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2019/07/10

vol.14 USCPA転職活動③ 「BIG4税理士法人(移転価格)、書類通過の鍵は志望理由にあり」

BIG4監査法人の転職に引き続き、今日はBIG4税理士法人への転職を成功させるためのテクニックを余すところなくお伝えしていきたいと思います。

なお、ここで取り上げるポジションにつきましては、以前もUSCPA(米国公認会計士)取得後の選択肢でご紹介した移転価格アドバイザリー(USCPAの転職先②)を念頭においておりますこと、ご了承くださいませ。

今やUSCPA学習中・合格された方々の選択肢としてBIG4監査法人に続く、人気のポジションです。グローバルな活躍が可能であり、且つその高い専門性に惹かれ、毎回多くの方が採用セミナーに参加いただいております。

数多くの内定者を出してきた実績と分析結果から、BIG4税理士法人の移転価格部門において、通過確度を高める書類作成のコツをご紹介いたします。

中途採用における税理士法人の選考フロー

全体としては既にご紹介した実戦編①(BIG4監査法人)の選考フローと重複が多くみられます。大きな相違点としてはテスト・面接の形式が挙げられますので、下記具体的にご説明してまいります。

書類選考

監査法人同様に応募書類は履歴書・職務経歴書の2種を作成いただきます。

中には「手書きの方が熱意は伝わりますか」というご質問をいただくこともありますが、手書きとパソコン作成(word・excelのフォーマットに入力)の両者間に選考通過の差異はありません。

移転価格部門においては選考が進む中で、2次面接・最終面接で海外籍の方が面接官となるケースもございます。

その際は選考途中で英文レジュメの提出が求められるため、(担当エージェントに応募法人の英語面接の有無を確認した上で)事前に草稿だけでも作成いただくと安心でしょう。

適性テスト・筆記テスト

複数の法人が選考過程で適性テスト・筆記テストを課しております。

傾向としては移転価格部門を応募する上での重要な要素となる「英語力」を測る試験が多いでしょう。

客観問題ではなく論述形式の出題がメインであり、翻訳(和文⇔英文)や英作文が出題されます。

筆記テストのタイミングと扱いについては、書類選考通過後(一次面接前)に実施する法人、一次面接と同日に実施する法人など様々です。

またその位置づけとしても、筆記テスト自体を独立した選考の機会と考え、結果次第では面接に進まないケースもあれば、面接の前後に実施し、面接結果と総合して合否を決めるケースもあります。

面接

通常は2~3回の面接を経て内定となります。また面接のスタイルはBIG4監査法人同様に個人面接です。1次面接では現場に近いシニアスタッフ~シニアマネージャーまで幅広い職位の方が面接官となります。

また、最終面接ではディレクター~パートナーが面接官となることが多いでしょう。

どの法人も個人面接ではありますが、詳細のスタイルは法人によって特色があり、候補者:面接官が1:複数名(2~3人)で1時間程度話す形式もあれば、30分ずつ一人一人と順番に面接する1:1を複数セットこなしていただく形式もあります。

移転価格部門の面接は、その場に面接官が一人しか出てこないということはほとんどなく、面接回数・人選共に「現場に携わる多くの人間と会ってほしい」という法人側の意図が感じられるのも特徴です。(これまでの経験上、スタッフ1名・シニアスタッフ2名・マネージャー1名の計4名と30分ずつ面接をする2時間コースの1次面接もございました。)

移転価格部門は監査法人の部門などと相対的に比較しても、大所帯というより少数精鋭の傾向があります。そのためチームメンバーとのマッチング、移転価格への理解、業務の姿勢等を多角的な視点で判断し、選考を進めているからこそのスタイルかもしれません。

なおBIG4税理士法人の移転価格部門においては、人事部が面接に同席するケースはほとんどなく、あくまでも部門主体の面接となっています。基本的には対面での面接となりますが、遠隔地(海外や地方等)にいらっしゃる方は、Skypeやgoogleハングアウトなどでのビデオ形式でも面接を実施いただけます。面接時間については平日での設定となり、就業中の方の場合は平日夕方(19時半頃までのスタート)に設定することが多いです。

