
未経験がM&A業界へのキャリアチェンジを成功させるには?
- M&A・事業再生コンサルタント
近年、企業の成長戦略においてM&A(企業の合併・買収)は重要な役割を果たしており、M&A業界は活況を呈しています。
特に、高収入やキャリアアップの機会が多いことから、多くの人々がM&A業界への転職を希望していますが、「専門知識が必要なのでは?」や「経験がないと難しいのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、実は未経験からでもM&A業界への転職は十分に可能です。
本記事では、未経験者がM&A業界で活躍するための具体的な方法などについて、徹底的に解説します。
M&Aにご興味がある方やM&Aに関連するキャリアを形成したい方は是非とも参考にして下さい。
・そもそもM&Aってなに?
・未経験でもM&A業界で活躍できる理由
・未経験者がM&A業界で活躍するために必要なスキル
・M&A業界の主な職種と仕事内容について
・M&A業界で活躍する上での禁止事項
・M&A業界で役立つ資格
そもそもM&Aってなに?
まずは、M&Aがどういったものかについて解説します。
M&Aとは、Mergers and Acquisitions(合併と買収)の略称であり、企業が他の企業と合併したり、他の企業の事業や株式を取得したりすることを指します。これは、企業の成長戦略、事業の多角化、市場シェアの拡大、経営効率の向上など、様々な目的で行われます。
合併(Merger)は、 複数の企業が法的にも経済的にも統合し、一つの新しい企業として存続することです。例えば、吸収合併(一方の企業が他方を吸収する形)や新設合併(既存の企業が解散し、新たに企業を設立する形)があります。
一方、買収(Acquisition)は、ある企業が他の企業の株式や事業の一部または全部を取得し、経営権を獲得することです。例えば、株式譲渡、事業譲渡、株式公開買付け(TOB)などの手法があります。
M&Aは、友好的な合意に基づいて行われる場合もあれば、敵対的な買収(敵対的TOBなど)のように、対象企業の意向に反して行われる場合もあります。
未経験者の方は、まずM&Aの基本的な概念、種類、メリット・デメリット、基本的なプロセスについて理解することから始めると良いでしょう。
未経験でもM&A業界で活躍できる理由
次に、未経験でもM&A業界で活躍できる理由について解説します。
M&A業界は高度な専門知識が求められるイメージが先行しがちですが、未経験者でも活躍できる余地は十分にあります。その背景には、様々な要因が挙げられます。
まず前提として、M&A業界は人材不足であることが多いです。M&A市場の拡大に人材の供給が追いついておらず、経験者だけでなく、ポテンシャルを持った未経験者の採用も積極的に行われています。
特に、若手人材の育成に力を入れている企業が多いことから、未経験者にとってはチャンスが多い状況です。
その背景から、昨今のM&A業界では、未経験者向けの研修制度やOJTが充実している企業が多く見られます。入社後、体系的な研修を通して必要な知識やスキルを習得できる環境が整っている会社が増えてきているのも、未経験者がM&A業界で活躍できる要因の1つです。
また、M&A業界では、金融業界出身者だけでなく、コンサルティング、法務、会計、事業会社など、様々なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。それぞれの専門性を活かせるフィールドがあるため、未経験者でも自分の強みを活かせる可能性があります。
未経験者がM&A業界で活躍するために必要なスキル
次に、未経験者がM&A業界で活躍するために必要なスキルについて解説します。
M&A業界で活躍するためには、専門知識だけでなく、様々なスキルが求められますが、未経験者でもスキルを意識的に磨くことで、M&A業界で活躍するための基盤を築くことができます。
例えば、高度なコミュニケーション能力です。
M&Aは、多くの関係者(経営者、弁護士、会計士、金融機関など)との連携が不可欠であり、円滑なコミュニケーション能力、相手の意図を正確に理解する能力、自分の意見を明確に伝える能力などが非常に重要となります。
他にも、財務諸表の分析、市場調査、業界分析など、様々な情報を分析し、本質を見抜く能力についても求められます。データに基づいた客観的な分析力は、M&Aの成否を左右する重要な要素となります。
