記載するかどうかは、個別の状況によります。また、経歴上ブランクがある方は、その理由を簡潔に補足した方がベターです。
個別のアドバイスは、その都度私達エージェントに聞いていただくのが一番ですが、書類の作りこみ方や面接時の受け答えのコツは、今回のシリーズを通してイメージを持っていただけるはずです。
次回は面接以降のフローに注目してまいります。ぜひご期待ください!