内定

内定が出た場合、通常1週間程度は検討期間があります。なお、口頭のみで内定が伝えられることはなく、内定通知書(オファーレター)がメール添付で渡されます。

人によってかなり差はありますが、書類応募~内定までにかかる期間は、短い方で1ヶ月程度、長い方で1ヶ月半程度です。

USCPAの応募書類作成ポイント

BIG4税理士法人の移転価格部門を応募する際に、まず前提として押さえておくべきポイントがあります。

それは移転価格アドバイザリーにおける採用人材のイメージをしっかりと理解しておくことです。以前、この『虎の巻』の中でも解説しておりますが、『会計』と『語学力』、この二点は応募する上で外しようがない重要な要素です。(USCPAの転職先②)

やはり王道は管理会計・財務会計!具体的な『会計』のアピール方法

ここでの『会計』は『数字を扱う経験』と捉えていただけると良いでしょう。移転価格アドバイザリー業務の中のどういった局面で会計知識を使うのか、しっかりと押さえておけば、職務経歴書に落とし込むのはさほど難しくはありません。

具体的には経理財務の視点からクライアントの同業他社分析・比較や、クライアントから提示された社内資料(財務諸表・管理会計データ等)の分析が挙げられます。

そのため事業会社側でご自身が財務諸表作成に携わってこられたり、原価計算のご経験を有している方は、そちらもアピールいただけると良いでしょう。

また会計実務の経験をお持ちでない場合は、USCPAを積極的にアピールしましょう。

USCPAは「英語」×「会計」の要素が強く、USCPA学習を通じて得られた知見は移転価格部門との親和性も高いです。

USCPAの取得状況や今後の受験スケジュール等に言及し、どれだけ内容理解が進んでいるのかを示していただくと良いでしょう。ちなみに全科目合格でなくとも、科目合格・学習中からご応募が可能です。(ただし学習中の方は受験日程が確定しているなど、学習が一定以上進んだ方が対象です。)

まずはビジネスで「読み」「書き」をこなせるか!『語学力』のアピール方法

そもそも移転価格アドバイザリーを依頼する企業はグローバルなフィールドで企業活動を行っている会社です。

そのためクライアント企業と社内取引が発生する海外支社・子会社・工場を構える現地の海外ファームと連絡をとりながら、各国に準じた対応や、クライアントと税務当局の間に入った調整が求められます。

電話やテレビ会議よりもまずはメール上でのやり取りの方が頻度は高いでしょう。またクライアントの海外子会社からの提出資料の内容理解においても語学力が求められます。

上記の点から、現職で海外部署や子会社と何かしら関係してこられた方は、その密度や関わり方に言及しながら、どのように英語を使用してきたのかアピールできると良いでしょう。

『会計』に属さない経験も評価対象になる!

これまで「数字を扱う経験」をしてこなかったとしても悲観することはありません。他にも評価の対象となるケースがあるので、ここでは具体的にご紹介していきましょう。

ケース1)クライアントとの信頼関係を築く「営業」の経験

移転価格部門の内定者が必ずしも会計畑で経験を積んできたわけではありません。直近で内定を取得された方もそうでしたが、「営業」のご経歴をお持ちの方も可能性は十分ございます。

営業経験を有する方の強い武器はクライアントとの「信頼関係の構築力」、そして自社だけでなく同業他社含めた「業界の動向理解と深い知見」と言えます。

相手のニーズをくみ取りながら、交渉・調整を重ねながら契約を締結させる仕事のスタイルは移転価格部門においても評価されます。またクライアント企業がご自身の経験業界と一致する場合もプラスになるでしょう。

その他にも海外営業や外資系企業でお勤めの方など、グローバル要素が絡んでくるのもアピール材料です。

ケース2)コンサルティングの経験

クライアントを抱え、チームとして業務を遂行する。正解のない問題に対し、根拠を示しつつ答えを導き出す仕事のスタイル。

この働き方の軸が身についていらっしゃるコンサルティング経験者であれば、必ずしも会計領域のご経験がなくともクライアント規模(業界)・アサインプロジェクト上における役割・プロジェクト内容等を示していただくと十分可能性があります。

ケース3)商品企画・金融機関の融資業務などの「金額を決める」業務

「適性な移転価格の設定」に対するアドバイスはクライアントの海外戦略、そして税収面で関わる政府、またその国の税法や、同業他社の動向等を鑑みながら、正解のないところから適正な金額を検討・設定するための支援です。

その目的達成に対する過程が似ていることから、マーケティング調査から新商品の価格設定を行うような商品企画部や、企業の有形資財・無形資財に対して価値を決め、実際の融資額を決定する金融機関の融資業務に携わった方も親和性があるでしょう。

移転価格アドバイザリーは志望理由が合否の「鍵」

履歴書の中に項目として記載いただくことも多い『志望理由』。

実はこの項目、応募先の企業にもよりますが、書かなくとも求人に応募できるケースもあります。(これは個人で記載の有無を判断せず、まずはエージェントにご相談ください。)

しかしながらBIG4税理士法人の移転価格アドバイザリーにおいて、私達エージェントは口を揃えて「志望理由は記入する」ことをお勧めしています。それは何故か?

