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2019/07/09

vol.13 USCPA転職活動② 「未経験USCPAでも内定が獲れる!監査法人の面接攻略」

さて皆さん、前回に引き続き「監査法人」への転職における応募の進め方をお伝えいたします。

これまではUSCPA(米国公認会計士)の応募書類作成ポイントを様々な切り口(会計未経験者・英語力に自信がある方・営業出身者など)でご紹介いたしました。

今日は後半戦として、「面接」に焦点を当ててお話していきます。

BIG4監査法人の「面接」を攻略する上では、事前の準備や対策が必要不可欠です。

面接の形式はもちろんのこと、選考上なにを重視し評価しているのかということは押さえておくべきポイントです。

また面接官からの質問の意図をしっかりと理解した上での回答が求められます。今回の内容を通して、具体的なイメージを膨らませていただければと思います。

面接の形式

監査法人の中途採用における面接は、前回(USCPA転職活動①)でもお伝えした通り個人面接が1~2回実施されます。オーソドックスな質問がメインであり、ケース面接※1など戦略コンサルティングファームで実施されるような特殊な質問はありません。

そのため、これまでの過去(経歴の経緯)・現在(転職理由・志望動機)・未来(キャリアビジョン)の3つの視点から一貫性をもって説明することが大事です。

短い時間の中で相手に伝わりやすいように、キーワードを整理しましょう。

なお、新卒採用における面接のように堅苦しい雰囲気ではないので、その点はご安心いただける要素かもしれません。雰囲気としては、客先との打ち合わせに近いイメージをお持ちいただくと良いでしょう。

冗談も交えつつフランクに話す面接官が多く、(もちろん面接官のお人柄・相性にも寄りますが…)面接会場も打ち合わせスペースのような机と椅子がある部屋で行われます。皆さんが先に部屋に通され、面接官が後から入室されることが多いようです。

第一印象はもちろん大切な選考要素!ですので、面接官が入室されたら、笑顔で爽やかな挨拶を心がけましょう。

メイン質問への対応

BIG4監査法人の中途採用面接でよく聞かれる質問の中でも、特色あるものを具体的に取り上げながら、回答のポイント・面接官の質問意図にも触れていきたいと思います。

これまでの経歴の経緯と、経験内容

⇒面接官にもよりますが、「大学での専攻内容」「新卒での就職活動の進め方(軸)」「これまでの転職の経緯」「現職での業務内容」などは聞かれることがあります。

特に現職の業務内容については、応募ポジションとの関連性が高ければ高いほどしっかりと聞かれることが多く、また同時にアピール材料にもなります。

事前に聞かれそうなポイントを整理しておきましょう。

ご自身が経験してきたこととはいえ、忘れてしまっていることも意外に多いものです。行ってきたことを全て棚卸しして、アピールポイントを見つけておくと良いですね。『実績はあるのに面接で話せなかった』というケースが一番もったいないので、ご注意ください。

USCPAを取得しようと思った理由は?

⇒「英語」×「会計」の国際資格であるUSCPA。この質問では、そもそものUSCPA取得動機、その理由の深さや正当性を見られることになります。

もちろん「現職での業務理解を深めるために必要」という『今』を切り口にしても構いませんし、「今後会計キャリアの専門性を高める上でのきっかけ」という『未来』を切り口にすることも可能です。

間違っても「公認会計士よりも取得が楽そうだから」「何となく資格をとっておけば安泰だと思った」というような妥協・思慮や計画性のない発言をしないように気を付けましょう。

なぜ監査法人を志望しているのか?

⇒「会計の専門職」は監査法人だけではありません。事業会社の経理、会計事務所、税理士法人等の様々なポジションがある中、「監査法人である必要性」を述べるようにしましょう。

ご自身がキャリアゴールとして描いている会計士としてのビジョンを達成するためには監査法人でなければいけないということが伝われば問題はありません。

志望動機(なぜ●●監査法人なのか?)