ただ、いきなり分析力を身に付けることは不可能ですので、常に最新の知識や情報を学び続ける意欲や自己研鑽は怠ってはいけません。
M&A業界の主な職種と仕事内容について
次に、M&A業界の主な職種と仕事内容について解説します。
M&A業界には、様々な役割を担う職種が存在します。ここでは、代表的な職種と具体的な仕事内容を解説します。
1点目は、M&Aアドバイザーです。M&Aアドバイザーは、企業のM&A戦略策定から実行までトータルで支援します。具体的には、案件の発掘、企業価値評価、交渉、契約締結など、M&Aプロセス全体に関わります。
2点目は、M&Aコンサルタントです。M&Aコンサルタントは、M&Aに関する専門的なアドバイスを提供します。具体的には、戦略策定、デューデリジェンス、PMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)など、特定のフェーズに特化して支援する場合が多いです。
3点目は、デューデリジェンス関連です。デューデリジェンスは、買収対象企業の財務、法務、ビジネスなどの調査を行います。具体的には、リスクの洗い出しや買収価格の妥当性評価など、M&Aの意思決定に重要な情報を提供します。
M&A業界で活躍する上での禁止事項
次に、M&A業界で活躍する上での禁止事項について解説します。
M&Aは、企業の存続、従業員の雇用、市場の競争環境など、様々な側面に大きな影響を与える重要な企業活動です。そのため、M&A業界で働く人々には、高度な専門知識だけでなく、高い倫理観と責任感が求められます。
例えば、インサイダー取引についてです。これは決して行ってはいけません。
インサイダー取引とは、未公開の重要な企業情報(内部情報)を知り得た者が、その情報に基づいて株式などの有価証券を取引し、不当な利益を得る行為です。M&A案件は、株価に大きな影響を与える可能性のある重要な情報を含んでいるため、インサイダー取引の温床となりやすいと言えます。
M&Aに関与する者は、未公開情報を厳重に管理し、社内外への漏洩を防ぐ必要があります。具体的には、情報管理体制の構築、従業員への教育、情報へのアクセス制限などを徹底することが重要です。
インサイダー取引の規制範囲は、自己取引だけでなく、親族や知人への情報提供や取引推奨なども含まれており、近しい行為は全て禁止されています。
インサイダー取引に限らず、M&A業界には遵守すべき禁止事項が沢山ございます。
M&A業界で活躍したいなら、禁止事項を適切に理解し、高い倫理観と責任感を持つようにしましょう。
M&A業界で役立つ資格
最後に、M&A業界で役立つ資格について解説します。
M&A業界で役立つ資格としては、主に以下のような資格が挙げられます。
1点目は、日商簿記検定です。日商簿記検定は、財務知識の基礎を証明する資格として広く認知されており、2級以上を取得していると、財務諸表の読み方や分析に関する知識があるとみなされ、有利に働く可能性があります。
2点目は、中小企業診断士です。中小企業診断士は、経営に関する幅広い知識を証明する資格です。M&Aは経営戦略の一環として行われるため、経営全般の知識を持っていることは強みとなります。
3点目は、証券アナリストです。証券アナリストは、株式投資や企業分析に関する専門知識を証明する資格です。企業価値評価や財務分析など、M&A業務に直結する知識を体系的に学ぶことができます。
M&A業界で輝かしいキャリアを築こう
ここまで読んでみて、いかがでしたでしょうか。
未経験からM&A業界へのキャリアチェンジを成功させるためには、将来どのようなM&Aプロフェッショナルになりたいのか、どのような分野で貢献したいのかといった明確な目標を持つことが重要です。
目標が明確であれば、学習の方向性や必要なスキルも明確になり、効率的に準備を進めることができます。また、周囲のサポートも非常に大切です。
キャリアアドバイザー、転職エージェント、業界関係者など、様々な人からのアドバイスや情報提供を受けることで、よりスムーズにキャリアチェンジを進めることができるでしょう。そして、時には逆境に直面することもあるかもしれませんが、諦めずに努力を続けることで、必ず道は開けます。
明確な目標、周囲のサポート、そして逆境を乗り越える力を持ち続けることで、M&A業界で輝かしいキャリアを築き、社会に貢献していくことができるでしょう。
本記事が何か1つでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。