移転価格アドバイザリーは会計領域の業務の中でもニッチで専門性の高い分野だと言われています。「監査法人の会計監査は知っているけど…移転価格アドバイザリーって初めて聞きます」という相談者の方とも、これまで多く出会ってきました。

そのため当該ポジションにおいては、「そもそも何故移転価格アドバイザリーに興味を持ったのか/志望するのか」といった点は、書類選考の段階から注視されています。

逆に言えば、業務への正しい理解・志望する理由に納得感がある場合は、書類の完成度としては高くなるでしょう。

「なぜ移転価格を志望するのか」という問いへの回答

移転価格部門に興味をもった理由、どこに関心があるのか、将来やり遂げたいこと等、様々な角度から志望理由を作成いただくことが可能です。ここでは、これまで応募された方の切り口を具体的にご紹介したいと思います。

ケース1)ご自身の経験に紐づける

これまでご自身が事業会社側で移転価格業務に携わっていた方はもちろんのこと、業務に携わっていく中で、「日本企業における国際税務のスキーム構築において問題意識を感じリスクヘッジしていきたい!」という視点も可能です。

ケース2)専門性・プロフェッショナル性に繋げる

そもそも移転価格という分野に企業が注目し、アドバイザリーとしてニーズが高まったのは実は最近の出来事。

そのため当該部門には百戦錬磨のようなベテランが多いわけではなく、また成熟しきっていないフィールドと捉えていただくことができます。

競争相手の分母が少ない、ブルーオーシャンであるからこそ、ご自身の頑張り次第で移転価格分野で他の追随を許さないプロフェッショナルとしてキャリアを構築することができる、その将来性を魅力として取り上げていただくことも良いでしょう。

ケース3)国際性や業務の性質を自身の志向と結びつける

移転価格アドバイザリーの大きな特徴の一つでもある、そのグローバル性。もちろん英語を用いて海外ファームと連携をとりながら業務を動かしていくことも醍醐味です。

また、業務の性質上「正解」のない仕事に対して、いかにクライアントにとって最適な答えを導き出すのかというコンサルティングの要素も大いに含んでいます。

こういった正解のない問題に、答えを作り出していくことが面白いと感じる方も、志向の親和性を押していくことができます。

ケース4)業務の将来性

移転価格アドバイザリーは、端的に言うと世界どこに行ってもその業務内容は(言語の違いはあれども)共通であり、身につければどこでも活躍できる人材となりうる職業です。

また移転価格アドバイザリーのサービスを必要としているのは名だたる大企業だけではなく、中小企業であっても海外関連者(海外子会社や支社等)と一定価格以上の取引が発生する場合は、移転価格税制の対象として見られる可能性が高くなります。

今後ビジネスは日本国内で完結することの方が少なくなるでしょう。そのため税制遵守のために専門家のアドバイザリーを求める機会は増えると予想できます。まだまだ移転価格ビジネスは裾野の広がりがあり、その将来性に魅力を感じている旨を伝えることもできます。

移転価格アドバイザリーの業務理解を深める方法

一番分かりやすく、効率が良いのはBIG4税理士法人の移転価格部門が開催する採用セミナーに参加することです。

部門や業務の説明、また実際に働く方から生の声を聞くことで間違いなく業務イメージが持てるようになるでしょう。

ただタイミングよく開催しているとも限らないので、その際は各種法人の採用ホームページの業務内容紹介や、先輩職員の紹介を読んでみたり、我々エージェントにご相談いただくのもオススメです。

今回からはBIG4税理士法人の移転価格アドバイザリーを取り上げながら、具体的な対策方法をお伝えしておりますが、選考のイメージは膨らんでまいりましたか?

移転価格アドバイザリーはその専門性の高い領域(と監査法人に比べるとまだまだ認知が低い背景)から、業務への理解、移転価格アドバイザリーへの高い志望意欲を見られています。

履歴書の段階から志望理由の記載をオススメしている程なので、しっかりと準備をして臨みましょう。

書類が通過したら今度は面接です!面接では多くの法人の方と会っていただく必要があるので、次回の面接対策のポイントも押さえておきましょう。