⇒前述の質問とも重なりますが、貴方自身のキャリアゴールを達成するためには「監査法人」が最適であると伝えることが第一段階です。次はもう一歩踏み込んだ質問が来ることを覚悟しましょう。

第二段階では、数ある法人の中で、なぜ●●監査法人を応募したのかということを訴える必要があります。中には「BIG4監査法人の中で決まれば、正直どこでも良い」と言われる方もいらっしゃいます。

しかし、法人側としては「明確な意思を持って志望してほしい」というのが本音です。

極端な例ですが、例えば学生生活において見ず知らずの後輩/先輩から告白を受けたと考えてみましょう。「なぜ私/僕なの?」と聞いた際に「野球部だったら誰でも良かった」と言われてしまうと興醒めですよね…。

だからこそ「●●監査法人のことを理解したうえで、●●監査法人でなければダメ」ということを伝える必要があるのです。

この質問の回答を作る上では、事前の法人分析が非常に重要です。ネットやパンフレットに書かれていることだけではなく、エージェントが開催する法人の採用セミナーに足を運んだり、直接エージェントから法人の魅力を聞くのも確実・簡単で良いでしょう。

数ある法人の中でも、●●監査法人であれば「~といった経験が積める」「現在動いている~といったプロジェクトに興味がある」「セミナーでお話を伺った●●さんの信念に感銘を受けた」等々、自身のキャリアゴールを達成するために最もベストな環境であることを伝えましょう。

ただし注意すべきはその根拠となる情報の正しさです。貴方の主張に対し、「その環境を用意できる(=情報が正しい)」となれば、法人側にとって戦力となる人材を「採用できる」、貴方にとってはキャリアゴール実現のため「内定を得る」という、互いにwin-winの関係を構築できるはずです。

ただ一方で、情報が間違っていれば「その環境は提供できない。入所してもミスマッチになるのではないか?早期退職に繋がるのではないか?」という観点から、不採用となる危険性も否めないのです。

なぜ監査職/アドバイザリー職を志望するのか?

⇒こちらも前述の質問を更に踏み込んだ内容と言えるでしょう。第三段階として、貴方のキャリアゴール達成のためには、どういった経験を積むことが理想であるのか、そのためには「会計監査/アドバイザリー」でなければいけないということを伝えましょう。

キャリアゴールに対する必要性以外の視点として、ご自身のこれまでの経験と親和性があるポジションであれば、仕事のキャッチアップの速さや、いち早く貢献できる自信があることを強みとしてアピールすることも可能です。

入所後、具体的にどのような仕事がしたいか?

⇒こちらは法人側として応募ポジションの業務内容を正しく理解しているのかという確認と、純粋に内定時の希望配属先として考慮される応募者側のアピール要素を持った質問です。

伝え方のテクニックの一つではありますが、例えばピンポイントで「中東諸国における●●ビジネスに携わりたい」というニッチな要望がある場合、まずは新人がそのプロジェクトに参加させてもらえるのかという現実的な問題があります。

その際に「●●に興味があり、携わりたいと思ってはいるけれども、経験が足りないようであれば、しっかりと実務経験を積み、将来的にぜひ挑戦してみたい」という伝え方が出来るだけでも、印象アップに繋がるでしょう。

3年後、5年後の仕事のイメージ

⇒この質問から法人は、

①「何となくの転職ではなく、具体的な将来設計に基づく転職活動なのか」

②「長期勤続が見込める、定着性のある人材なのか」

という2点を見極めると言っても良いでしょう。

①では貴方の人間性やキャリアビジョンといった計画性を、②については(どの業界・職種においても言えることかもしれませんが)業務を覚え、自走できるようになるまで勤務できる人材なのかを確認することを目的としています。

ようやく戦力として育ったタイミングで「やはり違うので転職します!」ということは法人にとっても大きな損害です。

3年後・5年後・10年後といった短・中・長期のキャリアビジョンが「法人の中で」描けている人を採用基準としても重要視する傾向にあるのです。(一般企業と比較すると、人材の流動性が高いのは事実ですが、面接の場で転職前提のキャリアを明言することはおすすめしません。)

上記以外にも、

■人物面への質問(長所・短所、これまで一番苦労したこと、失敗した経験)

■人事観点からの質問(年収、入所希望時期、他社含めた転職活動の状況など)

■逆質問(何か質問はありますか?)

といった項目も聞かれるので一通り整理をしておくと良いでしょう。特に人物面に関する質問は具体的なエピソードを求められるものも多い傾向にあります。

その場ですぐに対応することが難しいため、事前に伝えるエピソードに目星をつけておくと良いでしょう。

選考上のポイントを予測することが大事

これまで想定質問への対応について記載してきましたが、それだけでは準備不足!ご自身の経歴と応募ポジションを比較して「プラス(アピールポイント)」「マイナス(ネックとなる点)」を整理し備えておくと、面接官の咄嗟の質問に対応しやすいだけでなく、自身に求められる役割を意識した評価の高い面接になります。

ここでは実際に2つのサンプルを取り上げ、具体的にご紹介していきましょう。

ケース1)27歳、経理未経験者、転職歴なし(事業会社 営業→監査)

プラス(アピールポイント)

○営業での経験を活かしたクライアントとのコミュニケーション力
○社内各部門、またクライアントとのリレーションシップ構築力
○業界やビジネスに対する理解、またビジネス理解に紐づくリスクへの理解

マイナス(ネック)

○会計職へキャリアチェンジする理由
○監査業務についてのイメージを正確に持てているのか
○一からのスタートとなるが問題ないか

マイナスの要素としては、キャリアチェンジに対する浅はかさはないか(軽はずみな理解に伴う転職であれば早期退職に繋がる危険性があるため)、違う業界・業種・専門性でのキャリア構築となるため、また一からキャッチアップをしていくこと、また環境としてもご自身より年下の先輩等がいる可能性もあり、そういった環境の中で経験を積みあげていく覚悟や強い気持ちがあるのかを、先方は面接の中で確認したいのです。

ケース2)32歳、経理経験者、転職歴なし(事業会社 経理→アドバイザリー)

プラス(アピールポイント)

○アドバイザリー業務における経理経験の活かし方

Ex.会計システム導入等のプロジェクトマネジメントの経験、海外子会社管理等の海外に関わる業務経験

マイナス(ネック)

○プロフェッショナルの素養があるか
(仕事への姿勢、学習力、コミュニケーション力)

マイナス要素というより法人側の懸念事項に近い意味合いを持ちますが、プロフェッショナル性は重視される傾向にあります。

これまで事業会社側で「自社のために」、会計基準や社内基準に則り、決められた期日までに業務を遂行する経理業務に従事してきた方。

今度は立場が大きく変わり、「クライアントのために」(仕事への姿勢)、様々な会計基準や社内基準を考慮にいれつつ(学習力)、社内外と連携をとりながら課題解決にあたること(コミュニケーション力)が求められます。経験は活かせるものの仕事のスタイルが変わることに、高いプロフェッショナル性をもって応えることができる人物なのかが見定められるのです。

2回に渡り「監査法人」への転職を進める上でのテクニックをお伝えしてきましたが、イメージをお持ちいただくことは出来たでしょうか?

代表的な事例を用いて説明していきましたが、もちろんここではご紹介していないIT領域等からも転職活動を進めることは可能です。

「私のこれまでの業務経験だと、どうアピールすれば良いのだろう?」と迷うこと、悩むことがございましたら、まずは私達までご相談ください。

次回は「税理士法人」における移転価格アドバイザリーへの応募に注目してまいります!


※1すぐに回答の出せない質問を出題し、妥当性のある仮説を立て、質問の回答を論理的に導き出す面接。論理的な思考力、納得させる論の組み立て方、問題の本質理解が問われる。